「探偵少女アリサの事件簿 溝ノ口より愛をこめて」東川篤哉
【内 容】
名探偵は小学生!?
就職先のスーパーを誤発注した大量のオイルサーディーンとともにクビになり、地元で「なんでも屋タチバナ」を始めた、俺、橘良太。
31歳、独身、趣味はナシ、特技は寝ること。
そんな平凡な三十男の俺にある日、子守り依頼が舞い込んだ。
報酬につられて出かけた豪邸で待ちかまえていたのは、ロリータ服の美少女。
わずか十歳にして自らを探偵と信じる無垢で無謀な少女、綾羅木有紗(あやらぎ ありさ)だった・・・。
「ねぇ、おじさん、あたしのこと、ナメてんじゃないの?」
なんでも屋の良太の前に現れた、探偵を名乗る十歳の美少女・有紗。
有紗に殺人鬼の濡れ衣を着せられた良太は、事件を一緒に調べることになって・・・・・・(第1話)。
天才探偵少女とヘタレ三十男の迷コンビが難事件に挑む、
東川篤哉、最新ユーモア・ミステリ!
【感 想】
全4話の連作短編集です。
神奈川県川崎市にある街・溝ノ口と、その周辺で起きる事件の話なので、関西在住の私としては、地図(路線図)とにらめっこしながら読みました(笑)
第1話「名探偵、溝ノ口に現る」
「なんでも屋タチバナ」を始めた、橘良太の視点で書かれています。
彼が絵の(全裸)モデルをして居る間に、その画家の父親が殺されていると言う事件に遭遇します。
第1話では、「なんでも屋」を始めたいきさつと、両親が共に名探偵という10歳の少女・アリサとの出会いが書かれていますが、両親同様、アリサもまた名探偵だったと言う話です。
アリサと橘良太の掛け合いも、楽しく読みました。
第2話「名探偵、南武線に迷う」
特に路線図とにらめっこをしながら読んだ話です。
「はじめてのお使い」に駆り出されたアリサが、父から頼まれた物を届けた相手が、駅前で起きた殺人事件の容疑者という話です。
電車の時間トリックが登場しますが、地元の者で無いとわからないのではと思われるトリックでした(笑)
第3話「名探偵、お屋敷で張り込む」
良太とアリサが監視している離れの部屋の中での事件で、誰も出入りはしていないと言う事で、密室殺人か・・・という騒ぎになります。
トリックとしては、良くある話なのですが、この連作短編の中では、良く出来ていると思います。
第4話「名探偵、球場で足跡を探す」
良太が町内会の野球に参加して、ヒンシュクをかってしまいますが、その後、再戦となった野球のグランドで起こった事件です。
大胆すぎるトリックは、少々いただけませんが、ルートを使ったややこしい計算が出てくるのには驚きました(笑)が、ちょっとおかしな計算でした。
作者は、野球については詳しくないのかも知れません。
新シリーズになりそうな連作短編集でした。久しぶりに楽しめました。
古典ミステリの事なども、チラリと登場してくるので、そういうことも知っていないとユーモアミステリは楽しめないようですね。
☆☆☆★★★(50点満点で、☆…10点 ★…2点です)
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