映画のパンフレット

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2016年10月14日 (金)

ハドソン川の奇跡

【解 説】

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2009年に起こり、奇跡的な生還劇として知られるUSエアウェイズ1549便不時着水事故、通称“ハドソン川の奇跡”と、その後の知られざる真実を映画化。

原題の“Sully”(サリー)とは、USエアウェイズ1549便の機長チェスリー・サレンバーガーのニックネーム。
監督のクリント・イーストウッドは本作の撮影のため、本物のエアバスを購入、さらに救助ボートも実際の救助に使用されたものを使い、オペレーターも同じスタッフを動員、救助隊やボランティア、警察官、ニュースキャスターやパイロットなど、救出に携わった当時の関係者を本人役で多数出演させ、事故を徹底的にリアルに再現した。
イーストウッド作品では初のIMAXカメラを使用して撮影されていて、ほぼ全編がARRI ALEXA 65で撮影された。
トム・ハンクスが「キャプテン」の役を演じるのは『プライベート・ライアン』のキャプテン(大尉)ジョン・H・ミラー、『キャプテン・フィリップス』のキャプテン(船長)リチャード・フィリップスに続いて3度目である。

【あらすじ】

2009年1月15日、USエアウェイズ1549便がニューヨーク・マンハッタンの上空850メートルを飛行中、バードストライクによって全エンジンが停止、コントロールを失う。

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機長のチェスリー・サレンバーガーは必死のコントロールと苦渋の決断の末、ハドソン川に機体を不時着させる。

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その結果、1人の犠牲者も出さず、この奇跡的な生還劇は“ハドソン川の奇跡”として全世界に報道された。

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物語は事故から数日たった所から始まる。

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サレンバーガーは世間から国民的英雄として賞賛されていたが、事故の影響で市街地への墜落という悪夢を見るようになっていた。

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そして、国家運輸安全委員会(NTSB)によって事故原因の調査が行われ、その過程でサレンバーガーの判断が適切であったかどうか、また、左エンジンは本当は動いていたのではないかという検証をされることとなり、彼はNTSBからこの一件について追及を受ける。

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その際告げられた情報によって自身の判断が正しかったのかという不安に苛まれ、今までの人生やあの日を回想する日々を送るようになる。

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そして、検証の最終段階でもある公聴会の日が訪れる。

【感 想】

本物のエアバスを購入したり、救助ボートも実際の救助に使用されたものを使ったり、オペレーターも同じスタッフを動員、救助隊やボランティア、警察官、ニュースキャスターやパイロットなど、救出に携わった当時の関係者を本人役で多数出演させる等々・・・という、手が混んだ制作に脱帽です。これだけでも、見応えがありました。すごい映画ですね。

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映画を観る前は・・・。
ハドソン川に機体を不時着させ、一人の犠牲者も出さなかったこの奇跡的な生還劇は「ハドソン川の奇跡」として全世界に報道され、国民的英雄になったサレンバーガー機長の話は知っていました。
その後、本当に不時着以外の選択肢はなかったのか?
それは乗客たちを命の危機にさらす無茶な判断ではなかったのか?と言った、“機長の究極の決断”に思わぬ疑惑が掛けられてしまい、英雄から一転、一夜にして容疑者になってしまいます。

その後、国家運輸安全委員会(NTSB)による事故原因の調査が始まり、容疑者として追い詰められますが、最終的には、機長の判断が正しかったのだ・・・と、この映画を観る前は、そんな内容の映画だと思って居ました。

でも、映画の邦題である「ハドソン川の奇跡」というタイトルに、惑わされていたのだとわかったのは、原題が“Sully”(サリー)だと知ったときです。
原題の“Sully”とは、USエアウェイズ1549便の機長チェスリー・サレンバーガーのニックネームです。
映画を観ていて、もう一つ間違っていたのは、事故原因の調査が始まり、機長の判断はどうだったのかという事が国家運輸安全委員会で問われていても、巷(ちまた)では、機長のサリーは、容疑者では無く、常に「英雄」だったということです。

映画では、複葉機で飛行訓練をしている機長の、若い頃のエピソードも挿入されていますが、国家運輸安全委員会が開催され居る間の、機長の日常をしつこく描いています。
審議が続く間は、ホテル住まいとなり、眠れない夜は、一人でバーに出かけたり、時には副機長とランニング。
ビルの窓から外を見ていると、旅客機がビルに激突していく幻影が、何度も浮かんできます。
あの瞬間の自分の判断は、間違っていたのだろうか・・・。

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監督・クリント・イーストウッドが作りたかった映画は、あの事件の状況を伝えるだけの再現ドラマでは無く、機長チェスリー・サレンバーガー自身が、その時の判断は、本当に正しかったのかと、自問自答しながらの苦悩の日々を送っていたのだという、そこに焦点を当てた、人間を描いた映画を作りたかったのだと気がつきました。

観終わって、緊急事態の中、わずか数秒で飛行場への帰還を断念し、危険を伴うハドソン川への着水を決断しますが、水平な状態で着水するという高度な操作技術で、155名の乗客全員の命を救った(機長の)サリーに、拍手を送らずには居られませんでした。

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【キャスト】

チェスリー・"サリー"・サレンバーガー - トム・ハンクス
ジェフ・スカイルズ - アーロン・エッカート: USエアウェイズ1549便副機長
ローリー・サレンバーガー - ローラ・リニー: サリーの妻
チャールズ・ポーター - マイク・オマリー(英語版): 国家運輸安全委員会の調査員
ベン・エドワーズ - ジェイミー・シェリダン: 国家運輸安全委員会の調査員
エリザベス・デイヴィス - アンナ・ガン: 国家運輸安全委員会の調査員
マイク・クリアリー - ホルト・マッキャラニー: サリーの同僚
本人役 - ケイティ・クーリック: サリーにインタビューするニュースキャスター
クック大尉 - ジェフ・コーバー: 青年期のサリーの教官
シーラ・デイル - ジェーン・ガバート: 事故機 客室乗務員
ドナ・デント - アン・キューザック: 事故機 客室乗務員
ダイアン・ヒギンズ - ヴァレリー・マハフェイ: 事故機 乗客、ルシールの娘
ルシール・パルマー - デルフィ・ハリントン: 事故機 乗客、ダイアンの母
ジミー・ステファニク - マックス・アドラー: 事故機 乗客、ロブの甥
ジェフ・コロジェイ - サム・ハンティントン: 事故機 乗客、ロブの息子
ジム・ウィテカー - クーパー・ソーントン: 事故機 乗客
赤子を連れた乗客 - オータム・リーザー: 事故機 乗客
バリー・レオナルド - ジェフリー・ノードリング: 事故機 乗客
パトリック・ハーテン - パッチ・ダラー: 航空管制官
ピート - マイケル・ラパポート: バーテンダー
本人役 - ヴィンセント・ロンバーティ: 通勤フェリー船長11

【スタッフ】

監督 クリント・イーストウッド
脚本 トッド・コマーニキ
原作 チェスリー・サレンバーガー
撮影 トム・スターン
編集 ブル・マーリー
配給 ワーナー・ブラザース
上映時間 96分
          画像をクリックすると、拡大します→

=10月16日追加=

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コメント

感想文で

感動しました。

流石

クリント・イーストウッド ですね♪

山すみれさん、こんにちは
こちらでは、初めましてですね。
感想文って、難しいですね。
褒めて戴き、感謝です。

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