映画のパンフレット

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2016年10月

2016年10月25日 (火)

「探偵少女アリサの事件簿 溝ノ口より愛をこめて」東川篤哉

【内 容】

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名探偵は小学生!?

就職先のスーパーを誤発注した大量のオイルサーディーンとともにクビになり、地元で「なんでも屋タチバナ」を始めた、俺、橘良太。

31歳、独身、趣味はナシ、特技は寝ること。
そんな平凡な三十男の俺にある日、子守り依頼が舞い込んだ。
報酬につられて出かけた豪邸で待ちかまえていたのは、ロリータ服の美少女。
わずか十歳にして自らを探偵と信じる無垢で無謀な少女、綾羅木有紗(あやらぎ ありさ)だった・・・。

「ねぇ、おじさん、あたしのこと、ナメてんじゃないの?」
なんでも屋の良太の前に現れた、探偵を名乗る十歳の美少女・有紗。
有紗に殺人鬼の濡れ衣を着せられた良太は、事件を一緒に調べることになって・・・・・・(第1話)。

天才探偵少女とヘタレ三十男の迷コンビが難事件に挑む、
東川篤哉、最新ユーモア・ミステリ!

【感 想】

全4話の連作短編集です。
神奈川県川崎市にある街・溝ノ口と、その周辺で起きる事件の話なので、関西在住の私としては、地図(路線図)とにらめっこしながら読みました(笑)

第1話「名探偵、溝ノ口に現る」
「なんでも屋タチバナ」を始めた、橘良太の視点で書かれています。
彼が絵の(全裸)モデルをして居る間に、その画家の父親が殺されていると言う事件に遭遇します。
第1話では、「なんでも屋」を始めたいきさつと、両親が共に名探偵という10歳の少女・アリサとの出会いが書かれていますが、両親同様、アリサもまた名探偵だったと言う話です。
アリサと橘良太の掛け合いも、楽しく読みました。

第2話「名探偵、南武線に迷う」
特に路線図とにらめっこをしながら読んだ話です。
「はじめてのお使い」に駆り出されたアリサが、父から頼まれた物を届けた相手が、駅前で起きた殺人事件の容疑者という話です。
電車の時間トリックが登場しますが、地元の者で無いとわからないのではと思われるトリックでした(笑)

第3話「名探偵、お屋敷で張り込む」
良太とアリサが監視している離れの部屋の中での事件で、誰も出入りはしていないと言う事で、密室殺人か・・・という騒ぎになります。
トリックとしては、良くある話なのですが、この連作短編の中では、良く出来ていると思います。

第4話「名探偵、球場で足跡を探す」
良太が町内会の野球に参加して、ヒンシュクをかってしまいますが、その後、再戦となった野球のグランドで起こった事件です。
大胆すぎるトリックは、少々いただけませんが、ルートを使ったややこしい計算が出てくるのには驚きました(笑)が、ちょっとおかしな計算でした。
作者は、野球については詳しくないのかも知れません。

新シリーズになりそうな連作短編集でした。久しぶりに楽しめました。
古典ミステリの事なども、チラリと登場してくるので、そういうことも知っていないとユーモアミステリは楽しめないようですね。

☆☆☆★★★(50点満点で、☆…10点 ★…2点です)

2016年10月14日 (金)

ハドソン川の奇跡

【解 説】

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2009年に起こり、奇跡的な生還劇として知られるUSエアウェイズ1549便不時着水事故、通称“ハドソン川の奇跡”と、その後の知られざる真実を映画化。

原題の“Sully”(サリー)とは、USエアウェイズ1549便の機長チェスリー・サレンバーガーのニックネーム。
監督のクリント・イーストウッドは本作の撮影のため、本物のエアバスを購入、さらに救助ボートも実際の救助に使用されたものを使い、オペレーターも同じスタッフを動員、救助隊やボランティア、警察官、ニュースキャスターやパイロットなど、救出に携わった当時の関係者を本人役で多数出演させ、事故を徹底的にリアルに再現した。
イーストウッド作品では初のIMAXカメラを使用して撮影されていて、ほぼ全編がARRI ALEXA 65で撮影された。
トム・ハンクスが「キャプテン」の役を演じるのは『プライベート・ライアン』のキャプテン(大尉)ジョン・H・ミラー、『キャプテン・フィリップス』のキャプテン(船長)リチャード・フィリップスに続いて3度目である。

【あらすじ】

2009年1月15日、USエアウェイズ1549便がニューヨーク・マンハッタンの上空850メートルを飛行中、バードストライクによって全エンジンが停止、コントロールを失う。

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機長のチェスリー・サレンバーガーは必死のコントロールと苦渋の決断の末、ハドソン川に機体を不時着させる。

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その結果、1人の犠牲者も出さず、この奇跡的な生還劇は“ハドソン川の奇跡”として全世界に報道された。

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物語は事故から数日たった所から始まる。

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サレンバーガーは世間から国民的英雄として賞賛されていたが、事故の影響で市街地への墜落という悪夢を見るようになっていた。

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そして、国家運輸安全委員会(NTSB)によって事故原因の調査が行われ、その過程でサレンバーガーの判断が適切であったかどうか、また、左エンジンは本当は動いていたのではないかという検証をされることとなり、彼はNTSBからこの一件について追及を受ける。

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その際告げられた情報によって自身の判断が正しかったのかという不安に苛まれ、今までの人生やあの日を回想する日々を送るようになる。

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そして、検証の最終段階でもある公聴会の日が訪れる。

【感 想】

本物のエアバスを購入したり、救助ボートも実際の救助に使用されたものを使ったり、オペレーターも同じスタッフを動員、救助隊やボランティア、警察官、ニュースキャスターやパイロットなど、救出に携わった当時の関係者を本人役で多数出演させる等々・・・という、手が混んだ制作に脱帽です。これだけでも、見応えがありました。すごい映画ですね。

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映画を観る前は・・・。
ハドソン川に機体を不時着させ、一人の犠牲者も出さなかったこの奇跡的な生還劇は「ハドソン川の奇跡」として全世界に報道され、国民的英雄になったサレンバーガー機長の話は知っていました。
その後、本当に不時着以外の選択肢はなかったのか?
それは乗客たちを命の危機にさらす無茶な判断ではなかったのか?と言った、“機長の究極の決断”に思わぬ疑惑が掛けられてしまい、英雄から一転、一夜にして容疑者になってしまいます。

その後、国家運輸安全委員会(NTSB)による事故原因の調査が始まり、容疑者として追い詰められますが、最終的には、機長の判断が正しかったのだ・・・と、この映画を観る前は、そんな内容の映画だと思って居ました。

でも、映画の邦題である「ハドソン川の奇跡」というタイトルに、惑わされていたのだとわかったのは、原題が“Sully”(サリー)だと知ったときです。
原題の“Sully”とは、USエアウェイズ1549便の機長チェスリー・サレンバーガーのニックネームです。
映画を観ていて、もう一つ間違っていたのは、事故原因の調査が始まり、機長の判断はどうだったのかという事が国家運輸安全委員会で問われていても、巷(ちまた)では、機長のサリーは、容疑者では無く、常に「英雄」だったということです。

映画では、複葉機で飛行訓練をしている機長の、若い頃のエピソードも挿入されていますが、国家運輸安全委員会が開催され居る間の、機長の日常をしつこく描いています。
審議が続く間は、ホテル住まいとなり、眠れない夜は、一人でバーに出かけたり、時には副機長とランニング。
ビルの窓から外を見ていると、旅客機がビルに激突していく幻影が、何度も浮かんできます。
あの瞬間の自分の判断は、間違っていたのだろうか・・・。

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監督・クリント・イーストウッドが作りたかった映画は、あの事件の状況を伝えるだけの再現ドラマでは無く、機長チェスリー・サレンバーガー自身が、その時の判断は、本当に正しかったのかと、自問自答しながらの苦悩の日々を送っていたのだという、そこに焦点を当てた、人間を描いた映画を作りたかったのだと気がつきました。

観終わって、緊急事態の中、わずか数秒で飛行場への帰還を断念し、危険を伴うハドソン川への着水を決断しますが、水平な状態で着水するという高度な操作技術で、155名の乗客全員の命を救った(機長の)サリーに、拍手を送らずには居られませんでした。

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【キャスト】

チェスリー・"サリー"・サレンバーガー - トム・ハンクス
ジェフ・スカイルズ - アーロン・エッカート: USエアウェイズ1549便副機長
ローリー・サレンバーガー - ローラ・リニー: サリーの妻
チャールズ・ポーター - マイク・オマリー(英語版): 国家運輸安全委員会の調査員
ベン・エドワーズ - ジェイミー・シェリダン: 国家運輸安全委員会の調査員
エリザベス・デイヴィス - アンナ・ガン: 国家運輸安全委員会の調査員
マイク・クリアリー - ホルト・マッキャラニー: サリーの同僚
本人役 - ケイティ・クーリック: サリーにインタビューするニュースキャスター
クック大尉 - ジェフ・コーバー: 青年期のサリーの教官
シーラ・デイル - ジェーン・ガバート: 事故機 客室乗務員
ドナ・デント - アン・キューザック: 事故機 客室乗務員
ダイアン・ヒギンズ - ヴァレリー・マハフェイ: 事故機 乗客、ルシールの娘
ルシール・パルマー - デルフィ・ハリントン: 事故機 乗客、ダイアンの母
ジミー・ステファニク - マックス・アドラー: 事故機 乗客、ロブの甥
ジェフ・コロジェイ - サム・ハンティントン: 事故機 乗客、ロブの息子
ジム・ウィテカー - クーパー・ソーントン: 事故機 乗客
赤子を連れた乗客 - オータム・リーザー: 事故機 乗客
バリー・レオナルド - ジェフリー・ノードリング: 事故機 乗客
パトリック・ハーテン - パッチ・ダラー: 航空管制官
ピート - マイケル・ラパポート: バーテンダー
本人役 - ヴィンセント・ロンバーティ: 通勤フェリー船長11

【スタッフ】

監督 クリント・イーストウッド
脚本 トッド・コマーニキ
原作 チェスリー・サレンバーガー
撮影 トム・スターン
編集 ブル・マーリー
配給 ワーナー・ブラザース
上映時間 96分
          画像をクリックすると、拡大します→

=10月16日追加=

eoblog 「みんなのブログ 映画」で・・・(Part32)

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Blogランキングで、「ハドソン川の奇跡」が、「映画の部」の一位になりました

たくさんの方に見ていただき、ありがとうございます。

2016年10月13日 (木)

「危険なビーナス」東野圭吾

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【内 容】

弟が失踪した。
彼の妻・楓(かえで)は、明るくしたたかで魅力的な女性だった。

楓は夫の失踪の原因を探るため、資産家である夫の家族に近づく。
兄である伯朗(はくろう)は楓に頼まれ協力するが、時が経てばたつほど彼女に惹かれていく。

【感 想】

久々の東野圭吾さんの新作です。
前作の「人魚の眠る家」は、未だに、「つん読」状態です(笑)

ところで・・・、
上記の【内容】は、発行店のHPに本書の紹介として書かれていた文章なのですが、これを読んだとき、(主人公の)伯朗と、弟の妻・楓との間に、なにやら変な関係が出来てしまうのでは・・・と勘ぐってしまいますが、そういう話ではありませんでした。

ということで、ネタバレに気をつけながら、少しあらすじも書いてみたいと思います。

池田動物病院の院長代理・手島伯朗(てじま はくろう)の視点で話が進んでいきますので、とても読み易く、その気になれば一日で読めてしまいそうです。

伯朗の父は、彼が幼いころに亡くなっており、父の死後、母は、資産家の御曹司であり、医者の矢神康治という男性と再婚します。
その再婚相手との間に出来た子どもが、弟の“明人”で、ある日突然、「(伯朗の弟の)明人の妻だ」と名乗る女性・楓(かえで)が、伯郎のまえに登場することから話が始まります。

父・康治が危篤であると聞いた明人と楓は、アメリカのシアトルから日本に帰国しますが、帰国後すぐに明人が失踪したということで、(義兄の)伯郎に相談しに来た・・・と言う事です。

母の死後、伯郎は、矢神家の人たちや弟の明人とは疎遠状態になって居たので、明人が結婚していたことを知らされていなくても、違和感は感じなかったようです。
楓の話によると、明人は母の死に疑問を持っていて、矢神家には気をつけるようにと言って居たと言うことですが、伯郎は、楓から、明人の失踪について一緒に調べて欲しいと頼まれます。
父・康治の見舞いに行き、矢神家の遺産相続の話し合いの場に参加させられていくうちに、少しずつ矢神家と父・康治に関する驚くべき事実が次々と明らかになっていきます。

でも、弟・明人の「失踪のヒミツ」と言う事が、前半の焦点になっていたはずなのに、途中から、伯郎の母の死についての謎や、伯郎の父の死についての経過などが明らかになっていきますが、いったい何がこの話の焦点なのかがよくわからない流れになっていきます。

伯郎が、動物病院勤務なので、動物病院内での治療の様子や看護師との会話などが時々出てきますが、その部分が結構楽しかった割には、本筋の話はイマイチでした。
また、ラストのどんでん返しは、ちょっとズッコケる感じの結末でした。

でも、看護師の女性が指摘したように、「女性に惚れっぽい」伯郎の心境などは面白かったので、複雑な家庭環境を背景に持って来て、込み入った話にしなくても良かったのではないでしょうか。
私的には、伯郎の義妹・楓よりも、看護師の女性が魅力的だったので、この話にどう関わってくるのかと興味を持っていたのですが・・・。

☆☆☆★★(50点満点で、☆…10点 ★…2点です)

2016年10月 9日 (日)

50万アクセスを越えました・・・

★★☆☆ 50万アクセス達成です ★★☆☆
      ~\(^-^)/バンザーイ./( )\モヒトツ\(^o^)/バンザーイ

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2016年10月8日の午後8時30分頃に、50万アクセスを越えました。
2011年6月1日に、このブログを始めてから 5年4ヶ月目です。

【経 過】

HP「雨降りだからミステリでも読もう・・・」の一部として、読んだ本の感想を書いたBlog「気まぐれ日記」を、2010年の6月1日から始めました。
2010年6月1日から2011年5月31日までの一年間のHPへの訪問者は、5000カウントを少し越えた数でした。

2011年の6月1日に、Blog「気まぐれ日記」の部分をこのeo-blogに移行しました。
当初は、HP「雨降りだからミステリでも読もう・・・」とBlog「気まぐれ日記」の2本立てでしたが、始めてから5ヶ月ほどで、Blogの方が10000カウントを越えたと言うこともあって、12月よりHPの方を閉鎖し、eo-blogに一本化して、Blogのタイトルを「雨降りだからミステリでも読もう・・・」としました。

移行後、    
   10000カウント・・・2011年6月1日~10月31日(152日)    
   20000カウント・・・          ~2012年1月4日(152日+65日=217日)    
   30000カウント・・・          ~2012年2月20日(217日+47日=264日)    40000カウント・・・          ~2012年4月4日(264日+44日=308日)    
   50000カウント・・・          ~2012年5月31日(308日+57日=365日) 
  100000カウント・・・           ~2013年1月19日(365日+233日=598日)
  200000カウント・・・          ~2013年12月20日(598日+335日=933日)
  300000カウント・・・          ~2014年10月25日(933日+309日=1242日)
    400000カウント・・・          ~2015年9月5日(1242日+315日=1557日)
    500000カウント・・・          ~2016年10月8日(1557日+399日=1956日)

=これまでに書いたBlog記事とコメントの数=

★ Blog記事の数・・・779本 この記事が、780本目です。
★ コメントの数・・・・1914件

1914件のコメントの数のうち、半分は私が書いた返信ですから、いただいたコメントは957件になります。

でも、このカウントが多いのか少ないのかは別にして、この5年5ヶ月で、たくさんの方にお越しいただいたなぁ・・・と驚いています。

このBlogをブックマークしていただいているのは、私を知っているほんの数人だけでしょうし、おそらく、95%以上の方が、通りすがりの方だと思います。

本当にたくさんの方にお越し頂き、あらためて感謝です。
特に今年は、私の周りでいろんな事があって、延べ六ヶ月ほど更新できない時期がありました。まだ、これまでのように、記事のUPが軌道に乗ったとは言えませんが、これまで通りに続けていきたいと思います。

今後とも、ヨロシクお願いしますm(_ _)m
ミステリを読まれて、自分の感想と照らし合わせるなり、購入の参考にしていただけると有り難いです。 

=10月12日追加=

eoblog 「みんなのブログ 本」で・・・(Part73)

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eoblogの記事ランキングで、「50万アクセスを越えました・・・」が、「本の部」の一位になりました。

たくさんの方に見ていただき、ありがとうございます。

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