映画のパンフレット

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2016年1月

2016年1月30日 (土)

肉料理 黒麒麟(ディナーの部)

ランチに続いて、夜の「焼き肉」にも行ってきました。
お店の詳細は、「肉料理 黒麒麟 ランチの部」をみてください。

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全席禁煙の焼き肉屋さんって、そんなに無いので、ありがたいです。

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平日なので、他のお客さんがほとんど居ませんでした。

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アラカルトのメニューです。(クリックすると拡大します)

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あれこれ考えるよりも、コースがお得なので、毎回Cコース(2名分で、11000円)です。
追加で、塩タンや上ミノ等のホルモン類を注文しています。

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まず、キムチとナムルです。(写真はすべて二人前です)

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サラダは、シーザーサラダとチョレギサラダを選べますが、温泉卵が美味しいシーザーサラダを毎回選んでいます。

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ローストメニューからは、ローストビーフとタタキがありますが、いつもローストビーフです。

この店には、これまで二度ほど行きましたが、下記の写真の左側が一度目。右側が二度目です。

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続いて、本日のオススメの一品(180g)です。これは、ポン酢で戴きました。

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本日のステーキ(180g)です。お塩かわさび醤油で戴きます。私はわさび醤油です。

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次は、チョイス4(ロース、カルビ、ハラミ、切り落としの四種類で、計320g)か、バラエティ9(希少部位を含む九種類で、計220g)を選びます。(左:チョイス4、右:バラエティ9)

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表面はこんがりと焼き、中は熱が入った程度で焼きすぎないように、レアで食べました。
少しずつ焼いて、時間をかけて、ゆっくり戴きました。

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デザートです。
メニューの中から、一人一品選べます。

300円のアイスクリームとシャーベットから、550円のデザートまであるので、ついつい高いものを選んでしまいそうです(笑)

私が選んだのは、一度目が「パンペルデュ」(550円)、二度目が「ミニパフェ」(450円)でした。

ミニパフェは、少しもミニじゃありませんでしたし、パンペルデュは、フレンチトーストがお腹にこたえました(笑)
デザートは、どちらも美味しく戴きました。
珈琲は、追加で200円です。コースに珈琲がついているとうれしいのですが・・・。

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左側が「パンペルデュ」で、右側が「ミニパフェ」です。

お店の詳しい情報は、「肉料理 黒麒麟 ランチの部」をみてください。

2016年1月28日 (木)

「鴨川食堂」柏井壽

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【内 容】

「思い出の食、捜します」
その一行広告を頼りにたどり着ける看板ものれんもない「鴨川食堂」。

京都の東本願寺近くにひっそりと建つその食堂へやってくるのは、悩みを抱えた現代の人々。仕事、家族、人生、恋、人間関係・・・。
悩みは千差万別だが、看板娘・鴨川こいしは客の悩みを真摯(しんし)に受け止め、父・鴨川流(ながれ)は元刑事の洞察力を駆使し、客の望む食は何かを突きとめ、常連客・妙の協力も得て、一流の京料理人として腕をふるって食事を再現する。

“こいし”と“流”の努力の結晶である「思い出の食」を口にすることで、客は、生きる勇気、人生の喜びを見つけて鴨川食堂を後にする・・・。

【目 次】

第一話 鍋焼きうどん
一番おいしかったものにもう一度出会うのは難しい。
窪山秀治は数年前に妻を亡くし、定年後に新たな伴侶と巡り会った。彼女は秀治の大好物だけうまく作れないという。

第二話 ビーフシチュー
プロポーズされたレストランが思い出せない!?
師走に入ると、京の都もせわしない。二人の老婦人が、55年の食を求めて看板もない食堂に入っていった。

第三話 鯖寿司
おいしさに勝るのは、思い出というスパイス。
総理大臣である岩倉友海が探しているのは、50年も前食べさせてもらったおやつがわりの品だった。

第四話 とんかつ
“おいしい"の一言を、忘れる料理人はいない。
大分でピアノ教師をしている広瀬須也子の元夫は、京都でとんかつ屋を開いていたが、余命三ヶ月だという。

第五話 ナポリタン
おいしいものを食べると、泣けてくる。
浜松に住む女子大生・美月明日香が探しているのは、祖父が旅行先で食べさせてくれた黄色いスパゲティだった。

第六話 肉じゃが
男のソウルフードは、おふくろの味。
六本木ヒルズ在住の実業家・伊達久彦は、亡き母が作ってくれた肉じゃがを食べてみたいという。

【感 想】

料理雑誌の一行広告・「思い出の食、捜します」を頼りに訪れたお客さんの『思い出の食』を探してくれるという連作短編集です。
NHKのBSで第三話まで見て、それなりに面白かったので原作があれば・・・と探していたところ、ふと立ち寄った本屋さんの片隅に、2冊だけあったので買ってきました。

この話の設定が、何とも言えず良いですね。
京都の東本願寺の近くにあるという、看板もない食堂。
食堂へ初めて来店した人には「おまかせ」を出して気に入ったらまた来てもらう。
探偵事務所の報酬は、依頼人が見合った額を振り込む。
場所も書いていない、たった一行だけの広告を頼りに訪れる依頼者に、
「出会うべき人には、必ず出会うもんなんです。」と店主。
縁があれば、必ず出会えるものなんですね(笑)

訪れた依頼者に、まず簡単な「おまかせ」を食べて貰う場面が必ず出てきますが、これがなかなか凝った京料理で、「蕨(わらび)と筍の炊いたん」「地鶏の鞍馬煮」「鮑の西京焼き」等々が、懐石料理風に一口ずつほどの分量で並べられます。
名前を聞いただけで、思わず食べたくなってしまいます。しかし、料理名が並ぶだけで、それが具体的にどういった料理なのかが書かれていないのは、ちょっと残念です。

話は、依頼者が店を訪れ、昔の記憶をたどりながら、「思い出の食」の話を探偵事務所の所長のこいしにし、聞き取ったこいしが話をまとめて父親の流にして、その話から思い出の料理を作り、提供する・・・という流れで進みます。
話の設定はちょっとユニークで面白いのですが、この小説の方は、話の膨らみがありません。ストーリー的には、もうちょっと突っ込んで欲しい・・・と思いますが、いろんな意味で京都らしさが出て居て、楽しく読めました。

余談ですが、この作者(初めて聞く名前だったので)の事を調べたら、京都在住の(京都市北区で開業されている)歯医者さんだと言うことです。
京都に関するエッセイだけではなく、柏木圭一郎名義で京都を舞台にしたミステリー小説を書いておられるようです。こちらの方も、機会があれば読んでみたいものです。

☆☆☆★★(50点満点で、☆…10点 ★…2点です)

NHKプレミアムドラマ「鴨川食堂」

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今日の時点で、第三話まで放送されています。(全八話だそうです)
第一話が「肉じゃが」、第二話が「とんかつ」、第三話が「ナポリタン」でした。ちなみに、次回の第四話は、「鍋焼きうどん」です。
テレビドラマの方は、娘のこいしがメインとなって、話が進んでいきますが、こいし役は、忽那汐里(くつなしおり)さんで、なかなか上手く演じています。
彼女を初めて見たのは、映画「少女たちの羅針盤」でしたが、その頃から注目していました。

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ドラマの方は、実際に出される料理を目に出来るので、見ていて楽しいですし、登場人物にしても、小説ではホンの少ししか登場しない来栖妙(くるすたえ)さんが、作法教室の師匠で、鴨川食堂の常連客という設定で毎回登場し、良い味を出しています。
もっとも、来栖妙役を岩下志麻さんが演じているということもあるのでしょうが、何気ない会話にもインパクトがあって、画面が引き締まります。さすがに大女優です。存在感がありますね(笑)

ドラマではその話しの舞台となっている現地に出向いて行き、「思い出の食」を探しに行って、四苦八苦してあれこれ悩んでいる様子を描いたりして居ます。
また、その話を再現ドラマ風にしたてて、そこに出てくる人物を、チラリと登場させたりして、話しに膨らみを持たせているので、見ていてわかりやすく、楽しいドラマに仕上がっています。

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ただ、鴨川食堂の「鴨川」にしても、京都を流れる川の名前じゃなく、主人公の姓なので、ドラマの方は、舞台が京都じゃなくっても話が成立しそうな気がします。
京都の街の様子がほとんど出てきませんし、何かぎこちない京都弁を使う俳優さんも登場します(京都言葉の方言指導はどうなっているの・・・?)ので、それなら思い切って全員標準語にしてしまうのも良いのじゃ無いかと思ってしまいます。

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でも、そういうことを差し引いても、脚本と演出が素晴らしいので、毎回楽しんで見ています。
原作にはない、食にまつわる話の後日談が入って居る(第三話の「ナポリタン」)のがあるも良いですし、時には、流に変わって娘のこいしが現地調査をしていると言うのも、話に深みが出ていて、見ていて楽しいです。

【キャスト】

鴨川こいし:忽那汐里
鴨川流:萩原健一
来栖 妙:岩下志麻
福村浩:吉沢 悠
鴨川掬子:財前直見

2016年1月23日 (土)

「火花」又吉直樹

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【内 容】

笑いとは何か、人間とは何かを描ききったデビュー小説

売れない芸人徳永は、師として仰ぐべき先輩神谷に出会った。
そのお笑い哲学に心酔しつつ別の道を歩む徳永。

奇想の天才である一方で人間味溢れる神谷、彼を師と慕う後輩徳永。
笑いの真髄について議論しながら、それぞれの道を歩んでいる。
神谷は徳永に「俺の伝記を書け」と命令した。
彼らの人生はどう変転していくのか。
人間存在の根本を見つめた真摯な筆致が感動を呼ぶ!
「文學界」を史上初の大増刷に導いた話題作。

第28回三島由紀夫賞候補作、第153回芥川龍之介賞受賞作。

【感 想】

この本が発売されて、すぐに読みました。
情景が脳裏に浮かんでくるようなシーンがたくさんあり、上手く書けているなぁとは思って居ましたが、気取った文体になかなかなじめず、ラストもイマイチだったので、それほど好きではありませんでした。
ただ、主人公の徳永と、彼が師と仰ぐ神谷との会話の部分は、とても面白く読みましたし、徳永の心情も良く書けていたのではないでしょうか?
でも、会話のところが関西弁だと言うことで、他の地方(特に関東)の方が読むとどう感じるのだろうと、ふと思ったりもしました(笑)
もっとも、こういった小説をあまり読んだことのない私が、その感想を書いたところで参考にも何にもならないだろうと思い、読後の感想をこのブログには書きませんでした。

その後、第28回三島由紀夫賞の候補作になり、第153回芥川龍之介賞を受賞したことで話題になり、昨年末には販売部数230万部を突破したと言うことらしいです。
本が売れると言うことは、出版界においても良いことなんでしょうが、本が売れる要因の一つには、「話題性」と言う事が大事なんだと言うことがよくわかりました。
言い方を変えると、出来不出来よりも、「売り方」の問題だと言うことです。
そういう意味で、出版業界の方々にも営業努力をお願いしたいところです。

さて、今になってこのブログに感想を書いたのは、11月末に出版された朗読CD「火花」(堤真一さんの朗読)を聞いたからです。
目で追って読んでいくだけでも面白かった徳永と神谷の、大阪弁で交わされる巧妙な会話にとても迫力がありましたし、その時の徳永の心情もよく伝わって来ました。朗読されている堤真一さんの演技力に、感心しながら聞き惚れていました。
読み方の強弱や抑揚で、文字を追って居たときとは違った印象を感じ、全篇ノーカットで約4時間20分の朗読を楽しみました。

ところで、朗読を聞いていて、少し気になったところがあります。
徳永と神谷が鍋をめぐって会話するシーンで、「一緒に飯食おうや」と言われた徳永が、「好きなものは鍋です」と答えた後、鍋についてのやり取りが少し続きますが、この話の流れって、どこかで聞いたことが・・・と思って居たら、夢路いとし喜味こいしさんの漫才・「ジンギスカン料理」と同じ展開でした。
ネットで探ってみると、この下りが「パクリ」だと騒がれていたということを初めて知りましたが、この話は、関西で漫才が好きな人なら誰でも気づくことなので、夢路いとし喜味こいしさんへのオマージュと言うことで良いのじゃ無いかと思って居ます。

最後に、お笑いコンビ・スパークスの「ラスト漫才」のシーンでは、文字で読んでいたときにはそれ程でもなかったのですが、堤真一さんの朗読では、ものすごい迫力を感じました。この部分になると、手を止めて思わず聞き入ってしまいました。
本の方は、読み慣れていない方にはあまりお勧めしませんが、朗読の方は、オススメです。機会がありましたら、是非聞いてみて下さい。

☆☆☆☆(50点満点で、☆…10点 ★…2点です)

=1月26日追加=

eoblog 「みんなのブログ 本」で・・・(Part72)

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ブログランキングで、「火花」が、「本の部」の一位になりました。

=1月30日追加=

689

eoblogの記事ランキングでも、又吉直樹さんの「火花」が、「本の部」の一位になりました。

たくさんの方に見ていただき、ありがとうございます。

2016年1月21日 (木)

「届け物はまだ手の中に」石持浅海

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【内 容】

楡井和樹は恩師の仇である江藤を殺した。
しかし裏切り者であるかつての親友・設楽宏一にこの事実を突きつけなければ、復讐は完結しない。

設楽邸を訪れた楡井は、設楽の妻、妹、秘書から歓待を受ける。
だが息子の誕生パーティーだというのに設楽は書斎に篭もり、姿を見せない。
書斎で何が起きているのか…。

三人の美女との探り合いの果て明らかになる、驚愕の事実とは!?

【感 想】

ホンの数時間の出来事を、心理描写を交えながらゆっくり時間が進んでいくので、結構面白くって、ほぼ一気読みでした。
緊迫した状況での心理描写が続き、しかもラストの所では、全く予想外の展開になり、なかなか読み応えのある作品でした。

楡井和樹が、殺した人物の首をバッグに入れたまま、親友だった設楽宏一宅を訪れると、子どもの誕生パーティが始まっており、一緒に参加する羽目に・・・。
ところが、息子の誕生パーティなのに、目的の設楽宏一が部屋から出てこないまま、時間が過ぎていくと言う話です。
設楽の妻と妹そして秘書は、
「設楽は仕事中は誰にも会わないので・・・」と言って、取り次いでもくれない状況で、時間だけが過ぎていき、その時々の楡井和樹の思いが書かれています。
突然の訪問にもかかわらず、三人の女性からは、「帰れ」とも言われずに、むしろ逆に、パーティに参加するように進められます。
何か不自然さを感じてしまう状況なのに、わざと自然に装って居るのだろうか・・・と、読み進めていくに連れて、
「設楽宏一が出てこないのはなぜか・・・?」「三人の女性は、口をそろえて何を隠して居るのか・・・?」「ひょっとしたら設楽宏一は、三人に殺されているのか・・・?」などと、楡井和樹と一緒になって、いろいろ考えさせられてしまいます。

最初に書いたように、ラストには、意外な結末が用意されているのですが、こういうラストは、全く予想をしていませんでした。
でも私は、このラストを読んで、少々ずっこけてしまいましたが・・・。(笑)

☆☆☆★★★(50点満点で、☆…10点 ★…2点です)

2016年1月16日 (土)

「ヴィヴィアンの読書会」七尾与史

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【内 容】

ベストセラー『ドS刑事』『死亡フラグが立ちました!』の著者が放つ、読書会を舞台にしたノンストップ・ミステリー。
書き下ろし長編。

「皆さんの生命にタイムリミットを設けさせていただきました」
人気作家ヴィヴィアンすみれの死から一年、染谷公太郎は彼女を偲ぶ読書会に招待された。
しかし開始早々、出された紅茶に毒が入っており、死にたくなければヴィヴィアンを殺した真犯人を突き止めるよう告げられる。
参加者は自称人気俳優や女装したファンなど怪しい人物ばかり。
はたして誰が、どうやって彼女を殺したのか。

【感 想】

「文庫書き下ろし」と言う事で購入しました。
「書き下ろし長編」と言う言葉に弱い上に、「文庫」だったらなおのこと購入しないといけないという強迫観念に駆られてしまいます(笑)
この作者原作の、テレビドラマで放映していた「ドS刑事(デカ)」は、全編見ていましたが、原作が文庫じゃなかったので、購入しませんでした(笑)

さて、本書は、作家「ヴィヴィアンすみれ」を殺す動機があったものを、「偲ぶ読書会」と言う事で一堂に集め、司会者の秘書によって飲まされた毒薬が効いてくるまでの間に、犯人が自白するか、全員で犯人を特定する・・・と言う話です。

話のテンポも良く、次々と知らされてくる驚愕(?)の事実を楽しながら読みました。しかも、犯人の殺害方法がちょっとユニークで、思わず感心してしまいましたが、でも、この殺害方法がちょっと面白いと言うだけの話なのかも知れません(笑)
被害者が、トイレに閉じ込められて死んでいくという、ちょっとふざけたところもあるので、あまり感心は出来ませんが、退屈もしないでほぼ一気読みでした。
文庫書き下ろしとしては、それなりに良く出来たミステリではないでしょうか?

☆☆☆★(50点満点で、☆…10点 ★…2点です)

2016年1月15日 (金)

「帰ってきた腕貫探偵」西澤保彦

【内 容】

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街のいたるところに突如現れ、市民の悩みを解きほぐす「櫃洗市一般苦情係」の職員、通称・腕貫探偵。
おなじみのメンバーに加え、女装男子が新登場!?

その日、彼のもとにやって来たのは一週間ほど前に亡くなったという女性の霊だった。
彼女はベストセラー作家・越沼霞巳と名乗るが、その作家は五十年前に亡くなっているはずだ。
五十年前に死んだのは誰だったのか?なぜ女性の魂は今なお現世を漂っているのかー。(「追憶」より)

シリーズ史上、最も不可思議な謎を腕貫探偵が鮮やかに解く!!

【目 次】

「氷結のメロディ」
「毒薬の輪廻」
「指輪もの騙り」
「追憶」

【感 想】

「氷結のメロディ」
鳥遊(とかなし)葵という、女装男子が登場します。それにしても、いつもながらの難しい名字です。小鳥遊(たかなし)とうのは知っていましたが、鳥遊(とかなし)は初めて知りました。
さて話は、櫃洗大学でバンド活動をしていた仲間4人が、次々と墜落死や自殺してしまい、一人残った女装男子の鳥遊葵が悩んでいるところに、住吉ユリエが声をかけ、彼女の「だ~りん」こと、腕貫さんの所へ連れていくという話です。
話を聞いただけで、腕貫さんが事の真相にたどり着くと言うことは、私たち読者も、腕貫探偵と条件が同じなので、よく読めば気がつきそうなんですが、ある程度の想像力が必要となるので、難しいですね。
一年半ぶりのシリーズなので、楽しみながら読みました。

「毒薬の輪廻」
婚約者が毒殺され、結婚できなくなった女性・新田目(あらため)美絵が、20年ぶりにその元婚約者の母親に会ったところ、突然切りつけられたと言う話です。
警察の判断では、おそらく、息子を毒殺した犯人が美絵だと思っての犯行だ・・・と言うことですが、その言葉に納得できない美絵が、いきさつを腕貫探偵に話していると、意外な結末が・・・。
話の中で、ちょっと複雑な家庭の事情が出てきますので、私にとってはあまり興味を引く話ではありませんでした。

「指輪もの騙(がた)り」
この話には、腕貫探偵が登場しません。
住吉ユリエ、鳥遊葵、阿藤江梨子の三人に、突然出会った刑事・氷見と水谷川(みやかわ)がランチにさそわれ、そこで30年ほど前の未解決事件を話すことになります。
5人でその事についていろいろ話していき、それぞれが少しずつ気がついたことをつなぎ合わせていくと、いつの間にか真相らしきものが見えてくるという流れです。
数人で、一つのことについて話し込むことで、意外な方向に話が進んでいくものなんですね。それにしても、この作者は、こういった話の作り方って上手いです。
30年前の未解決事件の犯人がわかっても、以前は時効というのがありましたが、今では殺人については時効がなくなっているので、検挙できそうです(笑)

「追憶」
一週間前に死んだ女性が、成仏できない理由を腕貫探偵に相談するという話です。
あらすじは、【内容】の所を見てください。
幽霊の視点で、腕貫さんとのやり取りが進んでいくというのも面白い所です。
読み返すと、謎を解くためのキーになる言葉が、あちこちに入って居るのに、気がつかないのは情けないですね。

☆☆☆★★★(50点満点で、☆…10点 ★…2点です)

2016年1月14日 (木)

「菩提樹荘の殺人」有栖川有栖

【内 容】

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お笑い芸人志望の若者、アンチエイジングのカリスマ等、「若さ」をモチーフとした作品集。
学生時代の火村英生の名推理もキラリ。

アポロンのように美しい少年、と噂される連続通り魔事件の容疑者。お笑い芸人志望の若者達の悲劇。大学生時代の火村英生の秀逸な推理、そしてアンチエイジングのカリスマ殺人事件。

「若さ」を持て余す者、「若さ」を羨望する者達の恩讐に振り回されつつ謎に立ち向かう火村とアリスを描く、美しい本格推理四篇!

【目 次】

「アポロンのナイフ」
「雛人形を笑え」
「探偵、青の時代」
「菩提樹荘の殺人」

【感 想】

「アポロンのナイフ」
連続通り魔の犯人を捕まえる話かと思いきや、話が違う方向に行ってしまいました。話の持って行き方が強引なのでちょっと驚きましたが、青少年犯罪についての下りなどは、ちょっと考えるところもあり、楽しめました。
でも、美青年だからと言って、「アポロンのような・・・」と言うような形容をするのかな・・・と、その辺は違和感がありました。

「雛人形を笑え」
良いテンポで話が進んでいくので、楽しめた短編です。
かつて、散歩途中に、漫才の練習中に出くわした過去があるって所などは、面白く読みました。
ただ。、犯人を特定した方法が、読者にはわからない事なので、そこのところが残念でした。

「探偵、青の時代」
火村英生が学生時代に名探偵としての片鱗を見せたと言う話を聞き、それを小説風にまとめたという短編です。
話としてはよく出来ていますが、なにか取って付けたような内容なので、私はそれ程面白くありませんでした。
わざとらしく、集合時間に遅れていくというところが気に入りません。

「菩提樹荘の殺人」
全体の1/3ほどを占めている中編です。
犯行の状況なり、容疑者の行動なりは、興味深く読めました。一人暮らしの人って、夕食後にふらりとドライブに行くこともあるんですね(笑)
事件の設定や殺人の様子なども、面白そうでしたが、謎解きがあっさりしすぎて、ずっこけました。
でも、アリスの学生時代のエピソードは、楽しめました。

この短編集では、「雛人形を笑え」が良く出来ていると思いましたが、読者が犯人を特定できないところが残念です。
「アポロンのナイフ」では、未成年の犯罪について、少し気になる書き方もありましたが、これに関する「あとがき」が興味のある内容でした。
本編より、「あとがき」のほうが面白いというと語弊がありそうですが・・・。

☆☆☆★★(50点満点で、☆…10点 ★…2点です)

2016年1月 7日 (木)

北野天満宮の「早咲きの梅」

1月6日に、京都の北野天満宮に行ってきました。

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いつもは、一時間のみ無料の駐車場が、この日は開放されていました。

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途中、「ハイアット リージェンシー 京都」で、昼食を取ることにしましたが、素敵な佇まいのホテルです。

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せっかく京都に来たのだから・・・と言う事で、和食を戴くことにしました。

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京都の古い民家をコンセプトにデザインされた、日本料理「東山(Touzan)」です。
ホテルの地下一階にあります。

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開店が11時半なので、しばらく待たせていただくことにしました。
待合室からの眺めも良いですね。

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時間が来て、中に通されました。
まだ誰も来ていませんでしたので、店内の写真を撮らせていただきました。

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座席からの眺めもなかなか素敵なお店です。
ホテルの方に、「(料理の)写真を撮っても良いですか?」と聞くと、「はい、もちろんです」とおっしゃっていただきましたが、さすがに、食事中は写真を撮るのを遠慮してしまいました。

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食事が済んで、北野天満宮まで行きましたが、途中の道も神社の境内も、予想外に空いていました。

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正面に、申年の大きな絵馬がつけられて居ました。

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お参りは簡単に済ませましたが、いつものように健康面についてお願いしてきました。
中央に鈴がないので、並ぶこともなく、スムーズに移動できました。

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さて、梅の木の方はというと、こんな感じです。

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昨日(1月5日)のニュースでは、例年より一ヶ月も早い開花で、もう七分咲きだとか言っていましたが・・・。

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梅の花と椿の花の見事なコントラストです。

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紅梅の方も、綺麗な花が咲いていました。

2016年1月 6日 (水)

「王とサーカス」米澤穂信

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【内 容】

2001年、新聞社を辞めたばかりの太刀洗万智は、知人の雑誌編集者から海外旅行特集の仕事を受け、事前取材のためネパールに向かった。
現地で知り合った少年にガイドを頼み、穏やかな時間を過ごそうとしていた矢先、王宮で国王をはじめとする王族殺害事件が勃発する。
太刀洗はジャーナリストとして早速取材を開始したが、そんな彼女を嘲笑うかのように、彼女の前にはひとつの死体が転がり・・・。
「この男は、わたしのために殺されたのか?あるいはー」疑問と苦悩の果てに、太刀洗が辿り着いた痛切な真実とは?

『さよなら妖精』の出来事から十年の時を経て、高校生だった太刀洗万智は異邦でふたたび、自らの人生をも左右するような大事件に遭遇する。
2001年に実際に起きた王宮事件を取り込んで描いた壮大なフィクションにして、米澤ミステリの記念碑的傑作!

【感 想】

前作の「満願」が好評だったことあって、出版直後に本書を購入し、早速読み始めましたが、3分の1ほどのところで挫折してしまいました。
2001年頃のネパールの様子を知りたいわけでも無いし、またその頃に勃発した王族殺害事件が詳しく書かれているわけでも無く、そのことに興味も持てませんでした。
もっとも、この本の内容は、王族殺害事件の話ではなく、それは単にこの小説の背景にすぎなかったのですが・・・。

カトマンズの街の様子や、ここからどこそこに行く近道の様子を書かれても、面白くも何ともありません。
カトマンズと言えば、まだネパールではマリファナが合法だった頃に作られた映画で、ジェーン・バーキンとセルジュ・ゲンズブールが共演していた「カトマンズの恋人」(1969年上映)で見た風景が記憶の底にあります。
さすがに、2001年頃には、その当時のようなユートピアを求めてやってきた白人の若者たちが、ホームレスのようにたむろって、あてもなくさまよい、クスリに溺れ、誰とは無しに抱き合っている・・・といった、そんな退廃的で自堕落な姿はすでに無くなっているにせよ、本書に書かれている街の様子とほぼ変わりばえのないイメージだったので、なおさら興味も持てませんでした。

ところで、12月になって、各紙のミステリベストテンを見て驚きました。三紙で1位、残りの一紙で3位です。
そこで、再度頑張って読み直しました。

海外旅行雑誌の取材の下見に行った時に出会った王族殺害事件を、日本で記事にするために取材を続けていくという話なんですが、その過程で殺人事件に遭遇してしまいます。
殺人事件が起こってからは、それなりに読み応えはありました。でも、身の安全が保証できない地域で、大きな事件を取材している途中に戒厳令もひかれ、緊迫している状況下なので女性ジャーナリストの身の危険を心配しながら私は読んでいるのですが、危険と隣り合わせになって居るという様子が伝わって来ません。
彼女が簡単に殺されてしまっても、おかしくない状況なのに、そんなに危険な目に遭わないし、その上、本書で初めて出会う女性と言う事もあって、なかなか感情移入できないので困りました。
私としては、この本をミステリとして評価するのは、ちょっと違うのではないかと思って居ますが、「広義の」というところでは、仕方が無いのかも知れません。

余談ですが、年明けに本屋さんに行ったら、本書が山積みされていました。帯には、「2015年度ミステリベストワン」と書かれています。
それを見て2000円ほどの本書を買われる方も居られるのかと思うと、こういったベストテンにはいささか疑問を感じてしまいます。

☆☆☆★★(50点満点で、☆…10点 ★…2点です)

2016年1月 4日 (月)

「十二の贄(にえ)」三津田信三

【内 容】

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死相が視える探偵・弦矢俊一郎のもとに、遺産相続殺人と思われる事件の捜査依頼が舞い込む。
莫大な遺産の配分を指示する遺言状には、相続人の生死で取り分が増減する異様な条件が記されておりーー。

中学生の悠真は、莫大な資産を持つ大面グループの総帥・幸子に引き取られた。
7人の異母兄姉と5人の叔父・叔母との同居生活は平和に営まれたが、幸子が死亡し、不可解な遺言状が見つかって状況は一変する。
遺産相続人13人の生死によって、遺産の取り分が増減するというのだ。しかも早速、事件は起きた。
依頼を受けた俊一郎は死相を手掛かりに解決を目指すが、次々と犠牲者が出てしまいー。
文庫書き下ろし、大好評シリーズ第5弾!!

【感 想】

「死相学探偵シリーズ」の書き下ろし第5弾です。
ホラー小説と言うことですが、背筋が凍ると言う描写がそんなにないので、ミステリとして読んでも楽しめるのが良いです。
今回は、遺産相続に関わっての連続殺人ですが、いかにも問題が起きそうな、わざとらしい遺言状が作られているのが楽しいです。

ただ、死相が視えるという探偵・弦矢俊一郎が登場するまでの話が、やたらに長いです。
初めてこのシリーズを読んだ人にとっては、つかみ所の無い展開になっているかも知れないですが、十分に馴染んだものにとっては、それ程の違和感なく、読み進められました。
そういう意味では、マニアックなシリーズなのかも知れませんが、まさか第5弾から読み始める人も居ないだろうと考えると、これでもいいのかも知れません。

その上、最後の犯人を指摘する場面では、ホントは誰が犯人かわからないのでは・・・と思えるほど、話が二転三転しますが、これは他のシリーズでも作者の良くやる手法なので、「またか・・・」と言う事で、楽しく読み流せました。
でも、初めてこういう展開に直面する読者は、ちょっと面食らうでしょうね。

☆☆☆★(50点満点で、☆…10点 ★…2点です)

2016年1月 2日 (土)

2016年元旦の「散歩道と初詣」

元日は6時半頃から散歩に出ました。家を出るときは、まだ真っ暗でした
(画像はクリックすると拡大します)

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第二京阪道路沿いの遊歩道を歩いています。この辺まで来ると、日の出前ですが、あたりは少しずつ明るくなって来ました。

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上のドームが高速道路。ドーム横の道路が、国道一号線です。遊歩道に並んでいる道路は、国道一号線の側道です。

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振り返ってみると、こんな風景でした。側道から一号線に合流しています。

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まもなく日の出の時間です。良い天気で穏やかな2016年の元旦です。

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散歩の途中に、近くの「機物(はたもの)神社」へ初詣に寄りました。
空は明るいですが、太陽が十分にあがっていない時間なので、世間は未だ薄暗い状態です。

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太陽があがって、陽が差して来ました。三が日に初詣に行くのは、中学生時代以来です。

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逆光で、「機物神社」の文字が読めません。

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昨夜は、0時過ぎから甘酒の振る舞いがあって、賑わっていたそうですが・・・。

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この時間は、閑散としていました。

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健康面に絞って、お参りをしてきました。おみくじは、中学生以来、引いたことがありませんので、この日もスルーしました。

2016年1月 1日 (金)

2015年度 「年間ベストテン・ミステリの部」

2016年1月1日になりました。sun

    明けまして おめでとうございます。
              本年も、よろしくお願いします。

昨日の「映画の部」に続き、私が選んだ2015年度「年間ベストテン・ミステリの部」を発表します。
このベストテンは、2014年12月から2015年11月末までに刊行された(広義の意味での)ミステリの新作が選出の対象です。

なお、下線があるのは私のBlog記事にリンクしています。感想等が書いてありますので、一読してみてください。

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① 「赤い博物館」大山誠一郎

本書を読んだときには、この作品は今年度の(私が選ぶベストテンの)ベスト3には入ってくるだろうと思って居ましたが、それ以降に、気に入った長編ミステリがあれば、それを1位にして、本書は2位か3位ぐらいに・・・と考えて居ました。
ところが、さほど感心する長編にも巡り会えなかったと言う事で、今年度の1位になったと言うわけです。
警察小説と言う事ですが、そう思って手に取るとがっかりされるかも知れませんが、是非読んでみてください。

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② 「中野のお父さん」北村薫

「安楽椅子探偵」ものですが、事件を扱うのではなく、ちょっとした「日常の謎」を解決するという話になっています。
何でも無い普通の話から、その世界が広がっていくというのは、読んで居ても楽しいです。
出版社につとめる女性の視点で書かれている話で、毎回、彼女の父親に謎を持ち込むというパターンなのですが、いつの間にか父親に感情移入してしまいました。
この本は、表紙の絵がイマイチ好きになれませんでした。

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③ 「化石少女」麻耶雄嵩

一昨年あたりから、この作者の本を読み返しています。
以前は、肌に合わないところもありましたが、最近は興味深く読めるようになりました。
本書は、京都にある高校で続発する凄惨な殺人事件を扱った話で、探偵役として、化石オタクというユニークな女子高生が登場しますが、なかなか一筋縄で解決しないところが面白いところです。
最初から、この話は最終話にどんな仕掛けが待って居て、どう展開していくのかと楽しみながら読んで居ましたが、期待通りの展開でした。

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④ 「さよならは明日の約束」西澤保彦

ミステリとしては、さほど良く出来た話では無いと思いますが、この話の世界観が好きです。
ミステリ好きの高校生が、祖父母の時代の話を推理したり、本棚に囲まれたコーヒーショップが登場してきたりと、楽しませてくれます。
若い方が読めばさほど面白くないのかも知れませんが、シニア世代の青春小説と言った所ではないでしょうか?
タイトルの意味もよくわからないまま読み始めていきましたが、私にとっては、ちょっと素敵な話でした。

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⑤ 「謎解き広報課」天祢涼

田舎の役場に就職した都会育ちの女性が、広報を編集する部署に配属されたということで、街に出て、記事を集めに行くところで出くわす謎を解いていくと言う連作短編集です。
それ程面白い話ではないとは思いますが、かつて自分自身が「通信」などと言うものを、しこしこ作っていた時期があったので、共感するところも多々ありました。
各話はちょっとバタバタした感じですすみ、最終話に、それまでの総括のような話が登場して、なんとかまとまった感じはしますが、あまりオススメできる本ではないです。
でも、なぜか気に入って居る作品です。

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⑥ 「忘却探偵シリーズ」西尾維新

初登場となる「掟上今日子の備忘録」は去年(2014年)出版されましたが、今年度になって立て続けに、「掟上今日子の推薦文」「掟上今日子の挑戦状」「掟上今日子の遺言書」と出版され、原作にほぼ忠実にテレビドラマ化されたのも楽しんでみていました。
12月に新作・「掟上今日子の退職願」が出版されました。持っては居ますが、未だ読んで居ません。どうやらこれでこのシリーズも終わるのかと言う感じがするのですが・・・。
ちなみに、シリーズの中では、「備忘録」と「遺言状」で語り部となって居る「隠館厄介」のキャラクターが気に入って居ます。

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⑦ 「柳生十兵衛秘剣考 水月之抄」高井忍

男装の女剣士・毛利玄達と柳生十兵衛が、語り伝えられている剣豪の逸話についての謎に取り組むという、ちょっと面白いミステリです。
二人の掛け合いもなかなか面白いので、剣豪のことを知らなくっても十分楽しめますし、剣術小説として読んでも、興味深い話です。
柳生十兵衛についても、今では伝説となっているいろんな事も、作者なりに解釈して、二人に語らせているのも興味深い所です。
ちなみに、本書は「柳生十兵衛秘剣考」の続編になって居ますので、剣豪の逸話などに興味がある方は、合わせて読まれると面白いと思います。

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⑧ 「夕暮れ密室」村崎友

長編ミステリです。本作は、著者のデビュー前の作品で、第23回横溝正史ミステリ大賞で、惜しくも受賞を逃したミステリです。
ちなみに、この年は「受賞作なし」という事でしたが、翌年、「風の歌、星の口笛」で第24回横溝正史ミステリ大賞を受賞され、デビューされました。
話の展開としては、気になる所も多々ありますが、それでも、章を追って、同じ場面がいろんな生徒の目から再現されて語られていく構成は面白かったし、高校生たちの人間関係や学校生活の様子などは良く書けているのじゃないかと思います。

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⑨ 「メビウスの守護者 法医昆虫学捜査官」」川瀬七緒

本書は、法医昆虫学を題材としたミステリ・「法医昆虫学捜査官シリーズ」の第4作になります。
新刊のモニターに応募したところ、プルーク版が送られてきたので、一足先に読ませていただきました。
4作目とも成ると、ハエや蛆の幼虫の様子にも慣れてきたのか、そういう描写にも気持ちが悪くなくなり、引いてしまうことも無く、面白く読めました。
最後には、意外な犯人も用意されていて、良く出来た作品だと思いますが、謎の部分がすべて解明出来ないまま終わってしまったのは、ちょっと残念でした。

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⑩ 「サナキの森 」彩藤アザミ

第一回の「新潮ミステリ-大賞」の受賞作です。
まず、冒頭から驚かされました。
旧仮名遣いで書かれたホラー小説ような章(しかも最終章)に、思わず引きつけられてしまいました。
二つの異なった文体を、上手くかき分けているのは、新人とは思えない筆力だと感心してしまいました。
しかも、良く出来た密室が登場します。
怪奇ミステリのような話の流れですが、読後感は爽やかでした。

【特別賞】 =こちらは、ミステリ以外の作品を・・・=

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「蓮花の契り 出世花」高田郁

高田郁さんの第1作目・「出世花」の続編・完結編です。
「三昧聖(ざんまいひじり)」としてその湯灌場に立ち、死者の無念や心残りを取り除くように、優しい手で亡骸を洗い清めることを、これからの人生の生業とすると決意した、お縁さんの話です。
ずいぶん前に一作目を読んで、待ちに待った二作目が完結編だというのは、ちょっと残念ですが、十分楽しませていただきましたが、年を取ったからなのか、涙無くしては読めませんでした。
興味を持たれた方は、第一作目の「出世花」から読んでみてください。

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「短歌しましょ」高橋悦子

自費出版された短歌の本です。
出版されたすぐ後に、メールで購入する旨を伝えたところ、ご丁寧に一冊贈呈していただきました。今ではAmazonや楽天、hontoなどのネットストアでも購入出来ますので、興味のある方は読んでみてください。
真っ白な紙・1ページに、一首または一句ずつ書かれていますが、読んでいると、いろんなカラーが鮮やかに浮かんで来ますし、詠まれた情景が脳裏に浮かんでくる様な感じがします。難しい言葉を使わず、わかりやすい言葉で書かれているのも良いのでは無いでしょうか?
短歌・俳句の入門書にぴったりです。

=ワースト=

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「ラプラスの魔女」東野圭吾

これまでこの著者の作品は、何か一冊は毎年ベストテンに入って居ました。しかし、今年度は単行本が二冊出版されましたが、どちらも入って来ませんでした。
その上、本書は久々に落胆した作品です。
話はそれなりに面白いのですが、視点がたくさんあって、読んで居て疲れてしまいました。
テレビドラマにでもしたら、面白いのかも知れませんが、視点がたくさんある話は、誰に感情移入して良いのかわからないので、読みにくいですね。

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「王とサーカス」 米澤穂信

購入した当時、一度読みかけて、三分の一ほどのところで辞めてしまいました。でも、12月になって、各紙のベストテンで上位(1位~3位)に入っていたので、頑張って再度読み直しました。
後半部分からは、それなりに面白くなってきたので、なんとか読み終えましたが、私としてはこの本はオススメできません。
「ためしに図書館で借りてきて読めば・・・」とは言うかも知れませんが、普段ミステリを読まない人に、本書(1836円)を購入してまで読んでみて・・・とは言えないですね。

【総 括】

今年度も、残念ながら長編にオススメできるような本があまりありませんでした。
この数年、ライトノベル的な本の出版がふえ、よく知らない新人作家の本を、店頭で見かけることが多くなりました。時々手に取るのですが、イマイチ面白くありません。
そんな事もあって、知らない作家の本を購入することが少なくなりました。

私のベストテンで、各誌のベストテンに入って居るのは、「赤い博物館」の一冊だけでした。
たまたま、三誌でベスト1となって居る「王とサーカス」は購入して居ましたが、途中で挫折してしまい、読みかけのまま積んでありました。
つい最近になって読み終えた今でも、なぜこの本に票が入るのかがナットクできません。
このようなベストテンに票を投じている方々は、おそらく自分のサイフから、お金を出して本を購入して居ない人ばかりなのだろうと、毎年のように思ってしまいます。
一冊が2000円前後と、高くなった単行本を購入する以上は、せめてその価格分だけでも楽しみたいと思うのですが、一般読者が楽しめないような本が各誌のベストテンを占めているような気がして成りません。
この調子では、ますます本を購入して読む人が少なくなってしまいそうですし、私にしても、新刊での購入を見送って、文庫待ちにする本が増えそうです。
それにしても、単行本って、ホントに高く感じますね・・・。

私が選んだ、2014年度の「年間ベストテン・ミステリの部」はこちらを見てください。

=1月8日追加=

eoblog 「みんなのブログ 本」で・・・(Part71)

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Blog記事ランキングおよびブログランキングで、「2015年度 『年間ベストテン・ミステリの部』」が、「本の部」の一位になりました。

たくさんの方に見ていただき、ありがとうございます。

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