探偵ミタライの事件簿 星籠(せいろ)の海
【解 説】
脳科学者でもあり、和製シャーロック・ホームズとも称される名探偵・御手洗(みたらい)潔(きよし)が登場するミステリの映画化。
名探偵・御手洗潔は、日本を代表する本格ミステリーの巨匠・島田荘司が、1981年に発表したデビュー作『占星術殺人事件』で初登場し、「御手洗潔シリーズ」は、総部数550万部を更新し続けている、大人気シリーズである。
その49作目の『星籠の海』(講談社刊)は、上下巻866ページからなる大冊。その面白さを損なうことなく、映画オリジナルのキャラクターも投入して、大胆な脚本化を施した映画が本作・『探偵ミタライの事件簿 星籠の海』である。
監督は「相棒」シリーズの和泉聖治。
主人公の御手洗潔に玉木宏が扮し、映画オリジナルキャラクターで、ヒロインとなる小川みゆき役で広瀬アリスが共演している。
【あらすじ】
物語は、瀬戸内海・愛媛県の小さな島に、身元不明の死体が半年間で6体流れ着くという難事件で幕を開ける。この事件に興味を持ち、御手洗はさっそく現地に飛ぶ。
福山で捨てられた死体が、瀬戸内の複雑な海流で、この入江に流れ着いたことを突き止めた御手洗は、福山へ移動する。
すると、外国人女性の変死体や、口と目を縫い合わされた居比夫婦が赤子を殺され滝つぼで発見されるなど、奇妙な事件が立て続けに発生する。
一方、福山市立大学准教授の滝沢加奈子は、近年発見された福山藩主・阿部正弘に関する新資料の古文書に記されていた「星籠(せいろ)」について調べ始めた頃から、身の回りで不穏な出来事が起こるようになった。
ある日、帰宅途中の加奈子が東南アジア系外国人集団に襲われた事がきっかけで、御手洗たちは「星籠」の謎までも追う事となっていく。
御手洗の超人的な推理により、一見何の関連もないように見えるこれらの出来事が複雑に絡み合っており、次第にその奥に潜む容疑者が浮かび上がってくる。
果たして時計仕掛けの海を舞台に起きた3つの事件の真相と、幕末の歴史に隠された「星籠」の謎とは?
【映画に登場する三つの事件】
【感 想】
TVドラマ「天才探偵ミタライ~難解事件ファイル」で、玉木宏さんが「御手洗潔(みたらいきよし)」役として登場しました。
本での私のイメージ(デビュー作「占星術殺人事件」で感じた変人・奇人)とは、ちょっと違いますが、なかなか素敵な御手洗潔を演じていました。
「御手洗潔シリーズ」では、ワトソン役として、「石岡和己」と言う人物が必ず登場しますが、テレビではKinKi Kidsの堂本光一君でした。
ところが今回は、どういった事情なのか(詮索はしないでおきましょう)、石岡和己は登場せず、助手として、広瀬アリスさん演じる、小川みゆきという女性がキャスティングされています。
この女性のキャラが、なぜが気に入りません。いわゆる「ウザイ」のです。最初から最後まで、これが一番気になっていました。
ちなみに、石岡和己は映画の中では、電話の声のみで登場しますが、エンドロールを観ると、その声は堂本光一君じゃありませんでした。
さて、話としては、いくつかの事件が、幕末の歴史に隠された「星籠(せいろ)」の謎に繋がって行くという流れなんですが、原作の前半部分を大幅にカットして、瀬戸内海での出来事を中心に話が進められているので、そのために話の展開のテンポも良く、わかりやすいストーリーになって居ました。
映画の中で、いくつかの謎が提供されますが、これまでのミステリ映画と比べてしまうと、ちょっと違うところがあります。
というのは、これまでの多くの探偵たちは、次から次へと起こる事件を後から追いかけていき、犯行が全部終わってしまってから犯人を指摘する・・・と言った展開ですが、この映画の御手洗潔は、起こった事件を観察して、先回りして次の事件を未然に防ぎ、犯人を待ち受けるといった事をします。
つまり、謎めいた事件は提示されますが、提示された時点で、御手洗潔にとっては、謎ではなくなって居ると言う事です。
そのために、ミステリというよりは(原作でも感じた事ですが)、サスペンス物を観ているようでした。
しかしながら、複数の事件が一つに繋がり、また戦国時代の水軍の話から、幕末のペリー来航に繋がる歴史ロマンも楽しめたのは、原作の持つ面白さを生かしながら、映画として上手くまとめられたのではないでしょうか?
でも、猛スピードのオートバイで転んだのに、あれだけの怪我しか無かったのかとか、人の家に鍵も無いのにどうして侵入できたのかとか、犯人が犯行の露見する方向になぜ逃げるの・・・と言ったツッコミどころはたくさんありますが、それなりに退屈しないで観ることが出来ました。
ただ、ラストの崖っぷちのシーンは、テレビの二時間ドラマじゃ無いので、辞めて欲しかったですが・・・(笑)
【キャスト】
玉木宏/御手洗潔
広瀬アリス/小川みゆき
石田ひかり/滝沢加奈子
要潤/小坂井准一
谷村美月/辰見洋子
小倉久寛/黒田優作
吉田栄作/槙田邦彦
寺脇康文/夏島健二
神尾佑/居比修三
今野麻美/居比篤子
螢雪次朗/富永幸平
金児憲史/北王子
品川徹/怱那鷹光
片桐竜次/春山誠治
渡辺邦斗/三橋博之
寺井文孝/須藤淳平
【スタッフ】
監督/和泉聖治
原作/島田荘司
脚本/中西健二、長谷川康夫
音楽/岩代太郎
=6月11日追加=
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