映画のパンフレット

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2016年3月

2016年3月 2日 (水)

「安楽探偵」小林泰三

【内 容】

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街いちばんの名探偵の元には、奇妙な依頼人ばかりがやって来る。
熱狂的ファンの中年男に、執拗に真似をされる恐怖を語る人気アイドル。(「アイドルストーカー」)
何者かに太る薬を盛られていると訴えるダイエットマニアの女。(「ダイエット」)
事務所から一歩も出ないものぐさな探偵の推理とは?

全編に仕掛けられた巧妙な罠と黒い笑い。奇才が放つ連作ミステリー。

【目 次】

「アイドルストーカー」
「消去法」
「ダイエット」
「食材」
「命の軽さ
「モリアーティ」

【感 想】

文庫オリジナルの連作短編集です。
4作はWeb文庫で発表されたものですが、最後の2話は、文庫書き下ろしです。

各編とも、ちょっっと変わった依頼が探偵事務所に持ち込まれますが、現場にも行かずに、たちどころに依頼された事柄を解決してしまうという、いわゆる「安楽椅子探偵」ものの話です。
でも、最初の2編は、その謎がほとんどの読者に読めてしまう程度の話です。
ちょっと面白かったのが、第3話の「ダイエット」ですが、何度読み返しても名探偵の出した答えにならないのです。突然のどんでん返しに唖然となってしまいました。

その後の話しも、ちょっと不可解な話だなと思いながら読み進めましたが、やはり最終話に連作短編全体にかかわるオチが用意されていました。
連作短編と言うよりは、6つの章に別れた長編と考えて読む方が良いのではと思います。
最初の2話のつまらない結末に、途中で投げ出してしまいそうでしたが、投げ出さずに良かった・・・というところでした。

☆☆☆★★(50点満点で、☆…10点 ★…2点です)

2016年3月 1日 (火)

「鴨川食堂いつもの」柏井壽

【内 容】

0127

京都発!心もお腹も温まります。
板前の父と探偵の娘はお迎えする、看板のない食堂へようこそ。
京都・東本願寺近くで鴨川流、こいし親娘が営む食堂では、思い出の「味」を捜してくれるという。

食にA級もB級もありまへんけど、人間にも一流も三流もありまへん。みな同じです。
父と一緒に食べた料亭のかけ蕎麦、娘が結婚前に作ってくれたカレーライス、初恋の相手との思い出が詰まった焼きそば、裏切ってしまった女性の実家で出された餃子、親友の母がふるまってくれたオムライス、空腹に耐えきれず手を出してしまったコロッケ。

食が呼び覚ます温かな記憶にふれ、依頼人は明日への一歩を踏み出してゆく。
連続ドラマ化記念、シリーズ初の文庫書き下ろし!

【目 次】

第一話 かけ蕎麦
親にとって、子どもは幾つになっても子ども。

第二話 カレーライス
人間に、一流も三流もありまへん。

第三話 焼きそば
食捜しはするけど、人捜しはせえへん。

第四話 餃子
罪を許された日の、まかない料理。

第五話 オムライス
好物だったのに、見ると吐き気がしてしまう。

第六話 コロッケ
過ちを認めるのに、遅いも早いもありまへん。

【感 想】

NHKでドラマ化されると言うことで、書き下ろされた6話をまとめたものです。
三冊で、18話を一気読みしました。
同じパターンの話が続くと、なかなか読む方もしんどくなりますので、時間をおいて、読めば良かったとちょっと後悔しています。

テレビの方は、次も見たい・・・と思わせてくれるような演出と、実際のお料理が目に出来るので良いですね。
原作では、料理名がズラリと並んでいるだけでは、どんなものなのか想像できないので困りました。

また、テレビの冒頭に出てくる、忽那汐里さんの京都弁のナレーションが何とも言えず良いですね。

『京都・東本願寺そばにある鴨川食堂には、暖簾も、看板もありません。
「思い出の食、捜します」という一行広告だけを頼りに、ようけだどりつかはります。
はて、今日の迷い人は、どなたさんですやろなぁ・・・』

ちなみに、
第1話   母の肉じゃが
第2話   別れた夫のトンカツ
第3話   祖父と食べたナポリタン
第4話   妻の鍋焼きうどん
第5話   おじいちゃんのハンバーグ
第6話   初恋のビーフシチュー
第7話   父親の海苔弁
最終話   金曜日のチャーハン

いずれにせよ、原作がたくさんあるので、テレビの続編を期待しています。

☆☆☆(50点満点で、☆…10点 ★…2点です)

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