映画のパンフレット

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2013年1月 7日 (月)

アテルイ ~ 長編アニメーション ~

【制作意図】 000_2

8世紀、古代東北に展開した岩手、そして北の地の父祖たちは、その後の歴史の中にあまりにも不当な扱いを受けて参りました。
「蝦夷(えみし)」とさげすまれ、当時の大和朝廷より蝦夷征伐として、征伐の対象とさえされて参りました。
789年、大和朝廷より派遣された蝦夷征伐の大軍を見事に打ち破った蝦夷の族長・アテルイとその勇者たちは、「鬼」や「悪路王」として、その後の歴史の中に、その評価を逆転させられて参りました。
しかしながら、近年の歴史学の展開と新たな考古学の発見が、今私達に蝦夷の真の姿を示してくれています。
四季折々に、沢山の恵みをもたらした豊穣だった北の大地。
争いを求めず、広く大陸の異民族にさえ心をひらきながら、展開された交易による広い地域間交流。 そして豊かな自然を背景に、自然界と心交わせながら営まれた、精神生活の驚くほどの豊かさ。

北の大地は、決して云われていた様なものではなかったのです。
遠く縄文から受けつがれた、自然と共生する先進的な思想さえもちあわせていたのです。 そしてその北の大地を、親や子や同胞たちを、いわれなき侵略から守るために、敢然と戦いをいどみ、勝利を収めたアテルイとその勇士たちの姿を、生き生きと現代のスクリーンによみがえらせ、21世紀を生きる子どもたちの心に、故郷に対する誇りとして語ってゆきたい・・・と思ったのです。

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【ストーリー】

物語は現代の岩手県水沢市から始まるー。

東京から転校してきた小学生の岡崎飛人は、初登校の日に学校に行かず、逃げ出してしまう。東京の学校でいじめにあった飛人は、新しい学校でもいじめられるのではないかと恐かったのだ。追ってくる両親から逃げようとした飛人は、足を滑らせ、雨で増水した北上川に転落して、意識を失ってしまう。

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そしてー
飛人が目覚めると、そこはうっそうとしたブナ林に囲まれた、見たこともない場所だった。飛人は今から1200前の昔の世界にタイムスリップしていたのだ。
 
林の中で大イノシシに襲われた飛人は、一人の精悍な若者に助けられる。それは、エミシの族長、アテルイだった。
行くあてのない飛人を、アテルイは自分の村へ連れて帰る。日高見川(昔の北上川)の近くのアテルイの村で、飛人は村の少女ララカの家族と一緒に暮らすことになった。そんな飛人に、村の大巫女アマババは「お前がここに来たのは意味がある」と謎の言葉をかける。

ララカや村の人々の親切に触れ、だんだんエミシの生活に溶け込み始めた飛人だったが、ララカに憧れる村の少年コムイの仲間たちは、飛人が大和の手先ではないかと疑いを持つ。

その頃、大和朝廷は東北地方の支配のために軍隊を送り、大和に従わないエミシの村々に焼き討ちをかけたり、収穫物の略奪や非道な行いをしていた。大勢のエミシの人々が殺され、仕方なく大和に従った者も“俘囚(ふしゅう)”として重い税や労役に苦しめられていたのだ。

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そんなある日、飛人とコムイは近くのエミシ村が大和兵の焼き討ちにあっているところに出くわす。あやうく兵士の剣にかかって斬られそうになったコムイを、飛人は身を挺して守り、それがきっかけで二人の間に友情が芽生えるのだった。

しかし、アテルイ達の土地を奪おうとする大和軍は、789年(延暦8年)、遂に5万もの大軍で総攻撃をしかけてくる。アテルイの親友モレをはじめとする近隣の村々の族長達は、先祖代々暮らしてきたエミシの土地を、北の大地を守るために、アテルイとともに立ち上がる。

エミシの連合軍は巣伏山の頂きに集結し、総大将に選ばれたアテルイは、大和軍との壮絶な決戦に臨むのだったー。

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【感 想】

このアニメは、「シネマとうほく」という、東北地方で映画を制作している会社が、アテルイ没後1200年を祈念して制作した作品で、直接この会社から購入したDVDです。
残念ながら、このDVDのレンタル版はありませんので、見ていただくことは出来ません。

さて、私が、阿弖流為(アテルイ)を知ったのは、1990年頃に始まった、歴史を見直す運動の流れの中で、「江戸時代の農民」のことや「身分差別社会」の実態などを調べていく中で、古代の東北地方の実情にも興味を持ったことからです。

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また、枚方市の片埜神社の旧社地(現在は牧野公園内)に存在する塚を、それぞれ阿弖流爲(アテルイ)と母禮(モレ)の胴塚・首塚とする説があるというのも、近くの事なので興味を持った一つの要因です。→枚方・牧野公園「阿弖流爲(アテルイ)と母禮(モレ)の墓」

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坂上田村麻呂が創建したと伝えられる京都の清水寺境内には、平安遷都1200年を記念して、1994年(平成6年)11月に「アテルイ・モレ顕彰碑」が建立されたと聞き、すぐさま見に行きました。→京都・清水寺の紅葉と「アテルイとモレの碑」

1999年には、私の好きな作家・高橋克彦さんの「火怨 北の燿星アテルイ」が出版された事もあって、ますます興味が深まって行きました。

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なお、1月11日から、「火怨・北の英雄 アテルイ伝」がNHK BSで放映されます。どんな内容になるかわかりませんが、紹介させていただきます。

         = NHK BS「火怨・北の英雄 アテルイ伝」について =

東北を平定しようと北へ攻め上る朝廷軍の襲撃に、命を捨てて一族の未来を救った古代東北の英雄・阿弖流為(アテルイ)の生涯を、空前のスケールで描く歴史冒険巨編。
かつて不屈の魂をもって東北を守った陸奥の英雄を描くことで、東北復興支援の一環とし、大震災後、復興に向けて誇り高く生きている『東北の人たちへの応援歌』を目指します。

原作は、高橋克彦さんの「火怨 北の耀星アテルイ」です。この本はオススメです。

BS時代劇  <BSプレミアム> 2013年1月11日~ 毎週金曜日 8時~ 全4回

                      再放送は、日曜日 午後6時45分~
  
HPはこちらから→「火怨・北の英雄 アテルイ伝

=1月10日追加=

eoblog 「みんなのブログ 映画」で・・・(Part6)

Blog記事ランキングで、「アテルイ ~ 長編アニメーション ~」が、「映画の部」の1位になりました。

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たくさんの方にお越しいただき、感謝です。

=1月14日追加=

eoblog 「みんなのブログ 映画」で・・・(Part5)

「映画の部」の「ブログランキング」で一位になりました。

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これは、この一週間の「映画の記事」のカウント集計です。
映画の部では、「ブログランキング」の一位は、昨年の2月以来です。

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コメント

NHKで時々予告が入った大沢たかお主演の時代劇がアテルイでしたか。
面白そうですね。見てみます。
歴史の表舞台に出て来る東北は平泉の藤原氏くらいで中央政権から遠いかの地の事は何も知りませんでした。

北海道にアイヌ民族が居た事は知っていましたが東北にも独自の文化を持った人々が居たのですね。
その後(江戸時代になって日本統一が完全になされ藩が設けられた頃)には
彼らはどうなったのでしょう?

そよかぜさん、おはようございます
いつも有り難うございます。

このアテルイの時代から後、東北地方にはしばらく平穏な日々が続きますが、歴史にも出てきた「前九年の役」と「後三年の役」を経て、東北地方は奥州藤原氏が支配することになります。
その後、貴族政治から武家政治と代わって行くにつれて、蝦夷(えみし)と呼ばれた人たちは、(今のアイヌ民族の方たちと違って、同じ大和民族なので)戦国時代末期には、ほぼ同化していったのではないでしょうか。
蝦夷(えみし)という漢字を、北海道に住んでいたアイヌ民族に当てはめ、蝦夷(えぞ)と呼んだのです。
差別ってイヤですね・・・

アイヌ語講座というのを早朝のラジオでやっています。

北海道の地名はアイヌ語が語源でとても神秘的な意味をもっています。

アイヌ刺繍も素敵です。
昔、
差別・・・知っていますが、悲しいことですよね。

直さん、おはようございます
いつも有り難うございます
北海道の地名は、ほとんどがアイヌ語を漢字で表したものですね。
「シャクシャインの戦い」って知っていますか?
北海道では、20年ほど前から、中学校では教えていると聞きましたが・・・。
1660年頃に、アイヌ民族が、松前藩に対して立ち上がった争いです。
世界の歴史を見ても、侵略の歴史ですが、この日本にも、数々そういったことがあったのを忘れてはいけないと思います。

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