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2016年10月14日 (金)

ハドソン川の奇跡

【解 説】

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2009年に起こり、奇跡的な生還劇として知られるUSエアウェイズ1549便不時着水事故、通称“ハドソン川の奇跡”と、その後の知られざる真実を映画化。

原題の“Sully”(サリー)とは、USエアウェイズ1549便の機長チェスリー・サレンバーガーのニックネーム。
監督のクリント・イーストウッドは本作の撮影のため、本物のエアバスを購入、さらに救助ボートも実際の救助に使用されたものを使い、オペレーターも同じスタッフを動員、救助隊やボランティア、警察官、ニュースキャスターやパイロットなど、救出に携わった当時の関係者を本人役で多数出演させ、事故を徹底的にリアルに再現した。
イーストウッド作品では初のIMAXカメラを使用して撮影されていて、ほぼ全編がARRI ALEXA 65で撮影された。
トム・ハンクスが「キャプテン」の役を演じるのは『プライベート・ライアン』のキャプテン(大尉)ジョン・H・ミラー、『キャプテン・フィリップス』のキャプテン(船長)リチャード・フィリップスに続いて3度目である。

【あらすじ】

2009年1月15日、USエアウェイズ1549便がニューヨーク・マンハッタンの上空850メートルを飛行中、バードストライクによって全エンジンが停止、コントロールを失う。

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機長のチェスリー・サレンバーガーは必死のコントロールと苦渋の決断の末、ハドソン川に機体を不時着させる。

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その結果、1人の犠牲者も出さず、この奇跡的な生還劇は“ハドソン川の奇跡”として全世界に報道された。

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物語は事故から数日たった所から始まる。

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サレンバーガーは世間から国民的英雄として賞賛されていたが、事故の影響で市街地への墜落という悪夢を見るようになっていた。

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そして、国家運輸安全委員会(NTSB)によって事故原因の調査が行われ、その過程でサレンバーガーの判断が適切であったかどうか、また、左エンジンは本当は動いていたのではないかという検証をされることとなり、彼はNTSBからこの一件について追及を受ける。

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その際告げられた情報によって自身の判断が正しかったのかという不安に苛まれ、今までの人生やあの日を回想する日々を送るようになる。

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そして、検証の最終段階でもある公聴会の日が訪れる。

【感 想】

本物のエアバスを購入したり、救助ボートも実際の救助に使用されたものを使ったり、オペレーターも同じスタッフを動員、救助隊やボランティア、警察官、ニュースキャスターやパイロットなど、救出に携わった当時の関係者を本人役で多数出演させる等々・・・という、手が混んだ制作に脱帽です。これだけでも、見応えがありました。すごい映画ですね。

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映画を観る前は・・・。
ハドソン川に機体を不時着させ、一人の犠牲者も出さなかったこの奇跡的な生還劇は「ハドソン川の奇跡」として全世界に報道され、国民的英雄になったサレンバーガー機長の話は知っていました。
その後、本当に不時着以外の選択肢はなかったのか?
それは乗客たちを命の危機にさらす無茶な判断ではなかったのか?と言った、“機長の究極の決断”に思わぬ疑惑が掛けられてしまい、英雄から一転、一夜にして容疑者になってしまいます。

その後、国家運輸安全委員会(NTSB)による事故原因の調査が始まり、容疑者として追い詰められますが、最終的には、機長の判断が正しかったのだ・・・と、この映画を観る前は、そんな内容の映画だと思って居ました。

でも、映画の邦題である「ハドソン川の奇跡」というタイトルに、惑わされていたのだとわかったのは、原題が“Sully”(サリー)だと知ったときです。
原題の“Sully”とは、USエアウェイズ1549便の機長チェスリー・サレンバーガーのニックネームです。
映画を観ていて、もう一つ間違っていたのは、事故原因の調査が始まり、機長の判断はどうだったのかという事が国家運輸安全委員会で問われていても、巷(ちまた)では、機長のサリーは、容疑者では無く、常に「英雄」だったということです。

映画では、複葉機で飛行訓練をしている機長の、若い頃のエピソードも挿入されていますが、国家運輸安全委員会が開催され居る間の、機長の日常をしつこく描いています。
審議が続く間は、ホテル住まいとなり、眠れない夜は、一人でバーに出かけたり、時には副機長とランニング。
ビルの窓から外を見ていると、旅客機がビルに激突していく幻影が、何度も浮かんできます。
あの瞬間の自分の判断は、間違っていたのだろうか・・・。

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監督・クリント・イーストウッドが作りたかった映画は、あの事件の状況を伝えるだけの再現ドラマでは無く、機長チェスリー・サレンバーガー自身が、その時の判断は、本当に正しかったのかと、自問自答しながらの苦悩の日々を送っていたのだという、そこに焦点を当てた、人間を描いた映画を作りたかったのだと気がつきました。

観終わって、緊急事態の中、わずか数秒で飛行場への帰還を断念し、危険を伴うハドソン川への着水を決断しますが、水平な状態で着水するという高度な操作技術で、155名の乗客全員の命を救った(機長の)サリーに、拍手を送らずには居られませんでした。

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【キャスト】

チェスリー・"サリー"・サレンバーガー - トム・ハンクス
ジェフ・スカイルズ - アーロン・エッカート: USエアウェイズ1549便副機長
ローリー・サレンバーガー - ローラ・リニー: サリーの妻
チャールズ・ポーター - マイク・オマリー(英語版): 国家運輸安全委員会の調査員
ベン・エドワーズ - ジェイミー・シェリダン: 国家運輸安全委員会の調査員
エリザベス・デイヴィス - アンナ・ガン: 国家運輸安全委員会の調査員
マイク・クリアリー - ホルト・マッキャラニー: サリーの同僚
本人役 - ケイティ・クーリック: サリーにインタビューするニュースキャスター
クック大尉 - ジェフ・コーバー: 青年期のサリーの教官
シーラ・デイル - ジェーン・ガバート: 事故機 客室乗務員
ドナ・デント - アン・キューザック: 事故機 客室乗務員
ダイアン・ヒギンズ - ヴァレリー・マハフェイ: 事故機 乗客、ルシールの娘
ルシール・パルマー - デルフィ・ハリントン: 事故機 乗客、ダイアンの母
ジミー・ステファニク - マックス・アドラー: 事故機 乗客、ロブの甥
ジェフ・コロジェイ - サム・ハンティントン: 事故機 乗客、ロブの息子
ジム・ウィテカー - クーパー・ソーントン: 事故機 乗客
赤子を連れた乗客 - オータム・リーザー: 事故機 乗客
バリー・レオナルド - ジェフリー・ノードリング: 事故機 乗客
パトリック・ハーテン - パッチ・ダラー: 航空管制官
ピート - マイケル・ラパポート: バーテンダー
本人役 - ヴィンセント・ロンバーティ: 通勤フェリー船長11

【スタッフ】

監督 クリント・イーストウッド
脚本 トッド・コマーニキ
原作 チェスリー・サレンバーガー
撮影 トム・スターン
編集 ブル・マーリー
配給 ワーナー・ブラザース
上映時間 96分
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=10月16日追加=

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2016年6月 8日 (水)

探偵ミタライの事件簿 星籠(せいろ)の海

【解 説】

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脳科学者でもあり、和製シャーロック・ホームズとも称される名探偵・御手洗(みたらい)潔(きよし)が登場するミステリの映画化。

名探偵・御手洗潔は、日本を代表する本格ミステリーの巨匠・島田荘司が、1981年に発表したデビュー作『占星術殺人事件』で初登場し、「御手洗潔シリーズ」は、総部数550万部を更新し続けている、大人気シリーズである。

その49作目の『星籠の海』(講談社刊)は、上下巻866ページからなる大冊。その面白さを損なうことなく、映画オリジナルのキャラクターも投入して、大胆な脚本化を施した映画が本作・『探偵ミタライの事件簿 星籠の海』である。

監督は「相棒」シリーズの和泉聖治。
主人公の御手洗潔に玉木宏が扮し、映画オリジナルキャラクターで、ヒロインとなる小川みゆき役で広瀬アリスが共演している。

【あらすじ】

物語は、瀬戸内海・愛媛県の小さな島に、身元不明の死体が半年間で6体流れ着くという難事件で幕を開ける。この事件に興味を持ち、御手洗はさっそく現地に飛ぶ。

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福山で捨てられた死体が、瀬戸内の複雑な海流で、この入江に流れ着いたことを突き止めた御手洗は、福山へ移動する。

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すると、外国人女性の変死体や、口と目を縫い合わされた居比夫婦が赤子を殺され滝つぼで発見されるなど、奇妙な事件が立て続けに発生する。

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一方、福山市立大学准教授の滝沢加奈子は、近年発見された福山藩主・阿部正弘に関する新資料の古文書に記されていた「星籠(せいろ)」について調べ始めた頃から、身の回りで不穏な出来事が起こるようになった。

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ある日、帰宅途中の加奈子が東南アジア系外国人集団に襲われた事がきっかけで、御手洗たちは「星籠」の謎までも追う事となっていく。

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御手洗の超人的な推理により、一見何の関連もないように見えるこれらの出来事が複雑に絡み合っており、次第にその奥に潜む容疑者が浮かび上がってくる。

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果たして時計仕掛けの海を舞台に起きた3つの事件の真相と、幕末の歴史に隠された「星籠」の謎とは?

【映画に登場する三つの事件】

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【感 想】

TVドラマ「天才探偵ミタライ~難解事件ファイル」で、玉木宏さんが「御手洗潔(みたらいきよし)」役として登場しました。

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本での私のイメージ(デビュー作「占星術殺人事件」で感じた変人・奇人)とは、ちょっと違いますが、なかなか素敵な御手洗潔を演じていました。
「御手洗潔シリーズ」では、ワトソン役として、「石岡和己」と言う人物が必ず登場しますが、テレビではKinKi Kidsの堂本光一君でした。
ところが今回は、どういった事情なのか(詮索はしないでおきましょう)、石岡和己は登場せず、助手として、広瀬アリスさん演じる、小川みゆきという女性がキャスティングされています。

この女性のキャラが、なぜが気に入りません。いわゆる「ウザイ」のです。最初から最後まで、これが一番気になっていました。
ちなみに、石岡和己は映画の中では、電話の声のみで登場しますが、エンドロールを観ると、その声は堂本光一君じゃありませんでした。

さて、話としては、いくつかの事件が、幕末の歴史に隠された「星籠(せいろ)」の謎に繋がって行くという流れなんですが、原作の前半部分を大幅にカットして、瀬戸内海での出来事を中心に話が進められているので、そのために話の展開のテンポも良く、わかりやすいストーリーになって居ました。

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映画の中で、いくつかの謎が提供されますが、これまでのミステリ映画と比べてしまうと、ちょっと違うところがあります。
というのは、これまでの多くの探偵たちは、次から次へと起こる事件を後から追いかけていき、犯行が全部終わってしまってから犯人を指摘する・・・と言った展開ですが、この映画の御手洗潔は、起こった事件を観察して、先回りして次の事件を未然に防ぎ、犯人を待ち受けるといった事をします。

つまり、謎めいた事件は提示されますが、提示された時点で、御手洗潔にとっては、謎ではなくなって居ると言う事です。
そのために、ミステリというよりは(原作でも感じた事ですが)、サスペンス物を観ているようでした。

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しかしながら、複数の事件が一つに繋がり、また戦国時代の水軍の話から、幕末のペリー来航に繋がる歴史ロマンも楽しめたのは、原作の持つ面白さを生かしながら、映画として上手くまとめられたのではないでしょうか?
でも、猛スピードのオートバイで転んだのに、あれだけの怪我しか無かったのかとか、人の家に鍵も無いのにどうして侵入できたのかとか、犯人が犯行の露見する方向になぜ逃げるの・・・と言ったツッコミどころはたくさんありますが、それなりに退屈しないで観ることが出来ました。

ただ、ラストの崖っぷちのシーンは、テレビの二時間ドラマじゃ無いので、辞めて欲しかったですが・・・(笑)

【キャスト】

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玉木宏/御手洗潔
広瀬アリス/小川みゆき
石田ひかり/滝沢加奈子
要潤/小坂井准一
谷村美月/辰見洋子
小倉久寛/黒田優作
吉田栄作/槙田邦彦
寺脇康文/夏島健二
神尾佑/居比修三
今野麻美/居比篤子
螢雪次朗/富永幸平
金児憲史/北王子
品川徹/怱那鷹光
片桐竜次/春山誠治
渡辺邦斗/三橋博之
寺井文孝/須藤淳平

【スタッフ】

監督/和泉聖治
原作/島田荘司
脚本/中西健二、長谷川康夫
音楽/岩代太郎

=6月11日追加=

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2016年6月 1日 (水)

殿、利息でござる!

【解 説】

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「武士の家計簿」で知られる歴史家・磯田道史による評伝「無私の日本人」に収録されている一編「穀田屋十三郎」を映画化。

物語の舞台となる仙台出身のフィギュアスケート選手・羽生結弦が、仙台藩の第7代藩主・伊達重村役で映画に初出演を果たした。
「白ゆき姫殺人事件」「ゴールデンスランバー」の中村義洋監督がメガホンをとり、時代劇に本格初挑戦。

江戸時代中期の仙台藩吉岡宿が舞台の実話で、年貢の取り立てや労役で疲弊した宿場町を救うため、藩に金を貸して毎年の利息を地域の住民に配る「宿場救済計画」に尽力する人々の姿を描く。

町の行く末を案じる主人公を、時代劇では初主演となる阿部サダヲほか、瑛太、妻夫木聡、竹内結子、松田龍平という実力派が出演している。
上映時間 129分

【あらすじ】

江戸中期、財政の逼迫(ひっぱく)した仙台藩が領民へ重税を課したことで、破産や夜逃げが続出していた。

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寂れ果てた小さな宿場町の吉岡宿でも、年貢の取り立てや労役で人々が困窮し、造り酒屋を営む穀田屋十三郎(阿部サダヲ)は、町の行く末を案じていた。

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そんなある日、十三郎は、町一番の知恵者である茶師・菅原屋篤平治(瑛太) から、藩に大金を貸し付けて、毎年の利息を住民に配るという、宿場復興のための秘策を打ち明けられる。

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計画が明るみになれば打ち首は免れないが、それでも十三郎と仲間たちは、町を守るために私財を投げ打ち、計画を進める。

【背 景】

=吉岡宿の様子=

吉岡宿の人たちは、藩から伝馬役(てんまやく)と言う使命を負っていたそうです。
仙台藩の物資をとなりの宿場から受け取り、次の宿場に運ぶという役目です。
ところが、吉岡宿は仙台藩の直轄領では無かったので、藩からの助成金は全くなく、それらすべての運営と経費の負担は、宿場の住民が負うと言う事になって居たようです。
通常の重い税以外に、労役などで持ち出す額が多かったので、重税に耐えかねて町を出る住民が増えるばかりだったということです。

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=仙台藩では・・・=

「従四位の下」の官位を欲しいがために、江戸の老中らに多額の賄賂(5万両)を送ったり、幕府の工事(20万両)を自ら買って出る藩主に頭を痛めており、藩自体がどうしようも無い金欠に陥っていました。

藩の財政担当である出入司(しゅつにゅうつかさ)からは、「農民から、搾り取れるだけ、搾り取れ」との指令が出るほどに、困窮していたようです。

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【感 想】

原作が、歴史学者・磯田道史さんだと言うことと、スケートの羽生結弦君が、お殿様役で登場するというので、楽しみに観に行きましたが、事前に、内容については、全く知りませんでした。
タイトルから受けるイメージからは、『お殿様にお金を貸して、利息を取り立てるのに苦労した話』かと思って居ましたが、財政が逼迫(ひっぱく)した藩にお金を貸し、利息を取るために、その元手となるお金を集める算段の話でした。

この映画では、ナレーションで、時代の背景や仙台藩と吉岡宿の様子が詳しく説明されていましたので、すんなりと話に入ることが出来たのは良かったです。
吉岡宿の住民の間には、肝煎(きもいり)と呼ばれる庄屋のような存在があり、またその上には大肝煎(おおきもいり)と言った世襲制の役職もあるので、農民の間にも身分制がキチンと引かれていたことが理解できました。
農民では、大肝煎だけが雨の日に傘を射しても良いという、理不尽な事が当たり前に受け居られていた時代なんですね。

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映画では、1000両(現在の価値で三億円)という金額を、足かけ八年をかけて用意をする住民たちの様子を中心に据え、それを藩に貸し付けるために、大肝煎や吉岡宿を担当する代官が奮闘する様子などが語られます。
特に、お金を工面するのに奔走した9人と、それを取り巻く人々の様子が、しっかり描かれているのに感心しました。

一人一人の特徴を上手く引き出して、それぞれが印象に残る人物に描かれており、俳優さんたちも見事に演じています。
少ないセリフの人物にも、印象に残るセリフを語らせているのは、脚本家の上手いところです。

また、吉岡宿の住民からの借り入れを受け入れる、代官や藩の財政担当の苦悩ぶりが、良く伝わってきます。
一度は、吉岡宿からの嘆願を却下しますが、再度の嘆願の際に代官から、お金を集める住民たちの苦労を聞かされた出入司が、借金を受け入れを許可する所は、とても興味深いです。

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ところで、ミステリなどを読んでいると、良い人だと思われていた人が、実は悪人だったりすることが良くあります。
ミステリでは、犯人が最初からそれらしい人物だったら、すぐにわかってしまうので、仮面をかぶった人物を描いていきますが、現実に、良い人を演じる事はそれ程難しくはなさそうです。

ところがその逆に、話の発端では悪人だと思われていた人物が、本当は心の優しい人だったと言う事が、後になってわかるという話は、芝居などでは、人情話として良くあります。
以前、藤山寛美さんの松竹新喜劇でも、その手法がよく使われ、笑いの中に泣きを織り込んだ芝居に仕上げているのを見た記憶があります。
でも、現実問題として、本当は良い人なのに、周りの人たちから悪人に見られると言う事は、まず無いですね。
一人二人はだませても、世間をだますことは難しいのかも知れません。

閑話休題。

吉岡宿の大肝煎に依頼された代官より、「住民たちが、苦心して集めた1000両分の銭・五千貫文を借りて欲しい」との嘆願書が出ますが、出入司は即、却下との判断を下す・・・とここまで書きました。
もっとも、私が藩の財政担当者だとしても、却下するのは当たり前のことです。
25万両の借金があるのに、1000両ほどを借り入れられたとしても、焼け石に水ではないでしょうか?

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ところが、再度の嘆願で、代官より金銭を集める住民たちの苦労を聞いた出入司は、小判にて1000両献上せよとの許可を出します。
小判にするには、寛永通宝であと八百貫文足りない事になりますが、それでも、住民からの借財を受け入れたと言う事です。
しかしながら、残りの八百貫文も、四苦八苦しながらもなんとかかき集め、小判で1000両を作り、藩に貸し付けることになります。

この辺から、ちょっと訳がわからなくなってきました。
なぜ、藩の財政担当者・出入司は、1000両ほどの借財を受け入れたのでしょうか?
しかも、利息の他に、9人に褒美として、出入司の私邸にて賞金(全部で20両ほど)まで与えると言うでは無いですか。

褒美を受け取る場面では、出入司が直接、賞金を渡していますが、人数が一人足りません。
「あと一人はどうした。」
「目が悪いので、歩いて来られませんでした」
「ならば、馬か籠で来れば良いでは無いか」
「子どもの頃より『人は、馬の背に乗ってはならぬ。人は、人の背で担ぐ籠に乗ってはならぬ』との、父の教えを守って居ります」
「この藩で、一番籠に乗っているお方はどなただと心得て居るのじゃ?」

答えはもちろん「お殿様」と言う事なのでしょうが、この場でそういうことを言えば、即打ち首かも知れません。
でも、恐縮して黙って頭を下げていると、苦虫を潰したような顔で、出入司が去って行きます。
今で言えば、不敬罪にあたるような発言なのでしょうが、この件については一切のお咎めも無く、賞金もそのまま持ち帰り、吉岡宿の住民に分け与えたと言う事です。

ますます、私の頭が混乱してきました。
映画の作りがいい加減なのか、何かウラがあるのか・・・と、考えながら見ていましたが、その次のシーンで、突然、羽生君扮するお殿様の登場です。

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造り酒屋の家に皆が集まっているところへ、突然、仙台藩の藩主・伊達重村がやってきました。
藩主の耳に、節約の末に金銭を集めたと言う事が聞こえたのか、
「予も、皆を見習って、倹約をせねばのう・・・」
筆を取り、半紙3枚に「春風」「寒月」「霜夜」と書き
「酒銘にせよ」
そう言って帰って行きます。
「今日は、馬も籠も使わぬ。歩いて帰る」
ゲスト出演の羽生君ですが、重要な役柄ですね。
このシーンで、藩の財政担当者・出入司の、あの苦虫を潰したような顔を思い出し、一人納得です。

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権力に流され、長いものに巻かれるのが日本人だとすれば、自分の欲を捨て、他人のために何かをなしたいと思うのも日本人です。
江戸中期に、町の存続を図るため、無私の想いを貫いた農民たちの姿を描いた話しですが、この映画の主役・穀田屋十三郎は、遺言で、
「誇ることをせず、何の栄誉も受けとらず、子孫には、先祖が偉いことをしたと言ってはならない」と、戒めたということです。

このため、これまで子孫は多くを語らず、この吉岡宿の出来事は、後世に広く語り継がれることもなかったと、ナレーションで語られ、映画は幕を閉じました。

エンドロールでは、RCサクセションの「上を向いて歩こう」が流れてきました。この映画にぴったりの音楽です。
忌野清志郎さんの懐かしい歌声を聞きながら、最後までゆったりと座ってエンドロールを眺めて居ました。

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【キャスト】

穀田屋十三郎(阿部サダヲ)/造り酒屋
菅原屋篤平治(瑛太) /茶師
浅野屋甚内(妻夫木聡) /造り酒屋、質屋 十三郎とは兄弟
とき(竹内結子)/煮売り屋
千坂仲内(千葉雄大)/大肝煎
きよ(草笛光子)/十三郎、甚内の母
先代・浅野屋甚内(山崎努 )/十三郎、甚内の父
加代(岩田華怜)/穀田屋十三郎の子
穀田屋音右衛門(重岡大毅)/穀田屋十三郎の子
なつ(山本舞香)/菅原屋篤平治の妻

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遠藤幾右衛門(寺脇康文) /肝煎
穀田屋十兵衛(きたろう) /味噌屋 十三郎の叔父。
早坂屋新四郎(橋本一郎)/雑穀屋
穀田屋善八(中本賢) /小間物屋
遠藤寿内(西村雅彦) /両替屋

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伊達重村(羽生結弦)/仙台藩 第7代藩主
萱場杢(松田龍平)/出入司、藩の財政担当
橋本権右衛門(堀部圭亮)/代官

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【スタッフ】

監督 中村義洋
原作 磯田道史
脚本 中村義洋 鈴木謙一
製作総指揮 大角正 両角晃一
プロデューサー池田史嗣 三好英明 鎌田恒幹
撮影 沖村志宏
主題歌 RCサクセション
ナレーション 濱田岳

=6月7日追加=

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2016年2月28日 (日)

X-ミッション

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【解 説】

パトリック・スウェイジ&キアヌ・リーブス主演、キャスリン・ビグロー監督による1991年の名作アクション「ハートブルー」をリメイクした作品
原題は「Point Break」

アスリートによる犯罪集団への潜入捜査を敢行するFBI捜査官の活躍を描く、クライムアクション。
サーフィンやスノーボード界などの有名アスリートがスタントマンとして出演。

CGを使用しない、トップアスリートたちの生身のスタントによって迫力のアクションシーンを創出している。
(上映時間 114分)

【ストーリー】

若きFBI捜査官ジョニー・ユタ(ルーク・ブレイシー)に、超一流アスリートチームに潜入せよとのミッションが下される。

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エクストリーム(過激な要素を持った)・スポーツのカリスマである、ボーディ(エドガー・ラミレス)が率いるこの集団には、重大な疑惑がかけられていた。

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その天才的なスポーツ・スキルを駆使し、前代未聞の方法で次々と犯罪に手を染めているというのだ。

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自らも元アスリートであるユタは、ボーディに度胸と才能を認められ、チームに招き入れられることに成功する。

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しかしながら、命を危険に晒しながら共に行動するうちに、ユタはボーディの究極の信念に心が奪われていく。

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果たして、ユタはFBI捜査官として決定的な証拠を掴み、彼らを捕えることができるのか?

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そして明かされる、彼らの本当の目的とは?

【感 想】

映画館で観ました。3D上映もありましたが、私は普通の2Dでした。
この映画は、「ハートブルー」という、キアヌ・リーブス主演の映画をリメイクした、サスペンス・アクション作品だと言う事ですが、CG(コンピュータ グラフィック)を一切使わないで、一流のアスリートやスタントマンによる実際の演技で作られているということです。

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冒頭の、オートバイでオフロードをぶっ飛ばす、モトクロス競技でも見ることの出来ないような、道なき道を走行するシーンで、まず度肝を抜かれました。
カメラワークにも驚かされましたが、岩肌がむき出した雪山からのスノーボードでの滑降や、空中からの落下シーンなどは、CG無しだと思うと余計に迫力がありました。

ただし、ストーリーはとてもひどいです。
スポーツアクションを見せるためだけに、適当に辻褄を合わせているような感じで、意味不明のところがたくさんありましたが、それでも次々に登場するアクションに、最初から最後まで退屈することなく楽しめました。

でも、この映画のうたい文句は、「CGは一切使っていない」という事ですが、天候や海の荒れ、鉱山の爆破シーンやトラックが落ちていくシーンなどは、特殊効果が使われていたのではないかと思われます。
鉱山を爆破して、オートバイで崖を下って逃げていく所に、砕けた岩が次々に落ちていくのに一つもあたらないなんて、明らかにおかしいです。
おそらく、スポーツアクションのシーンのみ、CGなしで実際に誰かが演じていると言う事ではないでしょうか?

【キャスト】

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ボーディ:エドガー・ラミレス
ジョニー・ユタ:ルーク・ブレイシー
サムサラ:テリーサ・パルマー
アンジェロ・パパス レイ・ウィンストン
クロウダー:トビアス・サンテルマン
FBI捜査官:デルロイ・リンドー

【スタッフ】

監督 エリクソン・コア
脚本 カート・ウィマー
撮影 エリクソン・コア 、 エリクソン・コア
視覚効果監修 ジョン・ネルソン 
衣装デザイン リジー・クリストル 
音楽 トム・ホルケンボルフ

2016年2月 8日 (月)

信長協奏曲(ノブナガコンツェルト)

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【解 説】

2014年10月から12月に放送されて人気を博した、石井あゆみの漫画を基にしたテレビドラマの劇場版。

戦国時代にタイムスリップした上に、自分と瓜二つであった織田信長の代わりを務めることになった高校生の運命を追う。

『ルパン三世』などの小栗旬、『大奥』などの柴咲コウ、『S -最後の警官-』シリーズなどの向井理、『ミロクローゼ』などの山田孝之ら、テレビドラマ版のメンバーが一堂に会する。
監督もテレビ版を手がけた松山博昭が続投した。
迫力満点の合戦シーンに加え、武将たちの絆や思惑が交錯する熱いドラマも必見。

【あらすじ】

戦国時代にタイムスリップした歴史が苦手な高校生サブロー(小栗旬)は、自分と顔が酷似した織田信長(小栗旬)と遭遇する。

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武将の座を投げ出したいと考えていた彼と入れ替わったサブローは、知らず知らずのうちに史実の信長と同じ道を突き進んでいく。

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安土城を築き上げ、妻・帰蝶(柴咲コウ)から慕われ、恒興(向井理)をはじめとする家臣からの信頼が厚いサブロー。

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明智光秀を名乗って生きる信長は、そんな彼に嫉妬し、憎しみを抱くように。

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やがて信長は、本能寺で帰蝶との結婚式を挙げるサブローを亡き者にしようとするが・・・・・・。

【感 想】

2月7日に映画館で観ましたが、日曜日と言うこともあって、結構たくさん入っていました。

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映画の方は、安土城が完成したところから話が始まります。
サブローがタイムスリップして、信長と入れ替わり、妻の帰蝶と池田恒興にはニセモノと知られながらも、織田家の当主として領地を広げていく・・・という、テレビドラマでの話を踏まえたものとして話が進んでいきます。映画の冒頭のところで、その辺のあらすじが、テレビで見た画像で、簡単に紹介されますが、あまりにも簡単すぎて、おそらくテレビドラマを見ていない人には、役柄や細かな人間関係がよくわからなかったのではないでしょうか?

016

今回のメインは、「本能寺の変」から「山﨑の戦い」になるので、光秀と秀吉に焦点が当てられた演出になって居ます(この辺の流れを書いてしまうと、ネタバレしてしまうので、省略して話を進めます)が、「史実の通り」(と言う言葉が、何度も映画に登場します)に話が進んでいくはずなのに、結構アバウトな流れになっており、ツッコミどころはたくさんあります・・・、と言うような野暮なことは言わないでおきましょう(笑)
でも、最後まで退屈しないで、それなりに楽しめました。

013

全体の流れとしては、コメディタッチで作られていますが、帰蝶役の柴咲コウさんと羽柴秀吉役の山田孝之さんが登場すると、コメディじゃなくなってしまうところが良いですね。
特に、柴咲コウさんのツンデレぶりがなかなか素敵で、これほど演技が上手だとは思いませんでした。 
余談ですが、次回のNHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」の主役、井伊直虎を演じられるそうですが、今から楽しみです。

020

話は、「史実の通り」に進んでいき、信長が本能寺で死に、光秀が山﨑の戦いで敗れ殺されてしまうので、小栗旬さんが演じている織田信長と明智光秀は死んでしまうことになりますが、ツッコまれることを恐れない、ユニークなストーリーに仕上がっていますので、本能寺の事件以降は面白く観ることが出来ました。
最後に、今回は、サブローと帰蝶の絡みが多くて、「ツネちゃん」こと池田恒興役の向井理さんの登場シーンが、イマイチ少なかったのが残念でした。

【キャスト】

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小栗旬      サブロー/織田信長/明智光秀        
柴咲コウ     帰蝶    
向井理      池田恒興    
山田孝之     羽柴秀吉            
藤ヶ谷太輔     前田利家        
水原希子     市
濱田岳          徳川家康
古田新太       松永弾正久秀
高嶋政宏       柴田勝家
でんでん        沢彦
勝矢             蜂須賀小六
阪田マサノブ     丹羽長秀
阿部進之介      佐々成政
北村匠海         森長可

【スタッフ】

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監督 - 松山博昭
原作 - 石井あゆみ『信長協奏曲』(小学館刊)
脚本 - 西田征史、岡田道尚、宇山佳祐
音楽 - ☆Taku Takahashi
主題歌-Mr.Children
製作 - 石原隆、久保雅一
エグゼクティブ・プロデューサー - 臼井裕詞
プロデューサー - 稲葉直人、村瀬健、古郡真也
メイク - 佐々木精一
床山 - 泉水貴光
結髪 - 島田紗妃
配給 - 東宝
上映時間 126分

=2月14日追加=

eoblog 「みんなのブログ 映画」で・・・(Part29)

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Blog記事ランキングで、「信長協奏曲(ノブナガコンツェルト)」が、「映画の部」の一位になりました。

たくさんの方に見ていただき、ありがとうございます。

2015年12月31日 (木)

2015年を振り返って・・・(映画・テレビドラマの部)

2015年も、今日一日を残すのみとなりました。
毎年思う事ですが、一年が矢のように過ぎ去っていきますね。

さて、恒例の「ベストテン」(映画・テレビドラマの部)です。
でも、ベストテンと言いながら今年度も、年間のベストテンを選べるほど観ていないので、各部門賞のみです。 
選出は、2014年12月から2015年11月末までに公開された映画・ドラマです。
なお、下線があるのは私のBlog記事にリンクしています。感想等が書いてありますので、一読してみてください。

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【作品賞】

 バンクーバーの朝日   

この映画は、敗戦後70年と言うこともあり、公開時に映画館で絶対に観ようと思っていましたが、いつの間にか終わってしまっていた(おそらく観客動員が出来なかったのでしょうね)ので、DVDが出るのを、首を長くして待って居ました。
有名な俳優さんたちがキャストに名前を連ねていますが、ちょい役の方が多く、ちょっと勿体ないなとは思いましたが、いろんな意味で印象深い作品になりましたので、今年度はなんと言ってもこの一本です。
また、出番が少なかった池松壮亮ですが、ちょっと印象に残りました。

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【主演男優賞】

  松坂桃李(マエストロ!) 

この作品も外せない一本です。
作品自体はイマイチでしたが、音楽を楽しめたところは良かったです。
新人の頃(「麒麟の翼」で初めて見ました)はちょっと線が細いかなと思いながらも、ひそかに注目していた松坂桃季のバイオリニストがさまになっていて、演技がとても上手くなっていたのには驚きました。
西田敏行の毒気に当てられそうになりながらも、立派に主役を張っていました。
助演のmiwaもなかなか可愛くて素敵でした。

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【主演女優賞】

 橋本愛(little forest 冬/春) 

「little forest 夏/秋」をたまたまDVDで見て、はまってしまいました。
何の変哲も無い、田舎での生活の様子を淡々と綴っただけの映画のようですが、退屈することもなく、見入ってしまいました。
一年をかけたロケなのでしょうが、畑仕事をし、そこで収穫した作物を使った料理を作り、それを美味しそうに食べるという、日常の生活をホントに自然な感じで演じていました。
ただ、映画の方は、ラストがちょっと気に入りませんでした。

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【助演男優賞】

 三浦貴大(繕い裁つ人) 

「little forest」にも登場していましたので、合わせての助演賞です。
最初に見たのは「麒麟の翼」でしたが、その時は、あまり印象が良くありませんでした。
でも、「little forest」にしてもそうですが、イヤミの無い演技で、好感を持ちました。
映画の方は、ちょっと不思議な感じの話しで面白いのでしょうが、言葉の関係での違和感がずっとつきまとっていました。

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【助演女優賞】

 松岡茉優(little forest 冬/春)  

今はまだまだ、主役を演じるような俳優ではないのでしょうが、映画に出演していると、ホンのちょい役でもなぜか印象に残ってしまう女優さんです。
この映画だけではなく、いろんな映画やテレビの出演を見てもなかなか良い味を出しています。
「マエストロ!」のmiwaと、どちらにしようかと迷いましたが、演技は断然この人でしょう・・・と言う事で決めました。
いつか、主役を張るような演技派女優となるに違いありません。

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【新人賞】

 落合モトキ(天空の蜂)

新人とは言えないのではないかと思いますが、私はこの映画で初めて知って、あまりにも印象が大きかったので新人賞としました。
作品の方は、迫力があって見応えはありましたが、内容はそれ程ではありませんでした。
でも、この映画の原作が書かれたのが、「もんじゅ」の事故以前の事だと考えると、すごいミステリですね。

【特別賞】

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 オリエント急行殺人事件/TVドラマ全二話

三谷幸喜の脚本で、2夜連続で放送されたスペシャルドラマです。
一話目はほぼ原作通りの展開で、少し物足りなく思って居ましたが、次の日の二話目を見て驚いてしまいました。
探偵役として登場する「勝呂武尊(すぐろ たける)」役の野村萬斎が、ちょっと鼻につく演技でしたが、二話目にはほとんど登場しなかったのも良かったです(笑)
嵐の二宮君ですが、演技も上手く成っていたのには驚きました。

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 掟上今日子の備忘録」

西尾維新のミステリ・『忘却探偵シリーズ』をTVドラマ化したものです。
寝ると記憶がリセットされるという「忘却探偵」・掟上今日子(おきてがみきょうこ)が、依頼人から持ち込まれる事件をほぼ1日で解決に導いていくといったミステリです。
ブログにはUPして居ませんが、今年度、毎週欠かさず観たドラマでした。
主演の新垣結衣がなかなか良い感じですし、幼い頃から何かと不運続きな男性・隠舘厄介(かくしだてやくすけ)を岡田将生が好演しています。
謎が解けた時、厄介から「何か分かったんですか?」と問われると、
「はい。僭越ながら。」と答えるのが約束ごとなのでしょうが、新垣結衣って可愛いですね。

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【ワースト】

 セッション

退屈はしませんでしたが、観た後はドッと疲れが襲ってきました。
見応えはありましたが、賛否が分かれる映画なのは間違いありません。
私はこういう映画は、ちょっと苦手です。観ていて、寒気がでるような感じでした。
音楽関係者は、どんな感想をもっているのか気になるところですが、いろいろネットをくぐって見ても、ほとんど書かれていないですね。

【総 括】

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映画館に足を運ぶことが少なくなり、DVD鑑賞が多くなってしまいました。
新作映画が、半年後にはDVD化されて販売・レンタルされていると言うこともあって、つい映画館に行くのがおろそかになってしまいます。

作品賞の方は、「バンクーバーの朝日」とアメリカン・スナイパーのどちらにしようかと迷いましたが、映画館で観ることが出来ず、DVDが発売されるのを、首を長くして待って居た事もあり、こちらにしました。
映画の出来としては、断然「アメリカン・スナイパー」ですね。

ところで・・・、
今年度に観た映画の何本かは、ブログにUP出来ませんでした。
その中の作品には、映画がはじまって、10分ほどのところで(映画のタイトルが出る前に)映画館から出たくなるような(桐谷美玲が主演している)映画もありました。
このような「ワースト」にも入れたくない映画が数本あったということも、付け加えて置きます。
こういうのがあると、わざわざ映画館に行かずとも、DVD待ちにしようかと思ってしまいます。

「2014年度 映画の部のベストテン」はこちらからどうぞ。

=1月4日追加=

eoblog 「みんなのブログ 映画」で・・・(Part28)

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Blog記事ランキングおよびブログランキングで、「2015年を振り返って・・・(映画・テレビドラマの部)」が、「映画の部」の一位になりました。

たくさんの方に見ていただき、ありがとうございます。

2015年9月12日 (土)

繕い裁つ人(つくろいたつひと)

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【解 説】

池辺葵による同名コミックを、中谷美紀主演で映画化したヒューマンドラマ。

昔ながらの小さな洋裁店の女主人と、彼女が仕立てた服を愛用する人たちとの物語がつづられる。

三浦貴大、片桐はいり、黒木華らが女主人と交流を深める人々に扮し、映画『しあわせのパン』や、第38回モントリオール世界映画祭特別招待作品となった『ぶどうのなみだ』で、日本はもちろん世界でも高く評価されている三島有紀子監督が、神戸のレトロな街並を舞台に、職人の信念と誇りを持つ一人の仕立て屋の女性の生き方を描いている。

神戸市を中心にオール兵庫県ロケを敢行し、古いものと新しいものが混在する神戸の街で、震災を経て今も残る歴史ある邸宅と、異文化への寛容さを感じ取れる港を情緒的に切り取った作品。

【ストーリー】

祖母が始めた仕立て屋『南洋裁店』の後を継いだ市江(中谷美紀)は、古びたミシンをカタカタ言わせて一生ものとなるような服を一着一着丁寧に作っている。

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町の仕立て屋として働く市江のもとには、老若男女問わず多くの人が通う。

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思い出の詰まった洋服を、いまの彼らにフィットするように手を加え、“人生を変える一着”を作り出す。

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そんな市江の洋服に惚れ込んだ、百貨店の営業・藤井(三浦貴大)。市江が一から作る洋服を見てみたいと、ブランド化を提案する。

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昔ながらの職人スタイルを取っているため量産はできず、藤井からの再三にわたるブランド化の提案も断り続けている。

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祖母が作った服の仕立て直しやサイズ直しをし、祖母のデザインを流用した新作を作る日々に、市江は十分満足していた。

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祖母から受け継いだミシンとデザインを大切にし、仕立てを続ける市江だったが、自分がデザインしたドレスを作りたいはずという藤井の熱心なアプローチが市江の心を揺るがす。

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同時に、市江に“繕い”を依頼する人々の姿から、藤井の思いも少しずつ変化していくのであった。

【感 想】

DVDで見ました。
ちょっと気になっていた映画でしたが、わずか30館での上映だと言う事で、大阪の映画館での上映はありませんでした。

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原作がマンガだから・・・と言う事は無いでしょうが、大人のファンタジーといった感じの映画でした。
年を取っても体型が変わっても、繕い手直しされ続け、いつまでも着用できる一点物のドレスやスーツ。そして、それを着用しての、年に一度の夜会。光の差し込む幻想的な感じの縫製室。坂の多い街並みから見える港には、大型の観光船が着岸している・・・。

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話も素敵だったし、絵画を切り取ったような画像もとても素敵でした。
また、中谷美紀扮する市江が着る洋服(衣装)は、とても素晴らしかったです。ファッションに興味がある人なら、衣装を見ているだけでも楽しいでしょうね。

藤井が市江に、ブランド化を進める最初のシーンで、「夢見るための洋服を作っているんです。生活感出してたまるもんですか」と言うセリフがありましたが、仕事場での市江の仕草は、意識的に生活感を出さないようにしているようです。

市江のぶっきらぼうなセリフと仕草が、映画の雰囲気と変に合っていました。
パジャマ姿で、初めて藤井と出会った時の慌てぶりの様子との対比がおかしかったです。このときの様子は普通だったので、洋服を着ているときは、市江自身が、常に「南市江」を演じているんでしょうね。
その息抜きに食べる、喫茶店のレアチーズケーキが美味しそうでした。

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ところで、キャストの一覧に、「杉咲花」という名前があったのですが、初めて聞く名前でした。
映画を見ていたら、どこかで見た顔なのに、なかなか思い出せませんでしたが、クックドゥ(だったかな?)のCMで、ぐっさんこと山口智充さんと、「回鍋肉(ホイコーロー)」をばくばく食べている女の子でした。
CMでは、なかなか食べっぷりが素敵なので、感心していました(笑)

この映画を見ていて、一番違和感があったのは、会話がすべて標準語だったところです。主な出演者だけで無く、高校生たちも道行く若い女性たちも、みんな標準語でした。
神戸が舞台で、神戸の風景や町並みが出てきているのに、そこを歩いている人たちが神戸の言葉を話さないのは、何か変です。関西に住む私としては、とても気になります。
それに、一つ一つのエピソードが、何か取って付けたようでした。特に藤井の妹・葉子(黒木華)の、突然の結婚式には驚きましたし、女子高生たちが、夜会のための服が飾っている部屋に、なぜか忍び込んでいるし・・・と、挙げればたくさんありますが、特に、最後の10分ほどのストーリー(結婚式も夜会も終わった頃から)が、私にはあまり理解できなかったのが残念でした。(ネタバレするといけないので、これ以上は詳しく書けませんm(_ _)m)

それにしても、若い頃から死ぬまで、一生着ることが出来る一点もののスーツやドレスって、何か夢のような素敵な話ですね・・・。

【キャスト】

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南市江:中谷美紀
藤井:三浦貴大
牧葵:片桐はいり
葉子:黒木華
ゆき:杉咲花
泉先生:中尾ミエ
橋本:伊武雅刀
南広江:余貴美子

【スタッフ】

監督:三島有紀子
脚本:林民夫
エグゼクティブプロデューサー:重松圭一
音楽:小林洋平 (作編曲家、サックス奏者)
主題歌:平井堅「切手のないおくりもの」
美術:黒瀧きみえ
衣装デザイン:伊藤佐智子
撮影:阿部一孝

2015年9月 5日 (土)

40万アクセスを越えました・・・

★★☆☆ 40万アクセス達成です ★★☆☆
           ~\(^-^)/バンザーイ./( )\モヒトツ\(^o^)/バンザーイ

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2015年9月5日の午前8時10分頃に、40万アクセスを越えました。
2011年6月1日に、このブログを始めてから 1557日(4年3ヶ月)目になります。

【経 過】

HP「雨降りだからミステリでも読もう・・・」の一部として、読んだ本の感想を書いたBlog「気まぐれ日記」を、2010年の6月1日から始めました。
2010年6月1日から2011年5月31日までの一年間のHPへの訪問者は、5000カウントを少し越えた数でした。

2011年の6月1日に、Blog「気まぐれ日記」の部分をこのeo-blogに移行しました。
当初は、HP「雨降りだからミステリでも読もう・・・」とBlog「気まぐれ日記」の2本立てでしたが、始めてから5ヶ月ほどで、Blogの方が10000カウントを越えたと言うこともあって、12月よりHPの方を閉鎖し、eo-blogに一本化して、Blogのタイトルを「雨降りだからミステリでも読もう・・・」としました。

移行後、    
   10000カウント・・・2011年6月1日~2011年10月31日(152日)    
   20000カウント・・・          ~2012年1月4日(152日+65日=217日)    
   30000カウント・・・          ~2012年2月20日(217日+47日=264日)    
   40000カウント・・・          ~2012年4月4日(264日+44日=308日)    
   50000カウント・・・          ~2012年5月31日(308日+57日=365日) 
  100000カウント・・・           ~2013年1月19日(365日+233日=598日)
  200000カウント・・・          ~2013年12月20日(598日+335日=933日)
  300000カウント・・・          ~2014年10月25日(933日+309日=1242日)
   400000カウント・・・          ~2015年9月5日(1242日+315日=1557日)

=これまでに書いたBlog記事とコメントの数=

★ Blog記事の数・・・723本 この記事が、724本目です。
★ コメントの数・・・・1768件

1768件のコメントの数のうち、半分は私が書いた返信ですから、いただいたコメントは884件になります。

でも、このアクセスのカウント数が多いのか少ないのかは別にして、この4年3ヶ月で、たくさんの方にお越しいただいたなぁ・・・と驚いています。

このBlogをブックマークしていただいているのは、私を知っているほんの数人だけでしょうし、おそらく、95%以上の方が、通りすがりの方だと思います。

特定のブログランキングのサイトには登録もしていないのに、本当にたくさんの方にお越し頂き、あらためて感謝です。 自分の感想と照らし合わせるなり、購入の参考にしていただけると有り難いです。
今後とも、ヨロシクお願いしますm(_ _)m

2015年9月 2日 (水)

天空の蜂

Poster2【解 説】

人気作家・東野圭吾が原子力発電所を題材に1995年に発表した傑作小説を、堤幸彦監督が映画化した社会派サスペンス。

最新鋭の大型ヘリを手に入れたテロリストが、日本全国の原発の停止を求め、稼働中の原発上空でホバリングさせるテロ事件を描く。

困難な直面に立ち向かうヘリコプター設計士を江口洋介、原子力機器の設計士を本木雅弘が演じ、初めての共演を果たす。

東日本大震災による原発事故を経験した日本において、改めて社会と人間の在り方を問う衝撃作。

【ストーリー】

1995年8月8日。愛知県、錦重工業小牧工場。
最新鋭にして日本最大のヘリコプターを防衛庁に納品する式典の日。

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全長34メートル・総重量25トンを誇る最新鋭の自衛隊用超巨大ヘリ《ビッグB》が、ヘリコプター設計士・湯原(江口洋介)の息子・高彦を乗せたまま、突然動き出した。

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遠隔操作によるハイジャックという、驚愕の手口を使った犯人は〈天空の蜂〉と名乗り、”日本全土の原発破棄”を要求。

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遠隔操作されたヘリコプターは、福井県にある原子力発電所「新陽」の真上に静止。
犯人は、「従わなければ、大量の爆発物を搭載したヘリを原子炉に墜落させる」と宣言する。

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機内の子供の父親であり、ビッグBを開発したヘリ設計士・湯原と、原発の設計士・三島(本木雅弘)は、上空に取り残された高彦の救出と、日本消滅の危機を止めるべく奔走するが、政府は原発破棄を回避しようとする。

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燃料切れによる墜落というタイムリミットが迫る中、見えざる敵との攻防が始まる――。

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その頃、《ビッグB》と原発を開発した錦重工業総務課に勤める三島の恋人・赤嶺(仲間由紀恵)は、密かに恋人の無事を祈っていた。

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一方、事件現場付近で捜査にあたる刑事たちは、《ビッグB》を奪った謎の男・雑賀(綾野剛)の行方を追跡。

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聞き込みを続けるうちに、衝撃の真相へと辿り着いていくー

【感 想】

試写会で見ました。
突っ込みどころはたくさんあります(書くと長くなってしまうので省略です)が、それでも楽しく観ることが出来ました。手に汗を握るようなシーンもたくさんあって、2時間18分と言う長さを感じさせないほど、映画に集中出来ました。
9月12日より、ロードショー公開と言う事ですが、大ヒット間違いなし・・・の予感です(笑)

特に、2機のヘリコプターが超接近するシーンなどは圧巻でした。でも、以前ならどのように撮影したんだろうか・・・といろいろ考えてもみましたが、VFXの登場からそういうことも考えなくなり、面白さも半減という所です。

ちなみに、撮影現場での効果をSFX(Special Effects, 特殊効果)と呼ぶのに対し、撮影後に、CGまたは合成処理によって実写映像を加工する効果をVFX(視覚効果)と呼ぶ・・・と言う事で、アメリカのアカデミー賞にはアカデミー視覚効果賞とアカデミー科学技術賞があるそうです。

閑話休題。
映像での見せ場が、大きく分けて2つあります。
まずは、乗っ取られたヘリコプターに子ども(開発責任者の息子)が乗っていたため、その子を救い出そうとするシーン。
そして、そのヘリコプターを原子力発電所の上にに墜落させないように、遠隔操作で軌道を変えるという所です。
どちらも、それなりに見応えがありましたが、これらもVFXで上手く作られているのだと思うと、緊迫感も薄れてくるような感じです。それでも、観ていて思わず身を乗り出しそうになりました。

さらに、原子力発電所の現場の裏では、地道な犯人捜しが行われ、見つけられた犯人の確保の様子などがその間に挟まれていますが、この話が入ってくることで、見応えのある映画になって居ますし、最後には意外な結末が用意されているということで、原作の面白さが上手く生かされています。

ところで、この映画の主題に、「原子力発電所の安全性」と言う事があると思うのですが、原発推進の側面や、反原発の立場も描きながらも、原発の是非については、結局はどうなんだと言うことがはっきりしない映画になって居るようです。
原作者である東野圭吾さんの他の作品を読んでみても、そういった立場で書かれているのですが、原発のことについては、国民一人一人がもっとよく考えていかないといけない・・・と言う事なんでしょうね。

でも、映画のラストのところで、「本当に狂っているのは誰か・・・」というセリフが登場します。この映画を見て、原発は安全性は確保されているけれど、事故が起こったときに、その事実を隠蔽したり、(現場に居ない人物の)誤った判断でより被害を増大させているのではないかと言うような描き方をされているような気がします。
もっとも、商業ベースに乗せようと思えば、そういう立場を取らないといけないのでしょうけど・・・。

最後に、この原作は1995年に書かれたものです。
この後に、高速増殖炉の「もんじゅ」の事故とその隠蔽工作の問題が起こり、また2011年には3.11の大震災による原発事故があったと言うことを考えると、今更ながらすごいミステリですね。

【キャスト】
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湯原一彰 - 江口洋介
三島幸一 - 本木雅弘
赤嶺淳子 - 仲間由紀恵
雑賀勲 - 綾野剛
佐久間福井県消防課 - 光石研
今枝福井県警警備課 - 佐藤二朗
根上三等空佐 - やべきょうすけ
高坂愛知県警特捜班長 - 手塚とおる
野村愛知県警特捜班刑事 - 松島花
湯原篤子 - 石橋けい
芦田警察庁長官 - 竹中直人
関根福井県警捜査一課刑事 - 落合モトキ
湯原高彦 - 田口翔大
湯原高彦(成人) - 向井理
上条二等空曹 - 永瀬匡
筒井炉燃理事長 - 石橋蓮司
中塚一 - 國村隼142927976756907517178
室伏周吉 - 柄本明

【スタッフ】

原作 - 東野圭吾『天空の蜂』(講談社文庫)
監督 - 堤幸彦
脚本 - 楠野一郎
音楽 - リチャード・プリン
主題歌 - 秦基博「Q & A」
撮影 - 唐沢悟
助監督 - 白石達也
VFXディレクター - 阪上和也
アクションコーディネーター - 諸鍛冶裕太
音響効果 - 北田雅也

2015年8月31日 (月)

深夜食堂 劇場版

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【解 説】

繁華街の路地裏にある小さな食堂を営むマスターと、彼が作る懐かしい味を求めて集う客たちとの交流を描く、安倍夜郎の人気コミック「深夜食堂」。

同作をテレビドラマ版と同じく、小林薫を主演に迎えて映画化。

寡黙なマスターとワケありな客たちが巻き起こす心温まるエピソードを紡ぐのは、人間ドラマに定評のある松岡錠司。

食堂に置き忘れられていた骨壷の話を軸に、オムニバス形式で「ナポリタン」「とろろご飯」「カレーライス」の3つのエピソードが展開されます。

【ストーリー】

街のある一角に、深夜0時になると開くめしやがある。

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掲げられたメニューは豚汁定食、ビール、酒、焼酎しかないが、マスター(小林薫)ができるものだったら言えば作ってくれる。

めしやにはいつもマスターの味と居心地の良さを求めて人が集まる。

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ある日、店に骨壷が置き忘れられていた。

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常連客たちが骨壷をネタにああだこうだ話に花を咲かせていたところ、久しぶりにたまこ(高岡早紀)がやってくる。
最近愛人を亡くした彼女は、新しいパトロンを探している最中だった。

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無銭飲食をしたことを機に、マスターの手伝いを兼ねて住み込みで働くことになったみちる(多部未華子)。

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いつのまにかめしやに馴染むが、どこか事情を抱えたままで・・・。

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福島の被災地から来た謙三(筒井道隆)は、夜な夜なめしやに現れては、常連のあけみ(菊池亜希子)に会いたいと騒いでは店の客と一悶着・・・。

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春夏秋冬、ちょっとワケありな客たちが現れては、マスターの作る懐かしい味に心の重荷を下ろし、胃袋を満たしては新しい明日への一歩を踏み出していく。

【感 想】

DVDで見ました。
コミックの映画化だそうですが、読んだことはありませんし、テレビで深夜に放映されていたことも全く知りませんでした。
映画には、テレビ版に出てくる常連さんたちが、ちょこっとずつ顔を出しますが、テレビを見たことのないものにとっては、誰が誰だかわからないし、その人物がどういう背景でこの「深夜食堂」に来ているのかもよくわからないので、あまり面白くありません。
深夜0時から開店する食堂に、若いOL風の女性が常連として来るって言うのは、どう考えてもおかしいし、終電もないのに店を出た後どうするんだろうと、つい関係のないことまで考えてしまいます。
映画として作る以上は、テレビドラマの続きじゃなくって、独立した一つの作品として作って欲しいと思います。

映画は、「深夜食堂」の店内で骨壺が置き忘れられていたというプロローグ的な話から始まり、料理名をタイトルとする三つのエピソードからなって居ます。

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まず、「ナポリタン」。
パトロンが亡くなってしまったと言う事で、新しいパトロンを探しているというたまこ(高岡早紀)が、「深夜食堂」のカウンターの横に座って居た、あまりイカさない男性・はじめ(柄本時生)と簡単に意気投合してしまうのですが、まずその辺がよくわかりません。パトロンを探していたのじゃなかったの・・・?
また、たまこがフォークで食べていたパスタを、「食べてみる」と言われて、はじめが自分の使っていたお箸でパスタを食べ出すと言うシーンはどうもいけません。
ただ、「うちの田舎じゃ、『イタリアン』って言うのよ・・・」というたまこのセリフがありましたが、私の子どもの頃もナポリタンじゃなく「イタリアン」と呼んでいたので、彼女の田舎は関西なのかな・・・と、ふと思いました。

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2話目は「とろろご飯」。
「深夜食堂」で無銭飲食したみちる(多部未華子)が、腱鞘炎で上手く調理が出来なくなったマスターにかわり、右手が治るまでと言う条件で、住み込みで働くことになりますが、普通はこんな店で無銭飲食しようと思うでしょうか・・・?
みちるは、故郷で料理をほめてくれた男性が、「東京で店を出さないか」と言った言葉にだまされて上京し、その男性に貯金を使い込まれてしまって、ホームレス状態になって居るという設定です。
途中で、みちるをだました男が突然「深夜食堂」に現れますが、どうしてみちるの居場所がわかったのでしょうか。また、他のお客さんが大勢居るカウンターの席で、そういったいきさつの話をするなんて、あり得ません。
また、このとろろご飯ですが、注文を受ける度に土鍋で麦飯を炊いているようです。ずいぶん時間がかかるだろうし、一人前の量が土鍋一杯の麦飯って、すごい分量ですね。

203

3話目は「カレーライス」。
震災で妻を亡くしたという謙三(筒井道隆)が、復興ボランティアとして炊き出しなどをしていたあけみ(菊池亜希子)を好きになってしまい、ストーカーのごとく東京にまで出て来て追い回すという話なんですが、あけみと言う女性も、上司との不倫が解消してしまい、居場所がなくなったと言う事で、ボランティアに出かけたと言う設定です。
友人たちと飲んで居たあけみが、酔った勢いでストーカーの謙三の泊まっているホテルに押しかけ、彼の部屋で話をしているうちに、寝込んでしまうと言うストーリーは、どう考えてもあり得ないでしょう。
また、炊き出しで食べたカレーの味と、この「深夜食堂」で出されたカレーの味が同じだとわかるなんて、謙三ってすごい味覚の持ち主ですね。
ついでに、東京観光のバスガイドさんが、上野駅の案内で「金のタマゴ」と言う言葉が出てこないという詰まらないワンシーンはいりません。面白くも何ともありません。

エピローグで、骨壺の持ち主(田中裕子)が登場し、そのいきさつが判明しますが、会話を聞いていると、置かれたのが2,3日ほど前かのような錯覚をしてしまします。
常連客はハローウィンの仮装をしています(ハローウィンなので、この日は10月31日とわかります)が、これって置かれてから何ヶ月後の話なんでしょうか?
その後、第2話に登場していたみちるが、差し入れの重箱を持って「深夜食堂」に現れるというところで話は終わりますが、理解できない話が続いたので、観終わってとても疲れました。

心温まる良い話(?)でまとめているようですが、各エピソードともイマイチ私には理解できない設定が登場し、しかも取って付けたようなストーリーなので、戸惑うばかりでした。
また、エピソードの中での時間の経過もよくわかりませんでした。画面は連続していないのに、話の内容はうまく繋がっているのには、ついて行けませんでした。
最後に、お客の誰一人も喫煙していない(カウンターには灰皿も置いてなかった)のに、調理をおえたマスターが、カウンターの中で一人で喫煙しているシーンにはちょっと驚きました。
しかも、お客さんに向かって煙を吐き出している・・・、私なら、この「深夜食堂」には、出入りしないでしょうね。

【キャスト】

204

マスター - 小林薫
忠さん - 不破万作
小寿々 - 綾田俊樹
竜 - 松重豊
野口 - 光石研
マリリン - 安藤玉恵
ミキ - 須藤理彩
ルミ - 小林麻子
カナ - 吉本菜穂子
八郎 - 中山祐一朗
ゲン - 山中崇
小道 - 宇野祥平
金本 - 金子清文
足立 サヤ - 平田薫
夏木 いずみ - 篠原ゆき子
かすみ - 谷村美月
小暮 - オダギリジョー
川島 たまこ - 高岡早紀
西田 はじめ - 柄本時生
栗山 みちる - 多部未華子
塙 千恵子 - 余貴美子
大石 謙三 - 筒井道隆
杉田 あけみ - 菊池亜希子
長谷川 タダオ - 渋川清彦
塚口 街子 - 田中裕子

【スタッフ】

原作 - 安倍夜郎『深夜食堂』(「ビッグコミックオリジナル」連載中 / 小学館)
監督 - 松岡錠司
脚本 - 真辺克彦、小嶋健作、松岡錠司

2015年8月 8日 (土)

マエストロ!

【解 説】

001

第12回文化庁メディア芸術祭で最優秀賞に輝いた、さそうあきらの人気コミックを松坂桃李主演で映画化。

不況のあおりで解散したオーケストラの再起を、若手コンサートマスターと謎の指揮者を中心につづる感動のドラマ。

コンサートマスターに松坂桃李、指揮者に西田敏行がふんし、寄せ集めの演奏者たちが破天荒な指揮者を前に一転、復活のコンサートを目指し奮闘するさまを、笑いと涙を交えて描き出す。

メガホンを取るのは、『毎日かあさん』などの小林聖太郎。
随所に登場するクラシック音楽のトリビアや、松坂桃李と西田敏行がそれぞれ挑む楽器演奏と指揮にも期待。

人気シンガーソングライターのmiwaが、フルート奏者役で映画初出演を果たす。

【ストーリー】

ヴァイオリニストでコンサートマスターの香坂真一(松坂桃李)のもとに、不況で解散した名門オーケストラ再結成の話が舞い込む。

012

しかし練習場は廃工場。
集まってきたのは再就職先も決まらない“負け組”楽団員たちと、アマチュアフルート奏者の橘あまね(miwa)だけだった。

013

久しぶりに合わせた音はとてもプロとは言えず、不安が募る香坂。

015

そこに謎の指揮者・天道徹三郎(西田敏行)がやって来る。

016

彼は再結成を企画した張本人だが、経歴も素性も不明。下ネタを連発し、指揮棒の代わりに大工道具を振り回す。

014

そんな自分勝手な進め方に楽団員たちは反発するが、次第に天道が導く音の深さに全員が引き込まれてしまう。

021

やがて楽団員たちは、その破天荒な指揮に導かれ、それぞれが抱えていた心の傷と挫折から自信を取り戻していく。

020

あまねのひた向きに音楽に取り組む姿勢を目の前にしながらも、香坂は名ヴァイオリニストだった父親が死んだ裏には天道が関係していた事を知り、反発を強めてしまう。

022

そして迎えた復活コンサート当日。
意気揚々と演奏に臨むオーケストラのメンバーたちは、天道が仕掛けた本当の秘密を知ることになる・・・・・・。

【感 想】

映画の中で、関西弁を使う役柄の人がたくさん登場(やくざも関西弁だった)するので、この映画の舞台となって居るのは、大阪だと思っていましたが、東京だったようです。
途中に、駅のプラットホームでバイオリン演奏をするシーンが出てきますが、その時にチラッと駅名が見えたのでわかりました。

劇中の演奏会で演奏される「運命」と「未完成」の実際の演奏は、佐渡裕さん指揮のオーケストラ:ベルリン・ドイツ交響楽団と言うことなので、音響の良い映画館で聞いたら良かったでしょうね。

019

もちろん映画の中では、役者さんたちが演奏しているふり(演技)をしているだけなのに、結構様になっていました。
映画「麒麟の翼」で初めて松坂桃李を見たときは、線の細い、あまりパッとしない俳優さんだと思いましたが、この映画ではしっかり役をこなしていました。
また、シンガーソングライターのmiwaがなかなかユニークな役柄で良かったです。しかも、彼女の「神戸弁」がそれなりに様になっていたので驚きました。

でも、ストーリーの中に、香坂真一の子どもの頃の記憶だったり、橘あかねの阪神淡路大震災の記憶(だから「神戸弁」なのだと納得)などが含まれていますが、映画の中で上手く消化されていないのが残念です。
いろんな問題が重なり合って居るだけで、そのまとめもしないままに話が進んでいくので、観ている方は置いてきぼりを食ってしまいました。

017

スポンサーに逃げられた演奏会の会場費や楽団員たちのギャラの問題もそうですし、演奏会の会場はいつの間にチケットが売れたのか超満員だし・・・と、あげていけばキリが無いほど不可解な話になってしまっています。
震災孤児になった橘あまねが、なぜフルートがプロ並みに上手になっているのかわからないし、香坂真一が、父の形見でもある9桁(1億円以上)もするバイオリンを、無造作にぶら下げて運んでいると言うのも理解できませんでした。

でも、良い音楽とそれについての解説も聞き、エンドロールでは辻井伸行さんの演奏が静かに流れる・・・、何も考えずにゆったりとした気分で見れば、なかなか面白い映画です。

122【キャスト】

香坂真一 - 松坂桃李
天道徹三郎 - 西田敏行
(青年時代:木下半太)
橘あまね - miwa
榊涼子 - 河井青葉
村上伊佐夫 - 大石吾朗:第1ヴァイオリン
谷ゆきえ - 濱田マリ:第2ヴァイオリン
002阿久津健太郎 - 古舘寛治:ヴィオラ
今泉徹 - 池田鉄洋:コントラバス
鈴木稔 - モロ師岡:フルート
一丁田薫 - 斎藤暁:ホルン
島岡脩三 - 嶋田久作:ホルン
可部直人 - 村杉蝉之介:クラリネット
伊丹秀佳 - 小林且弥:オーボエ
丹下浩 - 中村倫也:ティンパニ
相馬宏明 - 松重豊:オペラハウスのマネージャー
香坂一彦 - 淵上泰史:真一の亡父
天道ハル - 宮下順子:徹三郎の女房
(青年時代:中村ゆり)
石野 - 鹿野真央
丸尾 - 梅舟惟永
浅田 - 池田大
水上 - 南拓哉
米田 - テント
新井 - 長原成樹
館長 - 石井正則
金さん - でんでん:整備士

123

【スタッフ】

監督:小林聖太郎
脚本:奥寺佐渡子
原作:さそうあきら『マエストロ』(双葉社刊)
音楽:上野耕路
指揮指導:佐渡裕
オーケストラ:ベルリン・ドイツ交響楽団 (Deutsches Symphonie-Orchester Berlin)
エンディングテーマ:辻井伸行 『マエストロ!』

2015年7月19日 (日)

アメリカン・スナイパー

【解 説】

Poster2アメリカ軍で最も強い狙撃手と呼ばれた、クリス・カイルの自叙伝を実写化したドラマ。
アメリカ海軍特殊部隊ネイビーシールズ所属のスナイパーであった彼が、イラク戦争で数々の戦果を挙げながらも心に傷を負っていくさまを見つめる。

メガホンを取るのは、『ミリオンダラー・ベイビー』などのクリント・イーストウッド。『世界にひとつのプレイブック』などのブラッドリー・クーパーが主演を務め、プロデューサーとしても名を連ねている。
過酷な戦場での実情や、故郷に残してきた家族への思いなど、ひとりの兵士の姿を通して、現代のアメリカが直面する問題を浮き彫りにする。
戦争とは何かを問うテーマに加え、壮絶な戦闘描写も見もの。

【ストーリー】

米海軍特殊部隊ネイビー・シールズに入隊し、イラク戦争に狙撃手として派遣されたクリス(ブラッドリー・クーパー)。

001

その任務は“どんなに過酷な状況でも仲間を必ず守ること”。
狙撃精度の高さで多くの仲間を救ったクリスは “レジェンド”の異名を轟かせるまでになる。

003

しかし、敵の間にもその腕前が知れ渡り、“悪魔”と恐れられるようになった彼の首には18万ドルの賞金が掛けられ、彼自身が標的となってしまう。

004

一方、家族はクリスの無事を願い続けていた。

006

家族との平穏な生活と、想像を絶する極限状況の戦地。

005

過酷なイラク遠征は4度。
愛する家族を国に残し、終わりのない戦争は幾度となく彼を戦場に向かわせる。

002

度重なる戦地への遠征は、クリスの心を序々に蝕んでゆく・・・。

【感 想】

最初のシーン・・・、アメリカ海兵隊の戦車が随伴歩兵と共に進撃していくその後方の建物の屋上で、スナイパーであるクリス・カイルがライフルを手に掃討作戦の様子をじっと見守っているところに、海兵隊の進路上に不審な親子を発見したカイルは、母親が子供に対戦車手榴弾を手渡すのを確認して、子供に照準を合わせ、まさしく引き金に指をかけるところで、銃声と共にカイルの子ども時代の話に画面が代わります。
隣に居た海兵隊員から、「間違ったら軍刑務所行きだぞ」と忠告されますが、その言葉に反応もせず、何のためらいも無く幼い子どもに銃口を向けているところは、少し寒気がしました。

アメリカ大使館爆破事件をテレビで見たカイルは、愛国心から海軍に志願しますが、その厳しい訓練の様子は、少し前に観た映画「セッション」の鬼コーチをふと思い出してしまいました(笑)
酒場で知り合った女性・タヤと結婚し、平和な日々を過ごして居たところ、「アメリカ同時多発テロ」をきっかけに戦争が始まり、カイルも戦地に向かうと言うことになります。

その後の展開は、2時間14分と言う長さを感じさせないほど、固唾をのみながら映画を観ていました。
戦争のシーンというと、先の戦争でのイメージが強いため、イラクでの戦闘状態の様子は、よく知りませんでしたが、目を覆うばかりの状況で、迫力のある映像に圧倒されてしまいました。

戦場から帰還した兵士たちが、PTSDで苦しむことが多いと言うことは良く聞く話ですが、まさに想像を絶するようなすさまじい戦闘シーンで、確かに正常な神経では、あの場所には居られないでしょうね。

四度目に帰還してきたカイルが、カウンセリングを受けているシーンで、
「戦地で160人以上も射殺したと言う事ですが、もしかして経験しなければ良かったと思った事は?」と、カウンセラーが質問しますが、
「悔やむのは、救えなかった仲間のこと」だと答えています。
最前線で戦っているときは、国や仲間を救う使命感と、自分が死と向かい合っているという恐怖感とで、平和ボケしている私たちには理解できない精神状態になるんでしょうね。
人間らしい心の持ち方が出来ない状況に長い間おかれてきたために、除隊後には原因不明の体調不良や精神疾患に悩まされるのかも知れません。

彼の妻・タヤが、戦地から帰国するたびに変わっていく夫の姿に苦しみ、人間らしさを取り戻してほしいと嘆願しますが、少しずつカイルとの溝が広がっていくのを感じているタヤの気持ちを思うと、何とも心が痛みます。

クリスが幼い頃、父親から「お前は羊たちを狼から守る番犬になれ」と教えられてきたことで、自分がアメリカを守るという責任感に満ち溢れ、戦場での活躍に繋がっていくのですが、除隊後、家族や友人と庭で遊んでいた時に、子どもとじゃれていた犬に突然襲いかかると言うのは、何とも象徴的なシーンでした。

また、最後の戦闘シーンで、爆弾らしき物を抱えた子どもに、「(爆弾を)捨てろ」とつぶやきながらライフルの照準を合わせ、引き金を引こうとする瞬間に、子どもがその爆弾らしき物を捨てて走って行くところで、カイルの顔がアップになりますが、ホッとしたような何とも言えない表情が印象に残りました。

この映画を観ていて一番思ったことは、近い将来、この状況の中に置かれてしまう日本人が出てくるのでは無いかという事です。
戦後70年たって、平和ボケしてしまっている私たちですが、戦争の状態とは、正常な神経では生きていけない世界なんだと言うことを再度認識しないといけないと思いますし、この映画のような場所に、日本の若者を派遣しようとするのは、何とも言いがたい恐怖を感じます。
そんな所に突き進んでいこうとしている戦争を知らない政治家たちにも、この映画を観て、考えて欲しいものです。

【キャスト】

012

クリス・カイル - ブラッドリー・クーパー
タヤ・カイル- シエナ・ミラ
コルトン・カイル - マックス・チャールズ
マーク・リー - ルーク・グライムス
ゴート=ウィンストン - カイル・ガルナー
マーテンス提督 - サム・ジェーガー
ライアン・“ビグルス”・ジョブ - ジェイク・マクドーマン
“D”/ダンドリッジ - コリー・ハードリクト
アル=オボーディ師 - ナヴィド・ネガーバン
スニードDIA捜査官 - エリック・クローズ
スクワール - エリック・ラディーン
トニー - レイ・ガイエゴス
ドーバー - ケヴィン・ラーチ
ギレスピー海軍大佐 - ブライアン・ハリセイ
ウェイン・カイル - ベン・リード
デビー・カイル - エリース・ロバートソン
ジェフ・カイル - キーア・オドネル
サラ - マーネット・パターソン
ロール教官 - レオナルド・ロバーツ
ムスタファ - サミー・シーク
虐殺者 - ミド・ハマダ

【スタッフ】

監督 クリント・イーストウッド
脚本 ジェイソン・ホール
原作 クリス・カイル『ネイビー・シールズ最強の狙撃手』(原書房)
撮影 トム・スターン

=7月25日追加=

eoblog 「みんなのブログ 映画」で・・・(Part27)

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Blog記事ランキングで、「アメリカン・スナイパー」が、「映画の部」の一位になりました。

たくさんの方に見ていただき、ありがとうございます。

2015年7月12日 (日)

バンクーバーの朝日

0016【解 説】

1914~41年、戦前のカナダで活躍し、2003年にカナダ野球殿堂入りを果たした日系移民の野球チーム「バンクーバー朝日」の実話を、「舟を編む」「ぼくたちの家族」などを手がけた石井裕也監督がメガホンを取る。

1900年代初頭、新天地を夢見てカナダへと渡った多くの日本人が、過酷な肉体労働や貧困、差別という厳しい現実に直面する。

製材所で肉体労働に就く野球チームのキャプテンを妻夫木聡が演じるほか、亀梨和也、勝地涼、上地雄輔、池松壮亮が「バンクーバー朝日」のチームメイトを演じる。
その他の共演に、主人公の妹に高畑充希、父親に佐藤浩市など豪華キャストが集結する。

【ストーリー】

1900年代初頭、多くの日本人が新天地を夢見てカナダへ渡った。
しかし現実は、過酷な肉体労働や貧困、云われのない差別・・・という厳しさであった。

0017

そんな中、日本人街に野球チーム「バンクーバー朝日」が生まれる。

0023

体格で上回る白人チーム相手に負け続け、万年リーグ最下位であったが、彼らのプレイは日本人街の希望の光となっていった。

0026

ある年、キャプテンに就いたレジー笠原は、敵の三塁手が大柄で動きが鈍そうなことからセーフティバントを思い立つ。さらに盗塁を組合せて念願の得点を取ることに成功した。

0021

これをきっかけに、バントと盗塁を多用するプレースタイルを思いつく。

0020

その大胆な戦法は「頭脳野球」「サムライ野球」と呼ばれ、同時にフェアプレーの精神でひたむきに戦い抜く彼らの姿は、日系移民たちに勇気や希望をもたらし、白人社会からも賞賛と人気を勝ち取っていき、シーズン最終戦に優勝を賭けた大一番を戦うまでになる。

0019

朝日の活躍は、日系移民とカナダ人との垣根を下げるのに寄与したかと思ったが、泥沼化した日中戦争の打開を図るため、日本軍が真珠湾攻撃をすると、一転して日系移民は敵性国民として収容されることになってしまう。

0013

彼らが収容所から出たのは終戦後4年たってから・・・。
さらに朝日と言う野球チームの名誉が回復されるには、60年の歳月が掛かることとなってしまった。

【感 想】

今年のお正月映画です。
映画館へ観に行く予定でしたが、思ったよりも早く終わってしまったので、残念ながら行けませんでした。
と言う事でDVDを待つことに・・・。

0018

映画は、レジー笠原(妻夫木聡)が、当時を振り返ると言う形で始まります。
登場人物が多いので、野球チーム内のメンバー同士の会話などは、今誰と誰が話しているのかなかなかわからないまま、話が進んでいきました。仕方が無いので、キャスト一覧を眺めながら、映画は字幕を出して、冒頭の部分を再度観て、なんとかわかりました。DVDで観たので良かったですが、映画館で観れば、何がなんだかわからなかった所でした。

万年最下位だった日系移民の野球チームが、小技と頭脳を使った野球で勝ち進むという話なのですが、この野球の大会がどういう位置づけになっているのかがよくわからず、最初は地区ごとの住民対抗の野球大会なのかと思いながら観ていました。

101

でも、ラジオ放送や新聞報道もされるし、最後には、「2003年にカナダの野球殿堂入りをした」という字幕が入るので、これは職業野球なんだと言うことが、やっとわかりました。

野球の試合のシーンが出てきますが、後半、バンクーバー朝日が勝ち進むシーンでは、バンドと盗塁の場面ばかり強調されるので、そんなとこばかりで勝ち進んだのかと錯覚してしまいそうです。

また、実際にプレーしている様子が写るのは、投手のロイ永西(亀梨和也)が投げて、捕手のケイ北本(上地雄輔)が受けるという場面だけが長回しなのですが、それ以外は全部カットシーンばかりなので、実際にしていないことが丸わかりでした(笑)
でも、上地君のキャッチングは、さすがに上手いですね(笑)

この映画を観ていて、残念に思うところはたくさんあります。
豪華なキャストの割には、印象に残っている出演者は数人です。
宮崎あおいや本上まなみ、ユースケ・サンタマリアなどは、登場人物としてホントに必要なのかどうか、わからないような存在です。
それに、出演者同士の会話が少しも盛り上がらず、ぶつ切りの会話ばかりでした。会話で話が展開していかないので、観ていてもその後どうなっていくのかよくわからないシーンがいくつかありました。

映画は、日系移民は敵性国民だとして収容所へ送られていく列車に乗り込むところで終わっていますが、その後の彼らの状況を少しでも知らせる話があればと思いました。
「日本人街は取り壊され、自由を取り戻したのは戦争に負けて四年後。けれど、あの街に朝日のメンバーが集まることは二度と無かった・・・」と、レジー笠原によるナレーションが入るだけでした。

また、エンドロールの途中で、一人の老人が映し出されました。
ちょっと気になったので、DVDでスローにし、エンドロールをよく見るとその中にお名前がありました。kaye kaminishi(ケイ上西)さんという方で、調べてみると、当時バンクーバー朝日で実際にプレーし、現在もカナダに在住されている方だと言うことでした。
この辺も、ちょっと不親切さを感じます。

0022

ところで、この映画は、カナダへ移住していった日本人が、移民としての不当な扱いを受けると言う話がベースになって居るのですが、今の問題として、日本が海外からの(いわゆるニューカマーと言われる)移民を受け入れる際に立ったときに、彼らをどのように受け入れていくのかと言う事を観ながら考えさせられました。
そういう視点で見ると、高畑充希が演じるエミー笠原を取り巻く人たちの態度は、興味深いところでした。

最後に・・・、
ホテルで働いていたフランク野島(池松壮亮)が働けなくなり、親戚に日本で職を見つけて貰ったと言う事で、日本に帰ることになりますが、
「(日本は)いいところかな?」
「ここよりはいいんじゃない」と、レジー笠原が言うと、
「移民の子って言われて、いろいろ苦労するよ。白人にそんな目で見られるのと、日本人にそんな目でみられるの、どっちがマシなんだろう」
ちょっと印象に残ったセリフでした。

残念な部分が多い映画だと思いますが、私はいろんな事を思いながら、結構面白く観ました。

【キャスト】

0011

レジー笠原(ショート):妻夫木聡
ロイ永西(ピッチャー):亀梨和也
ケイ北本(セカンド):勝地涼
トム三宅(キャッチャー):上地雄輔
フランク野島(サード):池松壮亮
笠原清二(レジーの父親):佐藤浩市
エミー笠原(レジー笠原の妹):高畑充希
笹谷トヨ子(日本語学校教師):宮崎あおい
ベティ三宅(トム三宅の妻):貫地谷しほり
笠原和子(レジー笠原の母):石田えり
堀口虎夫(タクシー業者):ユースケ・サンタマリア
トニー宍戸(バンクーバー朝日監督):鶴見辰吾
杉山せい(娼婦):本上まなみ
井上安五郎:光石研
松田忠昭(「ニューピアカフェ」店主):田口トモロヲ
前原勝男(写真館店主):徳井優
河野義一(理髪店店主):大鷹明良
三宅忠蔵(トム三宅の父):岩松了
江畑善吉(カナダ日本人会会長):大杉漣
ロイ永西の母:田島令子
ジョー岡崎:藤村周平
ケン早坂:芹澤興人
テリー小林:鏑木海智

【スタッフ】

監督:石井裕也
脚本:奥寺佐渡子
撮影:近藤龍人
照明:藤井勇
録音:加藤大和
美術:原田満生
編集:普嶋信一
音楽:渡邊崇
衣装:宮本まき江

2015年5月22日 (金)

セッション

【解 説】

5011

サンダンス映画祭でのグランプリと観客賞受賞を筆頭に、さまざまな映画賞で旋風を巻き起こした音楽ドラマ。

ジャズドラムを学ぼうと名門音楽学校に入った青年と、彼にすさまじいスパルタ的指導を行う教師の姿を追い掛けていく。

メガホンを取るのは、『グランドピアノ 狙われた黒鍵』などの脚本を手掛けてきた俊英デイミアン・チャゼル。
監督と脚本を担当したデイミアン・チャゼルの高校時代の体験を基に、生徒と教師のサスペンスフルなやりとりが展開する。

主演は『ダイバージェント』などのマイルズ・テラーと『JUNO/ジュノ』などのJ・K・シモンズ。
熱いドラマはもちろん、マイルズが繰り出すパワフルなドラミングにも圧倒される。

【ストーリー】

偉大なジャズ・ドラマーになるという野心を抱いて、全米屈指の名門校シェイファー音楽院に入学した19歳のアンドリュー・ニーマン(マイルズ・テラー)は、何とかしてフレッチャー教授(J・K・シモンズ)の目にとまりたいと考えていた。

5008

彼が指揮する“スタジオ・バンド”に所属すれば、成功は約束されたも同然だからだ。

ある日、一人で練習するニーマンの前にフレッチャーが現れるが、ほんの数秒聴いただけで出て行ってしまう。

5009

数日後、ニーマンのバンドのレッスンに顔を出したフレッチャーは、メンバー全員の音をチェックすると主奏者のライアン(オースティン・ストウェル)を差し置いて、ニーマンにだけ自分のバンドに移籍するよう命じる・・・・・・。

異様なまでの緊張感に包まれた教室でレッスンが始まった。

5003

フレッチャーが生徒たちを恐怖で支配する中、トロンボーン奏者が僅かな音程のズレを責められ、その場でクビとなる。

5004

「17小節の4拍目」のテンポが違うと怒りで豹変したフレッチャーに椅子を投げつけられたニーマンは、ビンタでテンポを矯正され、悪魔のごとき形相で罵られる。

5007

泣いて帰ったニーマンだが、翌日からその悔しさをバネに肉が裂け血の噴き出す手に絆創膏を貼ってひたすらドラムを叩き続けるのだった……。

ニーマンの母は彼が幼い頃に家を出て行った。
音楽以外は何の興味もなく、友達もいないニーマンにとって今は別々に暮らす高校教師の父と映画館へ行くことが唯一の娯楽だった。

5005

その映画館の売店でバイトをしているニコル(メリッサ・ブノワ)との初デートに出かけるニーマン。フレッチャーにスカウトされた日、自分が無敵になった気がして秘かに想いを寄せていた彼女に声をかけたのだ。

そんな中、スタジオ・バンドが出場したコンテストでのあるトラブルをきっかけに、フレッチャーは主奏者をニーマンに任命する。

5010

だがフレッチャーは、有頂天のニーマンを残酷なまでに奈落の底に突き落とす。ライアンを新たな主奏者候補として連れてきたのだ。

ニーマンは怒りと焦りをニコルにぶつけ「偉大な音楽家になるには君が足手まといだ」と別れを切り出す。

5012

ある夜、フレッチャーは3人の候補の中から主奏者を決めると宣言、手から血を流し、フラフラになりながらひたすら演奏を続ける候補者たち。
やがて真夜中もとうに過ぎた頃、フレッチャーはニーマンを主奏者に決める。

5006

だが、高みを目指すフレッチャーの狂気はさらに加速、ニーマンをギリギリまで追い詰めていくのだった・・・・・・。

【感 想】

18日の月曜日に、梅田のTOHOシネマズで観ました。
4月17日より公開と言うことですが、公開されてから一ヶ月もたっているのに、たくさんの人が入っていました。

音楽については門外漢の私ですが、ラストの「キャラバン」は堪能しました。
ジャズの曲などは、メジャーなもの以外はほとんど知らない私ですが、知っている曲が流れたと言うこともあり、余計に楽しめました。

「キャラバン」と言えば、1965年に来日したザ・ベンチャーズが演奏していたのを聞いたのが初めてです。そのときにも長いドラムソロがありましたが、それをふと思い出しました。
演奏会に来ているのなら、この映画のラストシーンを観ただけでも、十分満足して帰れるのですが、これは映画なんですよね。

スポーツの世界では良くあるような、しごきやいじめだけで無く、精神的に追い込んで練習をさせていくと言うことが、音楽の世界にもあるのでしょうか?
映画での、異常なまでに追い込んで、何度も同じ所を繰り返し演奏させるシーンは、気分が悪くなりそうでしたし、教師が投げかける言葉としては、不適切な意味合いの言葉が飛び交うので、あきれてしまいました。アメリカの社会では、こういうのは問題視されないのか・・・と思いながら見ていました。

確かに、カリスマ性を持った指導者に、しがみついてでもついて行こうとする気持ちはわからなくは無いですが、罵倒されたうえに、指導すら受けられなくなった人たちは、後でそのことを指摘したりはしないのでしょうか?

指導中に、「テンポが遅い」とか「テンポが速い」と言うことで、繰り返し何度もやり直しをさせられてしまうシーンがありましたが、観ている私には、その違いがわからないので、ただただいじめているだけのように見えてしまいます。
ドラムの練習でも、早くたたく事だけを目的に練習しているように私には見えましたが、そういう練習って、何か意味でもあるのでしょうか?

私のように、音楽を知らないものにとっては、とても不親切な映画でした。
そういうことがわかった上で、この映画を観る事が出来れば、また違った感想を持ったことでしょうが、強烈な個性を持った指導者・フレッチャーに洗脳されてしまった青年・ニーマンの話にしか見えませんでした。
ラストのエピソードは、フレッチャーって、人が困っている様子を見て喜んでいるサディストだと思わせておいて、実はマゾヒストだったと言うオチでしたか・・・。

この映画を観ていて思ったのは、血だらけの手でドラムのスティックを握っているよりも、笑顔が素敵な可愛い女性と、話をしながらピッツアを食べている方が何倍も楽しいと言うことと、車の運転をしながらスマホをいじっていると、事故を起こしてしまうのでやめよう・・・と言うことです(笑)

最後まで退屈はしませんでしたが、観終わったとは、どっと疲れが出ました。

5001

ところで、この映画の原題が『WHIPLASH(ウィップラッシュ)』と言うことですが、「鞭(ムチ)を打つ」という意味だそうです。
日本での上映タイトルは「セッション」と言うことですが、意味不明です。このタイトルから、映画のイメージがわいてこないですね。

「ジャム‐セッション」という、「ジャズの即興的な演奏」の事を指しているのでしょうか?そういえば、NHK-FM放送のジャズ音楽番組のタイトルに「セッション」と言うのもありますね。
また、ジャズの曲には「Whiplash」というのもあるそうですね。でも私は、よく知りません(笑)
「セッション」よりも、原題のママ「WHIPLASH」のほうが、この映画らしいと思うのですが・・・。

【キャスト】

5000

マイルズ・テラー - アンドリュー・ネイマン
J・K・シモンズ - テレンス・フレッチャー
ポール・ライザー - ジム・ネイマン
メリッサ・ブノワ - ニコル
オースティン・ストウェル - ライアン
ジェイソン・ブレア - トラヴィス
カヴィタ・パティル - ソフィー
コフィ・シリボー - グレッグ
スアンネ・スポーク - エマおばさん
エイプリル・グレイス - レイチェル・ボーンホルト

【スタッフ】

監督 デミアン・チャゼル
脚本 デミアン・チャゼル
製作総指揮 ジェイソン・ライトマン
音楽 ジャスティン・ヒューウィッツ
撮影 シャロン・メール

2015年5月21日 (木)

百日紅(さるすべり)~Miss HOKUSAI~

【解 説】

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江戸風俗研究家で文筆家や漫画家としても活躍した、杉浦日向子の漫画代表作「百日紅」を、「カラフル」「河童のクゥと夏休み」の原恵一監督がアニメーション映画化。

江戸時代に当時の風俗をとらえ、庶民から愛された“浮世絵”。
浮世絵に生涯を捧げ、3万点を超える作品を発表した浮世絵師・葛飾北斎とその娘・お栄と、江戸に生きる人々との交流を描いた姿を、江戸の町の四季を通して描く。

アニメーション制作は、原監督作では初となるProduction I.Gが担当。

声優には、お栄役の杏、今作で声優初挑戦となる北斎役の松重豊ほか、濱田岳、高良健吾、美保純、筒井道隆、麻生久美子ら豪華俳優陣が集った。

【ストーリー】

百日紅(さるすべり)の花が咲く――お栄と北斎、仲間達のにぎやかな日々がはじまる。

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江戸は下町の長屋に暮らす絵師の鉄蔵こと葛飾北斎とその娘、お栄。そして居候の善次郎。

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3人は書き損じが散らかった部屋を気にも留めず、日夜創作活動に励んでいた。

そんな彼らのもとに鉄蔵のライバル歌川門下で若年ながら頭角を現す国直も出入りするようになる。

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「親父と娘。筆二本、箸四本あればどう転んでも食っていける」と豪語するお栄ではあったが、なにかと気持ちが揺れ動く難しい時期を迎えていた。

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公私ともに充実のときを迎える鉄蔵も盲目で病弱の末娘に悩み、若き日の縁者の死に遭遇。

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駆け出し絵師として徐々に頭角を現す善治郎も、才気溢れるお栄や、年下ながら売れっ子絵師の国直に引け目を感じている。

国直も歌川一門の人間関係に窮屈さを感じ、自由闊達な鉄蔵門下に憧れを抱くも義理と人情の板挟みに遭っていた。

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彼らが遭遇する事件を軸に、生き生きとした江戸庶民の生活が描かれる。

【感 想】

19日の火曜日に、大阪ステーションシネマで観ました。平日の昼間だというのに、結構入って居ました。
映画の原作は、杉浦日向子さんのマンガ「百日紅」で、江戸時代の浮世絵師・お栄(画号は応為)の目を通して、江戸の町の様子や庶民の暮らし、風俗や当時の世界観を描いた映画です。
お栄とその父・葛飾北斎を中心に物語が展開します。

原作者の杉浦日向子さんが2005年に46歳で亡くなってから、今年でちょうど10年になります。
作家・高橋克彦さんとの対談集やエッセイなどはよく読んでいましたし、NHKの「コメディーお江戸でござる」の最後の方で、寸劇の時代考証を語る杉浦さんが好きで、よく見ていました。
生きておられたら、当たり前ですが56歳ですね。

原作のマンガ・「百日紅」は(と言うより、杉浦さんのマンガは一冊も)読んでいませんが、1980年代に雑誌に連載されたこのマンガは、それぞれが独立した全30話の連作短編だと言うことです。

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さて、本編ですが、原作の短編をいくつかつなげて一本の長編にした映画です。
観る前は、そう言うことだとは知らずに観たので、ぶつ切りのエピソードが並んでいるだけだったことに少し戸惑いましたが、江戸の風俗などがいくつか登場していて、それなりに楽しく観ました。
その一つに、お栄が「陰間茶屋」に行くエピソードがありますが、女性が陰間茶屋に行く事もあるというのは初めて知りました(笑)

初めて知ったと言えば、「放し鳥売り」と言った商売もあるんですね。
捕らえられた雀を、お金を払って逃がしてあげる・・・と言うだけのことです。なにか功徳があるんでしょう。

流れとしては、北斎の末娘で、お栄の妹・お猶(なお)のエピソードをラストに持ってきています。
この話だけ観ればいい話なのですが、それまでの両国橋や吉原の様子、火事場での火消しの仕事、妖怪騒ぎなど、江戸時代の庶民の暮らしぶりや、当時の世界観が良く出て居るのに対して、ちょっと違和感がありました。

この映画で一番気になったのは、やはり吹き替えです。
主要な人たちの声を、有名な俳優さんたちが行っていますが、端役の声をされている本職の声優さんってホントに上手いですね。

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ところで、映画を観終わってから、いろいろな解説や感想が書かれた記事を読みました。
この時代に「おはしょり」があるのはおかしいと言うような着付けの事や、着物の色使い、櫛の位置がどうのこうのといった指摘がたくさんありました。
おそらく、杉浦日向子さんが生きていらっしゃったら、この映画の時代考証を、楽しく語られることでしょうね。

誰が書いた本の一節かは忘れましたが、「(作る側が)時代考証を気にして、テレビドラマを作るようになってから、テレビの時代劇が面白くなくなった」と、書いてありましたが、私も同感です。
なので、この映画はこれでいいのだと思っています。
「時代考証がいい加減だから、その映画(ドラマ)はダメだ」と言うことでは無く、映画を観た人たちが、観終わった後にその時代考証をネタにして話し合うのも、また楽しいのではないでしょうか(笑)

最後に・・・。
原作のタイトルが「百日紅」なので、この映画のタイトルもそうなんですが、「百日紅」の咲く頃から、次の年の「百日紅」の頃までの、一年間の話だと言うこと・・・ですか?
それとも原作に、(この映画には無い)百日紅のエピソードがあるのでしょうか?
原作を読んでみないとわからないですね・・・。

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【キャスト(声)】

お栄 - 杏
葛飾北斎 - 松重豊
池田善次郎 - 濱田岳
歌川国直 - 高良健吾
こと - 美保純
お猶 - 清水詩音
岩窪初五郎 - 筒井道隆
小夜衣 - 麻生久美子
萬字堂 - 立川談春
吉弥 - 入野自由
茶屋の子供 - 矢島晶子
遣いの武士、放し鳥売り - 藤原啓治

【スタッフ】

原作 - 杉浦日向子
監督 - 原恵一
脚本 - 丸尾みほ
キャラクターデザイン - 板津匡覧
音楽 - 富貴晴美、辻陽
制作 - Production I.G
主題歌 - 椎名林檎 「最果てが見たい」

=5月25日追加=

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2015年5月17日 (日)

ゴールデンスランバー

【解 説】

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なぜ!誰が! 何のために!
首相暗殺犯に仕立てられた無実の男の大逃亡劇。
誰が、彼を救えるのか・・・。
2008年本屋大賞、2008年山本周五郎賞を受賞した伊坂幸太郎の『ゴールデンスランバー』が映画化!

人気作家・伊坂幸太郎の同名ベストセラー小説を、『アヒルと鴨のコインロッカー』『フィッシュストーリー』に続き中村義洋監督が映画化したサスペンス。
巨大な陰謀に巻き込まれ、首相暗殺の濡れ衣を着せられた宅配ドライバーの決死の逃避行をスリリングに描く。
主演は、中村監督の『ジェネラル・ルージュの凱旋』でも共演している堺雅人と竹内結子。
そのほか吉岡秀隆、劇団ひとり、香川照之、柄本明といった実力派キャストが顔をそろえる。

【ストーリー】

杜の都・仙台。

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野党初となる金田首相の凱旋パレード中、突如ラジコンヘリ爆弾が首相に直撃、衆目の中、首相暗殺事件が起きる。

その頃、宅配便ドライバー・青柳雅春(堺雅人)は、大学の旧友・森田森吾(吉岡秀隆)と数年来の再会を果たしていた。

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だが、どこか様子のおかしい森田は「お前は首相暗殺犯に仕立てられる」と鬼気迫る調子で、青柳に訴える。
すると、突然警官が現れ、青柳に向かって拳銃を構えた。

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森田は死亡。
意味がわからないままひた走り、青柳は逃げ出した・・・・・・。

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世間では、青柳が暗殺現場にいたことを証言する目撃者や、ラジコン店に青柳が居る証拠映像などが次々現れ、青柳は身に覚えのない証拠とともに見えない力によって無実の暗殺犯に仕立てられていく。

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警備網が仙台一帯に敷かれる中、青柳は、元恋人の樋口晴子(竹内結子)や大学の後輩・カズこと小野一夫(劇団ひとり)など、信頼ある仲間たちによって窮地から救い出される。

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しかし、警察庁警備局総合情報課課長補佐・佐々木一太郎(香川照之)らに追い詰められた青柳は、遂に投降の時を迎える・・・・・・。

【感 想】

2010年1月に封切られた映画です。2008年の本屋大賞だった、伊坂幸太郎の『ゴールデンスランバー』の映画化と言うことで、少しは期待をしていたのですが、主役が堺雅人だと言うことで見に行きませんでした。
どうも、あの笑顔の無表情が好きになれません。

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でも、昨日BSで放映していたので何気に観ていたら、ちょっと面白くなって見入ってしまいました。
なんと、濱田岳が出て居るでは無いですか。濱田岳は、ここ数年気になっている俳優さんです。この映画では、二年前に仙台で起きた連続刺殺事件の犯人・「キルオ」と言う役で登場します。
小説では、彼の事件が契機となり、仙台市は監視カメラ「セキュリティポッド」を導入することになると言う話なんですが、ちょっとユニークな存在と言う設定で、しっかり役柄にはまっていました。

この話は、爆弾を積んだラジコンのヘリコプターを飛ばして、首相を暗殺するという事件から始まりますが、何か最近話題になっているドローンの事をふと思い出してしまいました。

爆破事件の後、堺雅人扮する青柳雅春が、首相の暗殺容疑をかけられて逃亡する事になりますが、その話と平行して、学生時代の人間関係の話も出てきますので、逃亡中の時間経過がよくわからない映画になっています。

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私が竹内結子を好きだからなのかも知れませんが、竹内結子扮する樋口晴子と、青柳雅春やその友人たちとの絡みのシーン(過去の出来事)はとても楽しいのですが、青柳雅春の逃亡シーンになるとイマイチです。
学生時代に花火屋さんでのアルバイトで、花火を打ち上げてみんなで見上げるシーンなどは、結構気に入っていますし、土砂降りの雨で服まで濡れてしまい、草むらの中に隠してあった車に、青柳雅春と樋口晴子が逃げ込むシーンなども良いですね。

この映画は、青春や恋愛をテーマに描かれた部分が結構良く出来ているのにも関わらず、逃亡シーンは迫力が無いし、なぜ上手い具合に逃げることが出来るのかもわかりません。
検問の前でUターンをして逃げたら、怪しいと思って追いかけられるのに決まっていますし、立ちションのところで、巡回してきた警察官に見つかるって言うのは、ちょっと笑ってしまうエピソードです。
あげていくとキリが無いくらいに、突っ込みどころ満載の映画なんですが、原作がしっかりしていることもあって、ちょっとホロッとしてしまうエピソードもたくさんあるので、それなりに面白く観ることが出来ました。

それにしても、樋口晴子の娘さんは、良く出来た子どもですね(笑)
また、「たいへんよくできました」の印の「はなまる」って、私の小学生時代にはありませんでしたが、いつから出てきたんでしょうか?

話の辻褄が合わないところは、BSなので大幅なカットがあったのかとも思いますので、機会があれば、再度DVDで観てみたいものです。

【キャスト】

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青柳雅春 - 堺雅人
樋口晴子 - 竹内結子
森田森吾 - 吉岡秀隆
小野一夫 - 劇団ひとり
キルオ - 濱田岳
岩崎英二郎 - 渋川清彦
保土ヶ谷康志 - 柄本明
轟静夫 - ベンガル
樋口伸幸 - 大森南朋・・・晴子の夫
凛香 - 貫地谷しほり
井ノ原小梅 - 相武紗季
小鳩沢 - 永島敏行
近藤守 - 石丸謙二郎・・・刑事
佐々木一太郎 - 香川照之
鶴田亜美 - ソニン・・・小野一夫と交際中の女性
鷲津刑事 - テイ龍進
児島安雄 - でんでん・・・巡査
青柳雅春(整形後) - 滝藤賢一
金田貞義 - 伊藤ふみお
樋口七美 - 北村燦來・・・晴子の娘
鶴田辰巳 - 鈴木福・・・亜美の息子
カナエ - 松山愛里・・・バス停にいた女性
ケンジ - 中林大樹・・・爆弾テロ騒ぎを知らなかった男
轟一郎 - 少路勇介・・・轟静夫の息子
カー用品の女店員 - 笠木泉
ウェイトレス - 麻衣
病院スタッフ - 汐見ゆかり
鎌田昌夫 - 吉澤天純・・・昌太の息子
病院警備員 - 池口十兵衛
岩崎美千代 - 安藤玉恵・・・英二郎の妻
田中徹 - 波岡一喜
雑居ビルオーナー - 上田耕一
大串 - 芦川誠
矢島 - 木下隆行(TKO)
謎の整形外科医 - 岩松了(※声のみの出演)
鎌田昌太 - 山口良一
青柳照代 - 木内みどり・・・雅春の母
青柳平一 - 伊東四朗・・・雅春の父
宮城県警総本部長 - 竜雷太

【スタッフ】

監督 :中村義洋
原作 :伊坂幸太郎「ゴールデンスランバー」(新潮社 刊)
脚本 :中村義洋、林民夫、鈴木謙一
音楽 :斉藤和義
「Golden Slumbers」(主題歌)
「幸福な朝食 退屈な夕食(新録)」(エンディングテーマ)

=5月20日追加=

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2015年5月 5日 (火)

アバウト・タイム ~愛おしい時間について~

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【解 説】

『ラブ・アクチュアリー』などで知られる、ラブコメに定評のあるリチャード・カーティス監督の、監督引退作となるラブストーリー。
恋人や友人、家族と育む何げない日常の大切さを描く。

イギリス南西部に住む青年ティムは自分に自信がなく、ずっと恋人ができずにいた。
父親から、自分たちの一族の男子には、タイムトラベルが出来る能力がある事を告げられた青年が、恋人を見つけるためにタイムトラベルを重ね、人生における様々な事柄を学んでいく姿がつづられる。

『ハリー・ポッター』シリーズなどのアイルランド出身の新鋭、ドーナル・グリーソンが人間味あふれる主人公を熱演するほか、『きみに読む物語』などのレイチェル・マクアダムス、『ラブ・アクチュアリー』にも出演したビル・ナイらが共演。

【ストーリー】

イギリス南西部で、ティム(ドーナル・グリーソン)はちょっと風変わりな両親と妹、伯父ら家族とともに暮らしていた。

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家族との仲は良好であるものの、自分になかなか自信が持てず、恋人ができないでいた。

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21歳の誕生日を迎えた日、ティムは父(ビル・ナイ)からある秘密を告げられる。
それは、一族に生まれた男子にはタイムトラベル能力が備わっているというものだった。

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はじめは冗談かと思い信じることができないでいたが、能力の使い方を覚えてからは、恋人を作るために繰り返しタイムトラベルをするようになる。

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弁護士を目指すティムはロンドンへ移住。そこで出会ったメアリー(レイチェル・マクアダムス)に恋をする。

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しかし、タイムトラベルしたせいでメアリーと出会っていないことになってしまう。なんとか彼女の愛を得た後も、タイムトラベルを繰り返して人生の成功を掴もうとするティム。

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やがて、どんなにタイムトラベルをしようと、誰にでも起こりうる不運や波乱を避けることはできないことを知り、本当の幸せに気付いていく・・・。

【感 想】

DVDで観ました。124分の映画でしたが、退屈しないで最後まで楽しめました。

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タイムトラベラーものはこれまでも良くありましたが、過去が変わることで、現在の状況が変わってくる事の整合性といったものが、曖昧にされたまま進んでいくのには驚きました。
過去が変わっても、全くお構いなしです。というより、変えるためにタイムスリップしているような感じで、話が進んでいきます。
ティムが父から、過去限定のタイムトラベルが出来ると聞いてすぐに試してみますが、現在に帰ってくる方法を聞かないまま過去に行ってしまうのは、設定がちょっといい加減のような気がしました。

また、ちょっとした失敗や都合の悪い出来事があれば、何度も過去に戻ってやり直したり、修正したりしていますし、自分に関わることと言う限定があるとしても、他人の人生まで変えてしまうことが、当たり前のように描かれています。
タイムトラベルについては、よくわからない事だらけですが、これらについてはコメディだと言うことで、目をつぶって観ないといけないのでしょうね。

このように、突っ込みどころ満載の映画でしたが、とても楽しく観ることが出来ました。
この映画のように、失敗したりちょっとした失言をしても、過去に行ってやり直せるって良いですね。失敗が怖くなくなって、何にでも大胆になれそうですし、楽しかった日は、その日をもう一度繰り返すというのも良い考えです(笑)

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舞台がイギリスと言うことで、ティムがロンドンに出てきて、会社に出勤するところには、アビー・ロードの横断歩道が登場しました。
ビートルズになった気分で横断歩道を横切る人たちに思わずニンマリしてしまいました(笑)

ティムとメアリーが最初に出会うレストランが、「暗闇レストラン」。
こんなのが実際にあるのだろうかと思いましたが、調べて観ると、ロンドンにあるんですね。視覚障害者のウェーターに付き添われて席に着き、まっ暗闇の中で食卓を囲むそうです。
ミステリアスですね(笑)
また、主人公一家が住んでいるコーンウィル地方の海岸線は、イギリスで一番長いということで、とても綺麗でしたし、ティムが列車を降りた駅は、良く耳にするパディントン駅です。
その他、イギリスの名所をいろいろ楽しめました。ロンドンの町並みがとても素敵です。一度行ってみたい・・・と、思ってしまいました(笑)

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一番印象に残ったところは、この映画では、とても効果的に音楽が使われていたところです。
最近の映画音楽って、エンドロールに突然流れてくると言うのが多いようですが、映画の途中に、時間が流れていくような感じで、主題歌「How Long Will I Love You」や「The Luckiest」が効果的に挿入され、素敵な感じで画面が過ぎていきます。映画を観終わっても、音楽が耳に残っているのは良いですね。主題歌や挿入歌を聴くと、映画のワン・シーンが脳裏によみがえってきます。

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最後に、メアリーを演じていた「レイチェル・マクアダムス」、可愛いです。
最初の登場シーンでは、あまりイカさない(今は「イケてない」というのかな?)、ちょっと野暮ったい感じのする女性でしたが、映画が進んでくるにつれて、だんだん可愛く見えてくるから不思議です。
映画を観ていると、とても1978生まれ(映画の撮影当時、36歳とは驚きです)には見えませんでした。

あまり映画の内容には、触れませんでしたが、いろんな意味で楽しめたと言うことで良いのじゃ無いでしょうか・・・。

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【キャスト】

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ドーナル・グリーソン :ティム
レイチェル・マクアダムス :メアリー
ビル・ナイ :ティムの父親
トム・ホランダー :ハリー
マーゴット・ロビー :シャーロット
リディア・ウィルソン :キットカット
リンゼイ・ダンカン :ティムの母親
リチャード・コーデリー :ディムの伯父
ジョシュア・マクガイア :ローリー
ウィル・メリック :ジェイ
バネッサ・カービー :ジョアンナ
トム・ヒューズ :ジミー
キャサリン・ステッドマン :ティナ

【スタッフ】

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監督:リチャード・カーティス
製作:ティム・ビーバン
    エリック・フェルナー
    ニッキー・ケンティッシュ・バーンズ
製作総指揮:リチャード・カーティス
        ライザ・チェイシン
        アメリア・グレンジャー
脚本:リチャード・カーティス
撮影:ジョン・ガレセリアン
美術:ジョン・ポール・ケリー
衣装:ベリティ・ホークス
編集:マーク・デイ
音楽:ニック・レアード=クロウズ

=5月10日追加=

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2015年4月25日 (土)

ベイマックス

【解 説】

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孤独な14歳の少年と、心優しいロボットの絆や冒険を描き、第87回アカデミー賞で長編アニメーション賞を受賞したディズニーアニメ。
アメリカの漫画出版社・マーベルコミックスのヒット作「BIG HERO 6」を基に、ディズニーが放つアドベンチャー。

架空の都市サンフランソウキョウを舞台に、並外れた頭脳を持つ少年ヒロが、生前に兄が開発したロボットのベイマックスと一緒に死の真相を暴こうとする。

メガホンを取るのは、『くまのプーさん』のドン・ホールと『ボルト』のクリス・ウィリアムズ。
随所にちりばめられた日本のカルチャーへのオマージュに加えて、白くて大きな体を持つベイマックスの愛らしさにも注目。

短編アニメ「愛犬とごちそう」(第87回アカデミー賞で短編アニメーション賞を受賞)が同時上映。

【ストーリー】

最先端の技術が集う都市サンフランソウキョウに暮らす14歳の天才少年ヒロは、自ら開発したロボットを使い、アンダーグラウンドのロボット格闘技に夢中になっていた。

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ヒロの良き理解者でもある兄タダシは、そんな弟を案じ、自身の通う大学にヒロを連れて行く。
タダシの研究仲間やロボット工学の第一人者キャラハン教授と出会い、感銘を受けたヒロは、大学で最先端の科学を学ぶことを決意。

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しかし、そんな矢先、不慮の事故でタダシは帰らぬ人となってしまう。
目の前で兄を失ったヒロは殻に閉じこもってしまうが、そんなヒロの前に、タダシが人々の心と体の健康を守るために開発したケアロボットのベイマックスが現れた。

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空気で大きくふくらみゆったりと動くベイマックスは、タダシが開発した、人の身や心の健康を守るケア・ロボットだった。

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ベイマックスの優しさに触れ、次第にヒロの孤独な心は癒され元気を取り戻していく。
そんな中タダシの死に疑問を持ち調べていくうちに、恐るべき陰謀に気付く。

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ヒロはこれに立ち向かおうとするが、唯一の味方であるベイマックスは、ケア・ロボットであるため戦う意欲すらない。

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実はベイマックスは、タダシからある使命を託されていた・・・・・。

【感 想】

DVDで観ました。
12月20日公開だと言うことですが、4ヶ月後の4月24日にもう観られてしまうのですね。
調べたら、まだ上映している映画館もあると言うことですが・・・。特に、ディズニー映画はDVD化が早いようです。
映画館やTVで、何度も予告編を観ましたが、イメージしていた(癒やし系ロボットの)話と全然違っていて驚きました。

14歳の少年・ヒロの発明した「マイクロボット」を、発表会でプレセンテーションした夜、その会場で火災事故が発生します。
ヒロの兄・タダシが、建物に取り残されたキャラハン教授を助けようと炎の中に飛び込んだところ大爆発が起き、ヒロは兄のタダシと尊敬するキャラハン教授、マイクロボットを一度に失います。
でも、タダシの死が事故ではなく、マイクロボットを狙った者による犯行なのではと推理したヒロは、同じ研究室のタダシの友人たちと一緒に、兄の死の真相を探り、彼らやベイマックスと共に、犯人と対峙するために行動する・・・と言う話です。

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舞台は、東京とサンフランシスコを彷彿させるような場所に設定し、下町らしき風景には、日本語があふれていて、車が通る道路沿いの町並みはサンフランシスコ(行った事はありませんが、私のイメージです)のような感じです。

原案は、6人の日本人スーパーヒーローを主人公とした話だそうですが、この映画では、メンバーは多人種で男女混成チームと言うことになっています。アメリカのドラマって、いつもこんな感じのチーム編成ですね。

途中から、「ゴレンジャー」(テレビでドラマを見たことはありませんが)のパクリか・・・とふと思いましたが、ベイマックスが一人(一台?)加わっていると言うだけで、ちょっとほんわかとする流れになっています。
102分ほどの映画なので、途中で退屈はしませんでしたし、ファミリー向けの映画と考えたら、こんなものじゃ無いでしょうか。
また、最後の方で、意外な犯人と驚きの結末を持ってきているところは、なかなか良かったのでは・・・と思います。それなりに面白く観る事が出来ました。

ところで、エンドクレジットを観ていたら、TVの予告編で良く耳にする主題歌、AIの「Story」 (English Version)って、 日本公開版のみのエンディング・テーマなのか、クレジットの最後の方に、何かとってつけたような形で挿入されていました。
しかも、このクレジットが終わった後に、漫画出版社であるマーベルの映画ではお馴染み(らしい)の、アメリカン・コミック界の父と言われているスタン・リーが(フレッドの父親の声で)登場するというファンサービスがありましたが、アメリカ人以外には、どうって事の無いエピソードでした。

同時上映の短編アニメ「愛犬とごちそう」は、ここには感想は書きませんがが、賛否が別れる短編だと思います。
ジャンクフードはもちろんのこと、人間が普通に食べる料理も犬には良くないですね。

最後に、PCのPowerDVDで再生してみると、3D設定とあったので使ってみたところ、二重にダブった映像が出てきました。
3D用の眼鏡(もちろん、我が家にはありません)があれば、立体に見えるんでしょう。

【キャスト(声の出演)】

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ベイマックス ースコット・アドシット
ヒロ・ハマダ ーライアン・ポッター
タダシ・ハマダ ーダニエル・ヘニー
フレッド ーT・J・ミラー
ゴー・ゴー ージェイミー・チャン
ワサビ ーデイモン・ウェイアンズ・Jr.
ハニー・レモン ージェネシス・ロドリゲス
ロバート・キャラハン教授 ージェームズ・クロムウェル
アリステア・クレイ ーアラン・テュディック
キャス ーマーヤ・ルドルフ
将軍 ーエイブラハム・ベンルービ
アビゲイル・キャラハン ーケイティ・ロウズ
ニュースキャスター ービリー・ブッシュ
警察官 ーダニエル・ガーソン
Mr.ヤマ ーポール・ブリッグス
女ボス ーシャーロット・グレイジアン
ヒースクリフ ーデイビット・ショーネシー
フレッドの父親 ースタン・リー

(日本語吹き替え)

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菅野美穂・・・キャス
小泉孝太郎・・・タダシ
川島得愛・・・ベイマックス
本城雄太郎・・・ヒロ
浅野真澄・・・ゴー・ゴー
山根舞・・・ハニー・レモン
新田英人・・・フレッド
武田幸史・・・ワサビ
金田明夫・・・ロバート・キャラハン教授
森田順平・・・アリステア・クレイ

【スタッフ】

監督 ドン・ホール
    クリス・ウィリアムズ
製作 ロイ・コンリ
製作総指揮 ジョン・ラセター
脚本 ロバート・L・ベアード
    ダニエル・ガーソン
    ジョーダン・ロバーツ
音楽 ヘンリー・ジャックマン

=4月30日追加=

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2015年4月21日 (火)

美女と野獣

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ディズニーアニメ版でも広く知られるファンタジードラマの名作「美女と野獣」を、1740年に初めて書かれたビルヌーヴ夫人版の物語をもとにフランスで実写映画化。

父の代わりに野獣の城に囚われた美しい娘が、野獣に隠された秘密に迫っていく姿を描く。
監督は「サイレントヒル」「ジェヴォーダンの獣」のクリストフ・ガンズ。
野獣役に「ブラック・スワン」のバンサン・カッセル。
ヒロインのベル役は「アデル、ブルーは熱い色」でカンヌ映画祭パルムドールを受賞したレア・セドゥー。

フランス映画界の実力派の共演が見どころ。

【あらすじ】

裕福な商人だった父が財宝を積んだ船を嵐で失い破産、娘のベル(レア・セドゥ)たちは都会の贅沢な暮らしに別れを告げ、田舎へと引っ越すことになった。

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母亡き後、わがままに育てられた3人の兄と2人の姉は田舎暮らしに不満を募らせるが、ベルは家族が一緒にいるだけで幸せだった。

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そんなある日、船が一隻だけ見つかったという報せが入り、父は喜び勇んで街へ駆けつけるが、借金のカタに船を奪われてしまう。

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失意の帰り道、吹雪に見舞われ死に瀕した彼は森の奥にたたずむ古城を発見。城の中に入ると、豪華な食事やワイン、そして家族が望んでいたドレスや宝飾品の山がそこにあった。

主人の姿が見えない謎めいた城に命を助けられた男は、愛しい末娘ベルが土産にと望んだ薔薇を庭に見つけ、思わず一輪折った途端、黒く大きな影が襲い掛かる。

「俺のいちばん大切なものを盗んだな」と怒りに燃え叫ぶのは、見るも恐ろしい野獣(ヴァンサン・カッセル)であった。

野獣は薔薇の代償に男の命を要求、1日だけ猶予を与えるが戻らなければ家族を順番に殺すと宣告する。

帰宅後、父からその一部始終を打ち明けられたベルは、翌朝、自分のせいでパパまで失いたくないと意を決し、野獣が父に教えたという呪文を馬に囁く。

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すると森の木々が道を開き、馬に乗ったベルは城へと導かれるのだった。
用意されたドレスに身を包み、ディナーの席に着くと背後から野獣が忍び寄る。
ベルは命を差し出す覚悟だったが、野獣が求めたのは夜の7時に必ず食卓に着くことだけだった。

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その夜、何かに誘われるように、ベルは全盛期を誇った頃の城と一人のプリンセスの夢を見る。

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翌朝、好奇心が恐怖に打ち勝ち、果てしなく広い領地を探検するベル。
薔薇の庭にある哀しげな女性の彫像、それは夢に出てきたプリンセスでどうやら彼女は若くして亡くなったらしい。

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野獣の秘密を解き明かそうと決意したベルは、城の過去を紐解くにつれてプリンセスと彼女の最愛の王子との驚くべき運命の物語に夢中になり、一方で、横柄な態度で命令する野獣が時折見せる悲しい瞳に心を惹かれ始めていく。

果たして野獣は何者なのか。
その真相が明かされる時、ベルと野獣は思わぬ運命に直面するのだった……。

【感 想】

DVDで観ました。
ディズニーアニメの実写版と言うことで、楽しみにしていましたが、残念ながら面白くありませんでした。
まず、ストーリーの展開がよくわかりません。ファンタジーなので・・・と言ってしまうとそれまでですが、理解できないところがたくさんありました。
細かな疑問点を挙げればきりが無いので、省略しますが、一番気になるのは、主人公のベルが、野獣に変身させられてしまった王子に対する気持ちの変化です。

この映画は、原作小説の『美女と野獣』において触れられなかった、「なぜ王子は野獣に身を落としたのか」という、野獣の過去に焦点が当てられているのが特徴で、ベルが夢の中でその出来事を知ってしまうという事で話が進んでいきますが、この元王子は、どう見たってわがままで自分勝手な男でしかありません。
これがなぜ、ラブ・ストーリーに発展していくのかが納得できませんし、この話がディズーアニメを始め、何度も、映画や演劇で上演されているということも理解に苦しみます。
113分と、2時間弱の映画でしたが、とても長く感じました。

【キャスト】

007

ベル ー レア・セドゥ
野獣/王子 ー ヴァンサン・カッセル
商人 ー アンドレ・デュソリエ
ペルデュカス ー エドゥアルド・ノリエガ
アストリッド ー ミリアム・シャルラン
アンヌ ー オードレイ・ラミー
クロチルド ー サラ・ジロドー
ジャン=バチスト ー ジョナサン・ドゥマルジェ
マキシム ー ニコラス・ゴブ
トリスタン ー ルカ・メリエヴァ
プリンセス ー イヴォンヌ・カターフェルド
エティエンヌ ー ミッキー・ハート

【スタッフ】

監督 クリストフ・ガンズ
脚本 クリストフ・ガンズ 、 サンドラ・ヴォ=アン

=4月26日追加=

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134

Blog記事ランキングで、「美女と野獣」が、「映画の部」の一位になりました。

たくさんの方に見ていただき、ありがとうございます。

2015年4月18日 (土)

オリエント急行殺人事件/TVドラマ全二話

【解 説】

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三谷幸喜の脚本で2015年1月11、12日に、2夜連続で放送されたスペシャルドラマ「オリエント急行殺人事件」。

原作の「オリエント急行殺人事件」は、アガサ・クリスティーの名作ミステリで、真冬の欧州を走る超豪華列車“オリエント急行”の中で乗客が殺害され、名探偵エルキュール・ポアロが事件を解決していくストーリー。

本作は、昭和初期に舞台を移し、“特急東洋”の中で起きた殺人事件を、名探偵の勝呂武尊(すぐろ・たける)が解決する姿を描いた。

【内 容】

第1夜は、可能な限り原作を忠実に映像化。

昭和8年(1933年)2月、名探偵として名高い勝呂武尊は下関駅から東京へと向かう豪華寝台列車「特急東洋」に乗車する。
季節外れでありながら列車は満席であったが、鉄道省重役の莫と偶然再会した勝呂は彼に一等客室を譲ってもらい一緒に乗車する。
さまざまな階級の人々が乗り合わせる車内で、勝呂は悪人と噂される実業家の藤堂修に身辺警護を依頼され断る。
その深夜、勝呂は寝台車内で物音や人の声を聞き、列車が停止していることを知る。
翌朝、勝呂は莫に、線路への雪崩のため列車が関が原で立ち往生していること、車内で藤堂が刺殺体で発見されたことを聞かされ捜査を依頼される

Orient

第2夜は、時間と空間を広げ、犯人の視点から事件を再構築した。

この事件から遡ること5年前の昭和3年(1928年)、剛力大佐の幼い娘・聖子が誘拐され身代金が要求される。
剛力は軍人のプライドから当初身代金の支払を拒否するものの、戦友で親友でもある能登大佐の進言により前言撤回し、身代金を支払う。
しかし聖子は殺され、警察の捜査により「笠健」こと笠原健三が逮捕・起訴されたが証拠不十分で無罪となる。
聖子の母・曽根子は心労で胎児とともに病死し、剛力大佐も責任を感じ拳銃自殺する。
更には、犯人との繋がりを警察に疑われた小間使いの小百合も、抗議の獄中自殺をし、主を失った剛力家の使用人たちは離散する。

【登場人物】

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勝呂 武尊(すぐろ たける) - 野村萬斎

本作の主人公。自他ともに認める「日本一の名探偵」で、この物語の直前に「いろは殺人事件」を解決したばかり。
原作のエルキュール・ポアロに相当する

馬場 舞子(ばば まいこ) - 松嶋菜々子

家庭教師。正体は聖子の元家庭教師で、ホームパーティーでの仕切りがうまかったことから、頭脳明晰であると羽鳥夫人らに見こまれ、犯罪計画の立案者となる。
自分一人では不安なため、経験豊富な軍人の能登を誘い、二人で藤堂に新聞記者を装って会いに行くなど作戦を進め、のちに彼と恋愛関係になる。能登には「昭和の大石内蔵助」と例えられる。
原作のメアリー・デブナムに相当する。

幕内 平太(まくうち へいた) - 二宮和也

藤堂の秘書。前職では慈善事業に関わり、剛力曽根子と面識があった。
曽根子に肉親や恋人に相当する思いを寄せており、一緒に撮った記念写真を持ち歩いている。
羽鳥夫人らの仲間に加わる以前から藤堂の下で働き、独自に復讐の機会を伺っていた。
その後は藤堂の動向を探り伝える役割を果たす。
実行にあたっては藤堂に睡眠薬を飲ませることに成功するものの、勝手に脅迫状を燃やしてしまい馬場を混乱させる。
原作のヘクター・マックイーンに相当する。

安藤伯爵夫人(あんどう はくしゃくふじん)- 杏

安藤伯爵の妻。勝呂らにも噂されるほどの美貌の持ち主。
名は浪子(なみこ)だが、旅券を偽造し良子(りょうこ)と名乗っているとわかり、証拠品である「N」のイニシャル入りハンカチの持ち主と目される一人となる。
正体は曽根子の実の妹。立案当初から計画に加担するも妊娠中でもあり、実行メンバーから外されたが、当日黙って下関まで来てしまい、無理矢理計画を変更させて乗車し、フェイクのために廊下を歩く役を担う。
原作のアンドレニ伯爵夫人に相当する。

安藤伯爵(あんどう はくしゃく) - 玉木宏

外交官。妻が計画の打ち合わせのためにたびたび家を空けるのを不貞と疑い、自ら彼女を尾行して事実を知り、計画に加担する。
妻への愛情から直接手を汚させることを嫌い、最後に刺す役割を替わる。
原作のアンドレニ伯爵に相当する。

能登 巌(のと いわお) - 沢村一樹

陸軍大佐。剛力大佐には2度にわたり命を救われた戦友であり、親友であることと、負傷のため片脚が不自由で杖を使用しており、軍人として現場で戦うことができない悔しさもあって今回の計画に加担する。
妻と離婚協議中で、馬場と交際している。
計画への参加人数を裁判の陪審員と同じ12人にすることにこだわる。
原作のアーバスノット大佐に相当する。

羽佐間 才助(はざま さいすけ) - 池松壮亮

万年筆の販売員。のちに藤堂に雇われた探偵を名乗る。
5年前は警察官で、小百合の恋人だった。
事件後探偵に転じていたため、計画準備中に笠原の消息を突き止める目的もあり復讐の仲間に誘われる。
当日は変装して駅員に成りすまし、藤堂の用心棒・清水(演:深水元基)の乗車を阻む。
原作のサイラス・ハードマンに相当する。

呉田 その子(くれた そのこ) - 八木亜希子

教会に勤務する女性。正体は聖子の乳母。
敬虔な信仰心を持つが、自らの手で育てた聖子とその家族を不幸にした藤堂を許せず、罪も自覚した上で計画に加担する。
実行時に「芝居」をしなくてはならないことに対し、人一倍拒絶反応を示す。
原作のグレタ・オルソンに相当する。

昼出川 澄子(ひるでがわ すみこ) - 青木さやか

轟侯爵夫人のメイド。正体は剛力家の元料理人。
計画に加担する前に保土田とともに藤堂を襲撃していて、直情的な彼らの行動が藤堂を警戒させ計画を乱されることを恐れた馬場の発案で仲間に取り入れられる。
原作のヒルデガルド・シュミットに相当する。

保土田 民雄(ほどだ たみお) - 藤本隆宏

輸入車セールスマン。九州弁を話す。
正体は剛力家の運転手。
昼出川同様の理由で仲間に誘われる。
原作のアントニオ・フォスカレッリに相当する。

101

羽鳥夫人(はとり ふじん) - 富司純子

おしゃべりなマダム。
名は典子(のりこ)で、「N」のハンカチの持ち主候補になるが否定する。
正体は曽根子の母で元女優・淡島 八千代(あわしま やちよ)。
その人望をもって計画の中心人物となり、自分の役割を「喜劇」として演じる。
原作のハバード夫人に相当する。

莫(ばく) - 高橋克実

鉄道省の重役で車掌の上司。
席の手配ができなかった勝呂のために、三木に命じて一旦幕内と相部屋の2号室を無理矢理確保させて乗車させた上で、自分の泊まる一等客室を勝呂に譲り一般車両に移る。
九州人に対しいい感情を持っていない。
原作のブックに相当する。

須田(すだ) - 笹野高史

外科医。
三等客室に乗り合わせていた。
遺体の検視を行い、事件の時系列をメモするなど勝呂の推理を手助けする。
原作のコンスタンティン博士に相当する。

益田 悦夫(ますだ えつお) - 小林隆

藤堂の執事。
正体は剛力家の元執事。
藤堂が裏切り者の執事を解雇したのに伴い、幕内の紹介でその執事に就職し、復讐の機会を伺う。
原作のエドワード・ヘンリー・マスターマンに相当する。

轟侯爵夫人(とどろき こうしゃくふじん) - 草笛光子

周囲に威圧感を与える老貴婦人。
メイドの昼出川を伴い旅行中。
名はナツで、証拠品の「N」のハンカチの持ち主と目される一人。
正体は羽鳥夫人の友人で、女優としてのファンでもあり、曽根子の名付け親。
原作のドラゴミロフ公爵夫人に相当する。

三木 武一(みき ぶいち) - 西田敏行

「特急東洋」の車掌。
小百合の父で、一人娘を失った。
当初は自分の家のごとく誇りを持って働く列車で殺人を起こすことをためらい計画を断るが、羽佐間を紹介され参加を決意する。
原作のピエール・ポール・ミシェルに相当する。

藤堂 修(とうどう おさむ) / 笠原 健三(かさはら けんぞう) - 佐藤浩市

実業家。殺人事件の被害者。
勝呂の捜査によって、藤堂修は改名後の名であり、その正体が5年前に起きた剛力家令嬢誘拐殺人事件の犯人で無罪判決を受けた「笠健」こと笠原健三だと分かる。
幕内によると、笠原はキャラメル工場を経営しているように見せかけ、ケシからアヘンを製造・密売しているという。
原作のラチェットに相当する。

剛力家

102_2

剛力大佐(ごうりき たいさ) - 石丸幹二

陸軍大佐。誘拐事件で藤堂に娘を殺害されたあげく妻と胎児をも失い、失意のうちに拳銃自殺する。
原作のアームストロング大佐に相当する。

剛力 曽根子(ごうりき そねこ) - 吉瀬美智子

剛力大佐夫人。身重の時に誘拐事件で娘・聖子を失ったショックで倒れ、胎児とともに死亡する。
原作のソニア・アームストロングに相当する。

剛力 聖子(ごうりき せいこ) - 小林星蘭

剛力大佐の娘。身代金目的誘拐事件の被害児童で、殺害され死体で発見される。
原作のデイジー・アームストロングに相当する。

三木 小百合(みき さゆり) - 黒木華

剛力家の小間使いで、三木武一の娘。事件当初犯人と疑われ、無実を主張していたものの、警察署内で首つり自殺する。
原作のポーレットに相当する。

【感 想】

ビデオ録画したものを、今回保存用としてDVDに焼き、再度ゆっくり観ました。

視聴率は第1夜が16.1%なのに、第2夜が15.9%と第2夜と少し下がったようですが、私も、テレビで第1夜の放送分を観てイマイチだったので、第2夜の放送を観ようかどうか迷っていました。でも、結局観ることにしました。

以前に私が観た、1974年のイギリス映画「オリエント急行殺人事件」は、ものすごく豪華なキャストでしたが、今回のドラマも、負けず劣らずの豪華メンバー総出演です。

第1夜はほぼ原作通りの内容でしたが、野村萬斎扮する勝呂武尊の演技がちょっとオーバー美味だったので、あまり良い印象を持ちませんでした。
タイトルは、「オリエント急行」なのに、舞台を昭和初期の日本に設定し、列車名が「特急東洋」です。ならば、タイトルは「特急東洋殺人事件」だと思うのですが・・・(笑)

また、登場人物名も面白いですね。
原作に登場する人物で、アームストロング大佐は、剛力大佐となっていますし、映画でアンソニー・パーキンスが演じていた秘書・ヘクター・マックイーンが幕内平太です。
アンドレニ伯爵は、安藤伯爵だし、イングリッド・バーグマンが演じたグレタ・オルソンは、呉田その子と、よく似た名前になっています。
登場人物の蘭に、原作での名前も書いておきましたので、見比べてみてください。

せっかく第1夜目を観たので、ついでに第2夜も・・・と思い、観ることにしましたが、キザっぽさが鼻につく勝呂武尊の登場も少なくなり、観ていてとても楽しかったです。
第1夜の終盤に、探偵の勝呂が犯行の様子を推理した後、これ以上隠しきれないと思ったのか、犯人が犯行を自白してしまいます。
ここで、犯人がわかってしまったので、第2夜の視聴率が下がったのかも知れませんが、第2夜の内容は圧巻でした。

第2夜は、5年前に剛力大佐の娘が誘拐され、身代金を取られた上に殺害されると言うところから始まり、誘拐した犯人を捜し出して殺害計画を立て、特急東洋の車中でのあらましを、この事件の犯人が語るという形で話が進んでいきます。
この犯人の視点で、この日に至るまでの様子が描かれているというのがユニークですね。
誘拐事件が起こってから、特急東洋での事件までの、原作には書かれていなかった空白の5年間が、ホントに大変だったと言うことが伝わってきます。

でも、第2夜で、犯人側の視点から描くと言うことなので、第1夜の最後に、犯人が犯行を自白すると言う設定にしたのだと思いますが、これでは、探偵の勝呂のみならず、同席していた鉄道省の重役と外科医までが、犯人を知っていながら見逃したと言うことになってしまいます。
そこのところはちょっといただけませんが、犯人の側から、この事件を描くと言うことなので、仕方がなかったのかも知れません。

映画では、探偵のポアロが、「この事件を推理すると二つの可能性が考えられる」と言うことで、第1案と第2案を提示し、鉄道省の重役・ブックが、「車掌に変装したマフィアの犯行だ」という第1案を選択することでこの事件は解決となります。
そして、ポアロがその場から退出した後に、出演者全員によるシャンパンの(一人ずつグラスを合わせ行く)乾杯シーンでしたが、あたかもカーテンコールのような感じで、とても印象的でした。

このドラマでは、殺人犯を見逃した、名探偵・勝呂武尊の得意げな顔と態度で終わって行きますが、このラストシーンは、もう少し考えてほしかったですね。

=4月20日追加=

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133

Blog記事ランキングで、「オリエント急行殺人事件/TVドラマ全二話」が、「映画の部」の一位になりました。

117

また、ブログランキングでも一位になっています。

UPしたところなのに、記事ランキングで一位になるとは驚きです。
たくさんの方に見ていただき、ありがとうございます。

2015年4月11日 (土)

インターステラー

【解 説】

Poster2

「ダークナイト」「インセプション」のクリストファー・ノーラン監督によるオリジナル作品。
世界的な飢饉や地球環境の変化によって人類の滅亡が迫る近未来を舞台に、家族や人類の未来を守るため、未知の宇宙へと旅立っていく元エンジニアの男の姿を描く。

主演は、「ダラス・バイヤーズクラブ」でアカデミー主演男優賞を受賞したマシュー・マコノヒー。共演に『レ・ミゼラブル』などのアン・ハサウェイ、『ゼロ・ダーク・サーティ』などのジェシカ・チャステイン、ノーラン作品常連のマイケル・ケインほか。
ノーラン監督の実弟ジョナサン・ノーランが脚本に参加。撮影は、「裏切りのサーカス」「her 世界でひとつの彼女」などを手がけて注目を集めているホイテ・バン・ホイテマが担当。

深遠なテーマをはらんだ物語に加え、最先端VFXで壮大かつリアルに創造された宇宙空間の描写にも圧倒される。

【あらすじ】

近未来。
地球規模の植物の枯死、異常気象により、人類は滅亡の危機に立たされていた。

001

元宇宙飛行士クーパーは、義父と15歳の息子トム、10歳の娘マーフとともにトウモロコシ農場を営んでいる。

002

マーフは、自分の部屋の本棚から本がひとりでに落ちる現象を幽霊のせいだと信じていたが、ある日クーパーは、それが何者かによる重力波を使った二進数のメッセージではないかと気が付く。

005

クーパーとマーフはメッセージを解読し、それが指し示している秘密施設にたどり着く。
そこでクーパーはかつての仕事仲間のブランド教授と再会し、大昔に無くなったNASAが秘密裡に復活し活動を続けていることを知らされる。

NASAは土星近傍のワームホールを通り抜けて、別の銀河に人類の新天地を求めるプロジェクト「ラザロ計画」を遂行していたのだった。

007

48年前に”彼ら”によって創造されたと考えられているワームホールを通過し、すでに三名の先駆者達が、入植が期待できる惑星から信号を送り返している。

004_2

教授は、第二の地球となり得る惑星を探すミッションに、パイロットとして参加するようクーパーを説得する。帰還できたとしてもそれがいつなのか不明なミッションに、マーフは激しく反対する。
二人は和解の機会を得られないまま、クーパーは出発の日を迎えてしまう。

008

クーパーはマーフに「必ず戻ってくる」とだけ言い残し、ブランド博士の娘のアメリアらとともに宇宙船エンデュランスに搭乗し地球を後にする。

【感 想】

010SFは、小説も映画もそれほど好きじゃ無いのですが、DVDで観ました。
169分(2時間49分)と言う、とても長い映画ですが、長さを感じさせない迫力がありました。

ところで、キャストの一覧を見ていると、そこに、「マイケル・ケイン」を発見しました。懐かしい名前です。
1972年に観た映画・「探偵スルース」では、ローレンス・オリビエ扮する老ミステリー作家に、いいように翻弄させられてしまう青年を演じていましたが、当たり前のことですが(43年も前の映画なので)、今では立派な老人になっていました(笑)

さて、映画ですが、地球には住めなくなってきたので、人類が移住できるような惑星を捜しに、宇宙へ旅立つと言う話です。
あらすじを読んだときは、「宇宙戦艦ヤマト」のような話だと思いましたが、そんなに軽く観ていられる映画じゃ無いと言うことがわかり、途中から本腰を入れてみました。

009

すでに、三名の先駆者達が、入植が期待できる惑星から信号を送り返しているので、そこを訪れて行くという事ですが、三ヶ所を回る間に、燃料が足りなくなり、最終的には、「宇宙船クルー」は地球に帰る事が出来なくなります。
ところが、地球ではクーパーの娘のマーフィが、「重力の謎」を解明し、すでに人類は地球を捨て、土星周辺にスペースを作って移住していたのですが・・・。

006

地球上で起こっている現状と、宇宙船内で行われていることが交互に出てきますが、当然のことながら、宇宙船内と地球上では時間のずれが起きてきます。

映画は、宇宙船内の時間を基準に描かれているので、地球上では早く時間が過ぎて行っています。
この辺は、映画を観ている人を、退屈させないように、上手く作られています。

そして、ラストの30分です。
一気にラストになだれ込む描き方は、見応えがあり、なかなか興味深いものでした。
ネタバレを書かないで(特にラスト部分の)感想を書くのは難しい映画なのですが、ラストは、マーフィーの独白に合わせてアメリアの映像が流れて終わっていきます。なにか、人類の今後の行く末を暗示させるような終わり方でした。

最後に、マーフィーの幼少期を演じていた女優・マッケンジー・フォイが良いですね。
ポスターにはマーフィー役として、ジェシカ・チャステインの名前が書かれていますが、幼少期のマッケンジー・フォイがメインのような気がします(笑)

【キャスト】

T0016840p[宇宙船クルー]
クーパー - マシュー・マコノヒー
アメリア・ブランド - アン・ハサウェイ
ロミリー - デヴィッド・ジャーシー
ドイル - ウェス・ベントリー
マン博士 - マット・デイモン

[地球の人物]
マーフィー(マーフ) - ジェシカ・チャステイン
マーフ(幼少期) - マッケンジー・フォイ
マーフ(老年期) - エレン・バースティン
ブランド教授 - マイケル・ケイン
トム - ケイシー・アフレック
トム(幼少期) - ティモシー・シャラメ
ドナルド - ジョン・リスゴー
ロイス - リーア・ケアンズ
ゲティ - トファー・グレイス
校長 - デヴィッド・オイェロウォ
ウィリアムズ - ウィリアム・ディヴェイン
管理者 - エリス・ガベル
ハンリー先生 - コレット・ウォルフ

【スタッフ】

監督・製作・脚本: クリストファー・ノーラン
製作: エマ・トーマス / リンダ・オブスト
脚本: ジョナサン・ノーラン
製作総指揮: キップ・ソーン / ジェイク・マイヤーズ / ジョーダン・ゴールドバーグ
撮影: ホイテ・ヴァン・ホイテマ
美術: ネイサン・クローリー
衣装: メアリー・ゾフレス
編集: リー・スミス
音楽: ハンス・ジマー
視覚効果監修: ポール・フランクリン

=4月18日追加=

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132

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2015年4月10日 (金)

ふしぎな岬の物語

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【解 説】

人気作家・森沢明夫の小説 『虹の岬の喫茶店』を基に、のどかな里で小さな喫茶店を営む女店主と、店に集う人々との心温まる交流を描いた人間ドラマ。

日本映画界を代表する女優・吉永小百合が、『八日目の蝉』などの成島出監督と共同で、映画人生で初めて企画に挑戦。

岬の先にあるカフェの女主人と、そこに集う人々が織り成すドラマがつづられる。
女主人のおいを阿部寛、店の常連客を笑福亭鶴瓶が演じるなど、個性あふれる顔ぶれが物語を彩る。

原作のモデルとなった喫茶店が実在する千葉県明鐘岬を中心にロケを敢行した景色も魅力。

【あらすじ】

のどかな太陽と海に抱かれて、独特の時間が流れる岬村。

001

その岬の先端で、静かに佇む「岬カフェ」。
店主・柏木悦子の朝は、カフェの裏で"何でも屋"を営む甥の浩司と小舟で小島に出かけ、湧き清水を汲むことから始まる。

島から帰ると、質素だが掃除の行き届いた店内を、摘んできたばかりの季節の野花で彩った。

003

どこか懐かしさの漂うこのカフェで、何より人々を和ませるのは、注文を受けてから豆を挽き、ネルドリップで丁寧にいれた、心づくしのコーヒーだ。
悦子の祈りを込めた一杯は、カフェに集う人たちを元気づけた。

005

常連客に囲まれた、ささやかな生活を、悦子は愛していた。
いくつになっても感情をコントロールできずに、たびたび問題を起こす浩司の純粋さを尊重し、いつも温かく微笑みかけた。

よき理解者・悦子の存在は、浩司を安心させた。
そんな二人のふれ合いをずっと支えてきた、常連客のタニさん。
30年間という長いつき合いの中で、タニさんはひそかに悦子への想いを育んでいた。

006

地元の秋祭りの日には、漁を営む徳さんの娘・みどりが、数年ぶりに帰郷した。素直になれない父娘にも、悦子はそっと寄り添った。

009

小さなカフェには、常連客のほかにもさまざまな客が足を運んだ。
東京から虹を追いかけて、父親と共にカフェにたどり着いた少女・希美。

002

希美に"魔女"と呼ばれた悦子は、とっておきのユーモアで、母親を亡くしたショックでこわばった少女の心を優しく溶かした。

007

そんな悦子の深い愛情に満ちたカフェは、弱みを抱えた人たちの憩いの場になっていた。
悦子をこの地へと導いたのは、今は亡き最愛の夫だった。
スケッチ旅行で偶然訪れた岬で、美しい虹と出会った夫は、虹の絵を悦子に遺した。
ひとりぼっちになった悦子は、虹をつかむような気持ちで、虹の岬に移り住んだのだった。

008

みんなで喜びを持ち寄り、悲しみを分かち合う・・・、そんな穏やかな日々がいつまでも続くことを願っていた岬村の人たちの人生に、荒波が押し寄せる。悦子への思慕に戸惑う浩司。

会社の肩たたきで大阪へ転勤することになったタニさん。
徳さんとの別れの時が近づき、積年の親不孝を悔いるみどり。
そして悦子を見守ってきた虹の絵も、カフェからなくなってしまう。

010

大切なものが次々と去ってゆき、悦子は再び寂しさに襲われる。
さらに追い打ちをかけるように、岬カフェが炎に包まれて・・・。

011

厳しい流転にのみこまれながら、岬村の人々は、苦しみの先に、どんな未来を見つけるのだろうか?

【感 想】

DVDで観ました。
上映時に、映画館に行こうかとも思った事もありましたが、見送りました。

それにしてもこの映画は、タイトルの通り不思議な映画です。
まず、霊感がある(?)少女・希美(のぞみ)が登場します。虹を追って東京からやってきたという父と娘・希美が、岬カフェに入るやいなや、「虹を見つけた・・・」と、悦子の亡くなった夫が画いたという虹の絵に注目します。

そしてその後、突然岬カフェに現れた希美が、亡くなった悦子の夫(と思える人物)から、絵を返してくれと言われたと言って、持ち出してしまいます。
このエピソードで重要な役割の、霊感少女の名前がありませんでした。エンドロールを見て、調べて下のキャスト一覧に付け加えて置きました。

013

映画では、悦子の夫がいつどうして死んだのかとの説明がありません。ひょっとしたら、本当は死んでいない(突然蒸発してしまった)のかも・・・って、そういうことは無いでしょうが、いまだに悦子は、夫の死を受け入れられないようです。
最後になって、岬カフェのキッチンから突然火が出ます。黙って燃えるのを見つけているだけの悦子ですが、いつまでも過去にとらわれずに、新たな人生を生きよと、亡き夫が言っているようです。

ところで、この映画での悦子は、何歳という設定なのでしょうか?
30年間、この岬カフェでコーヒーを入れ続けていると言うことなので、おそらく60代前半という設定なのでしょうが、ちょっと若作りしすぎという感じも無くはありません。
UPにすると、はやり年齢は隠せないですね。
この60代と覚しき女性が、なぜかモテモテなのも不思議です。

016

この映画で気になったのは、ちょっとしたエピソードが、次々に登場しますが、それがどう繋がって行くのかと言うことがよくわかりません。
しかも、時間の流れが不明です。勝手に時間が過ぎていき、いつの話なのかよくわからない事ばかりです。
盛大な結婚式が行われたと思ったら、妻の方は田舎のニオイがイヤだからと逃げ帰っていくし、竹内結子扮するみどりが、都会から戻ってきたら、彼女の父の徳さんは、吐血して末期の胃がんで入院し、そのまま死んでしまいます。

時間を無視してエピソードが次々挿入されるので、退屈はしませんでしたが、何が言いたいのかがよくわからない映画になっています。
観た人によって、受け取り方が違ってくるのでしょうが、サユリストのための映画(登場人物も観る人も・・・)のようです。

【キャスト】

T0018686p

柏木悦子 - 吉永小百合
柏木浩司 - 阿部寛
竜崎みどり - 竹内結子
タニさん - 笑福亭鶴瓶
竜崎徳三郎 - 笹野高史
柴本恵利 - 小池栄子
柴本孝夫 - 春風亭昇太
大沢克彦 - 井浦新
大沢希美 - 采沢真実
行吉先生 - 吉幾三
ドロボー - 片岡亀蔵
鳴海 - 中原丈雄
雲海 - 石橋蓮司
冨田 - 米倉斉加年
山本 - 近藤公園
中山健 - 矢野聖人
三平 - 矢柴俊博
佐藤 - 不破万作
消防団長 - モロ師岡
高橋 - 嶋田久作
ブラザーズ5 - 杉田二郎、高山厳、因幡晃、ばんばひろふみ、堀内孝雄

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【スタッフ】

監督 - 成島出
脚本 - 加藤正人、安倍照雄
企画 - 成島出、吉永小百合
原作 - 森沢明夫
  『虹の岬の喫茶店』(幻冬舎文庫)
題字デザイン - 和田誠
衣装デザイン - 鳥居ユキ
撮影監督 - 長沼六男
音楽 - 安川午朗
メインテーマ - 村治佳織
  「望郷?ふしぎな岬の物語?」
劇中歌 - ブラザーズ5
  「入っておいで この里に」

=4月17日追加=

eoblog 「みんなのブログ 映画」で・・・(Part19)

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Blog記事ランキングで、「ふしぎな岬の物語」が、「映画の部」の一位になりました。
また、「インターステラ-」が二位に入っています。

たくさんの方に見ていただき、ありがとうございます。

2015年4月 8日 (水)

柘榴坂の仇討(ざくろざかのあだうち)

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【解 説】

『鉄道員(ぽっぽや)』など数多くの著作が映画化されてきた人気作家・浅田次郎による短編集「五郎治殿御始末」所収の一編を映画化した時代劇。

主君のあだ討ちを命じられた武士の不器用な生きざまを通し、幕末から明治へと時代が激変する中、武士として、人としての誇りと覚悟を持って生きる侍たちの姿を描く。

監督は『沈まぬ太陽』などの若松節朗、音楽を映画音楽の巨匠・久石譲が担当。
『壬生義士伝』などの中井貴一が主人公を熱演し、阿部寛、歌舞伎役者の中村吉右衛門ら実力派が共演する。

【あらすじ】

安政七年三月三日、江戸城桜田門外で大老の井伊直弼(中村吉右衛門)が襲撃され殺害される。

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主君を守り切れなかったことを、悔やんでも悔やみきれない彦根藩士・志村金吾(中井貴一)のもとに、仇を討てとの藩命が下る。

明治の世になり時代が大きく変わっても、武士としての矜持を持ち、敵を探し続ける金吾。

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一方水戸浪士・佐橋十兵衛(阿部寛)は井伊直弼殺害後、俥引きに身をやつし孤独の中に生きていた。

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そして明治六年二月七日、仇討禁止令が布告される・・・。

【感 想】

DVDで観ました。
映画館で観るつもりだった映画ですが、何かバタバタしていたので、見逃してしまいました。
でも、毎回思うことですが、半年前に公開された映画が、こうしてDVDでゆっくり見られるというのはありがたいですね。

さて、本編です。
上映時間が119分ということですが、前半は・・・というより、中井貴一と阿部寛の二人が対面するクライマックスのシーンまではホントに長く感じました。

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明治になってもなお、髷を結った二本差しの姿で、主君・井伊直弼を暗殺した人物を捜し回っている志村金吾が、井伊直弼との出会いから、桜田騒動(桜田門外の変)の様子や、事件後には切腹もかなわず、主君の仇討ちを命じられたいきさつなどを振り返るという形で話が進んでいきます。

東京周辺を、目的の人物を探していく日々の中での、いくつかのエピソードが登場しますが、何か時間つなぎに作って居るだけのようなエピソードばかりのような感じがします。
後に繋がらない、その場限りのとってつけたようなエピソードはあまり面白くないですね。

また、元評定所御留役で、かつて水戸浪士たちの取り調べを担当したという司法省の秋元和衛警部からの呼び出しの手紙が、突然投げ込まれるように入ってくるところも、ちょっと芝居がかっていて何か変ですし、妻のセツが帰ってくると、その手紙を懐に慌てて隠しておきながら、内容はセツに話しているのは、ちぐはぐな感じがしました。

ところで、秋元和衛警部の奥方・峯が、なかなかユニークな方です。
金吾が呼び出しに応じて秋元家を訪問し、秋元と話をしているところにお茶を持って部屋に入ってきた奥方が、「難儀なことですね・・・」と、誰に言うとも無くポツリと言ってお茶を差し出します。
お茶を出された金吾が、「ご迷惑をおかけいたしまする」と奥方に頭を下げたら、「そのお言葉、奥方に申されませ。難儀はあなたさまではなく、ましてや拙宅の主人ではなく、奥方でございましょう・・・」とだけ言って、そっと席を立って行きます。
もし、仇討ちが達成されれば、志村金吾は切腹し、その妻セツは後を追って・・・、だから「難儀なこと」なのだそうです。

この奥方役の女優さんの名前を探してみたのですが、どこにも見つかりませんでした。でも、エンドロールの名前からして、おそらく「宮田圭子」さんじゃ無いかと思います。
結構重要な役回りだと思いますし、なかなか良い味を出していましたので、紹介させていただきます。

結局、秋元が金吾に、佐橋十兵衛の居場所を教えることになりますが、二人の話の流れからすると、教えないのかなとも思いました。でも、なぜ秋元が、佐橋十兵衛の居場所や職業を知り得ていたのかがよくわかりません。

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その後、金吾は即座に十兵衛のところへ行き、お互いが意識し合って対面することになります。ここからの二人のやりとりは迫力がありましたし、楽しめました。
人力車に金吾を乗せ、十兵衛が車を引きながら、柘榴坂を上がっていきます。桜田騒動後の二人の13年間を静かに語っていくところは、さすがに上手いです。
この後、どういう展開になるのかは映画を観ていただくとしてここには書きませんが、なかなか良い緊張感の中で話が進んで行き、息を詰めて画面を観ていました。

でも普通は、出会って相手が誰だかわかった瞬間に、「刀をとれ」「問答無用」と言う感じで、果たし合いになるはずなのに、金吾の心情の変化がよくわかりませんでした。
冷静に出会えているところから、司法省の秋元和衛警部の言葉が心に響いたのか、警部の奥方の言葉が胸に突き刺さったのかはわかりませんが、13年間探し求めてやっと巡り会えた、主君を暗殺したにっくき相手を目の前にして、あの冷静な対応は何なのでしょうか?

すでに太政官布告として「仇討禁止令」がでていたとしても、髷は切っても武士としての心を失わないで生きていると言う、元武士の姿勢が全面にでている映画なのに、今まさに武士の本懐を遂げられるという時になって、あの態度は理解に苦しみます。
初めて会っただけの秋元警部に、説得されるぐらいのいい加減な気持ちで13年間を送ったとも思えないので、私としては、秋元警部の奥方の言葉が心に刺さったのだと思いたいです。
最後のシーンでは、二人とも女性の元に帰って行くのも印象的です。
もっとも、ラストシーンで、金吾と妻のセツが、手をつないで家路につく様子は、ちょっと笑ってしまいました・・・。

それにしても、中井貴一と阿部寛の二人の対決シーンは良いですね。
前半の部分があるからいろいろ考えてしまうので、単純に、二人が出会ってから別れるまでのシーンだけを抜き出してみたら、静かに火花が散っているような、緊張感に満ちた二人の白熱の演技は見応えがありました。
ただ、立ち回りの部分は余計でしたが・・・。

最後に、画面はとても綺麗でした。
真っ白な雪に、寒さに耐えて咲く一輪の椿・・・ですが、何か違和感があります。
雪の上で、派手に立ち回りを演じた割には、ホントに綺麗な雪景色でした。
人力車の轍が綺麗に残り、地面が全く見えないほど、一面に降り積もったさらさらの雪って、何かしっくりきませんでした。
おそらくCGか何かで、雪も雪景色も椿も作られているのでしょうが、映像だけでは無く、全体的に綺麗に作ろうとしている気持ちが強いのか、現実的な生々しさを感じない映画でした。

【キャスト】

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志村金吾 - 中井貴一
佐橋十兵衛(直吉) - 阿部寛
志村セツ - 広末涼子
内藤新之助 - 高嶋政宏
マサ - 真飛聖
財部豊穂 - 吉田栄作
稲葉修衛門 - 堂珍嘉邦
小野寺覚馬 - 近江陽一郎
ユキ - 木﨑ゆりあ
本多昌衛門 - 津嘉山正種
秋元和衛 - 藤竜也
井伊直弼 - 中村吉右衛門

【スタッフ】

監督 - 若松節朗
脚本 - 高松宏伸、飯田健三郎、長谷川康夫
撮影 - 喜久村徳章
音楽 - 久石譲

2015年3月19日 (木)

イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密

【解 説】

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第二次世界大戦中に、ナチスドイツの暗号機エニグマの解読に取り組み、のちに同性間性行為のかどで訴追を受けたイギリスの暗号解読者アラン・チューリングの波乱の人生を描いた伝記ドラマ。
劣勢だったイギリスの勝利に貢献し、その後コンピューターの概念を創造し「人工知能の父」と呼ばれた英雄にもかかわらず、戦後悲劇の運命をたどったチューリングを、ベネディクト・カンバーバッチが熱演する。
監督は『ヘッドハンター』などのモルテン・ティルドゥム。
チューリングを理解し、支える女性ジョーン・クラークにキーラ・ナイトレイをはじめ、『イノセント・ガーデン』などのマシュー・グード、『裏切りのサーカス』などのマーク・ストロングら実力派が共演。

第87回アカデミー賞では作品賞、監督賞、主演男優賞、助演女優賞など計8部門でノミネートされ、脚色賞を受賞した。
原題は「The Imitation Game」。上映時間:115分

【あらすじ】

1939年、イギリスがヒトラー率いるドイツに宣戦布告し、第二次世界大戦が開幕。
天才数学者アラン・チューリング(ベネディクト・カンバーバッチ)は、英国政府の機密作戦に参加し、ドイツ軍の誇る暗号エニグマ解読に挑むことになる。

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エニグマが“世界最強”と言われる理由は、その組み合わせの数にあった。
暗号のパターン数は、10人の人間が1日24時間働き続けても、全組合せを調べ終わるまでに2000万年かかるというのだ--!

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暗号解読のために集められたのは、チェスの英国チャンピオンや言語学者など6人の天才たち。
チームは暗号文を分析するが、チューリングは一人勝手に奇妙なマシンを作り始める。子供の頃からずっと周囲から孤立してきたチューリングは、共同作業など、はなからするつもりもない。 

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両者の溝が深まっていく中、チューリングを救ったのは、クロスワードパズルの天才ジョーン(キーラ・ナイトレイ)だった。

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彼女はチューリングの純粋さを守りながら、固く閉ざされた心の扉を開いていく。

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そして初めて仲間と心が通い合ったチューリングは、思わぬきっかけで遂にエニグマを解読する。

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しかし、本当の戦いはここからだった。
解読した暗号を利用した極秘作戦が計画されるが、それはチューリングの人生はもちろん、仲間との絆さえも危険にさらすものだったのだ。

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さらに自分に向けられるスパイ疑惑。
そしてチューリングが心の奥に隠し続け、ジョーンにすら明かせなかった、もう一つの大きな悲しい秘密。

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あらゆる秘密と疑惑が幾重にも積み重なり、チューリングの人生は思わぬ方向へと突き進んでいくが--。

【感 想】

大阪市内へ行く用事があったので、何もしないでそのまま帰ってくるのは、電車代がもったいない・・・と言うことで、全く予備知識の無いまま、この映画を見ることになりました。
理由は、暗号機エニグマを解読した数学者の話と言うことだからです。

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冒頭から、ちょっと自信過剰気味で、鼻持ちならない主人公が登場します。
1951年、数学者アラン・チューリング (ベネディクト・カンバーバッチ)の家が荒らされ、2人の警官が捜査に当たる所から始まります。不審に感じた刑事に取り調べを受けたチューリングは、政府暗号学校(ブレッチリー・パーク)で働いていた頃を回顧するという形で、それまで秘密にされてきた暗号解読の任務について話し出す・・・と言う設定です。

その話の途中に、1927年にアラン・チューリングが入学していた寄宿学校での様子をはじめ、クラスの友人に触発され、暗号に興味を持っていく過程や、その友人(男子)に恋心を抱いていくところが、何度かに分けて挿入されていきます。

1927年の話は、学生時代のことなのでその時代の事だとわかるのですが、1951年と1940年頃の話が、最初のうちはどちらがどっちなのか、どうもわかりづらかったです。
映画館も、以前でしたら、映画も入れ替え制じゃ無かったので、最初の10分ほどをもう一度観てから出てくると言うこともよくありましたが、今は入れ替え制なので、そういうことができないのは残念です。
DVDが発売されたら、冒頭の部分を再度しっかり見てみないといけないですね。

設定では、主人公は数学者と言うことですが、今で言うならば、電子工学の専門家といった感じです。
映画では、ナチスドイツの暗号機・エニグマで作られた暗号を、計算式を作って解くのじゃ無く、電子機器を作って解読すると言う新しい方法をアラン・チューリングが独自に考え出し、その機械を作って解読するまでの話と、解読してからの苦悩を描いています。

たとえば、暗号が解読できたとしても、そのことが相手側にわかってしまうと、せっかくわかった暗号解読の方法が無駄になってしまうので、別の方法で相手の作戦の情報が入ってきたことにして置くわけです。
暗号解読ができたと言うことは、ドイツ側だけでは無く、味方にも秘密事項としていなければいけないし、そのために、攻撃されるとわかっていても、わざと見捨てることで、暗号が解読されていないと、ドイツ側に思い込ませると言うことです。
どの作戦に援軍を送り、ドイツ側のどの攻撃を見捨てるか・・・と言うことを決めるのは、感情を持っている人間には難しいですね。

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観る前は、暗号解読に取り組んだ数学者の話だと思っていましたが、解読した後の人間関係が面白い映画でした。
同性愛を告白し、婚約者とも別れ、戦後は暗号解読が秘密事項のため、その偉業が誰にも知られないまま、淫らな行為(同性愛)を犯したとして有罪となりますが、服役か化学的去勢(女性ホルモンの投与)のどちらかの選択を迫られ、仕事を続けるために後者を選ぶというところで話が終わります。

その後は、1954年に自殺したこと。1967年にイングランドでは同性愛が合法になったこと。2013年にエリザベス女王によってに恩赦されたと言うことなどが、テロップでの経過説明で話が続きますが、何か、尻切れトンボのような形で終わってしまったような感じです。せめて、自殺に追い込まれていくところぐらいまでは、映像化してほしかった気がします。
でも、見応えがある映画でした。

映画のストーリーとは、あまり関係が無いですが、この映画の中に、イングランドがドイツの空爆の被害に遭い、各地で壊滅状態の当時の映像が登場します。
その光景を、日本の戦時下の様子とダブらせながら観ていましたが、人々の様子からは、それほど緊迫した感じは見えませんでした。
当時の日本と同じ戦争状態にありながら、しかも、ドイツの空爆にあって青息吐息の状態の中でも、平然と日常生活を送っている様子が、国民性の違いなのか、とても不思議でした。
戦争中は、アメリカからどんどん物資が送られてきていたようで、生活に必要なものはそれなりにあったのでしょうね。
その上に、暗号まで解読しているのだから、ドイツが連合軍に勝てるわけが無かったのでしょう。

【キャスト】

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ベネディクト・カンバーバッチ - アラン・チューリング
アレックス・ローサー - 若き日のチューリング
キーラ・ナイトレイ - ジョーン・クラーク
マシュー・グッド - ヒュー・アレグザンダー
マーク・ストロング - スチュワート・メンジーズ少将
チャールズ・ダンス - アラステア・デニストン中佐
アレン・リーチ - ジョン・ケアンクロス
マシュー・ビアード - ピーター・ヒルトン
ロリー・キニア - ノック刑事

【スタッフ】

監督: モルテン・ティルドゥム
原作: アンドリュー・ホッジス
脚本・製作総指揮: グラハム・ムーア
撮影監督: オスカル・ファウラ
編集: ウィリアム・ゴールデンバーグ

2015年3月16日 (月)

舞妓はレディ

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【解 説】

『Shall we ダンス?』の周防正行監督が、20年来あたためてきた企画を映画化した。
京都の架空の花街・下八軒で舞妓を目指す成長物語を、歌とダンスを交えたエンターテインメント作。

京都の花街を舞台に、舞妓に憧れる少女が古いしきたりや言葉遣いといった様々な困難を乗り越えて、一人前の舞妓になろうと奮闘する姿を描く。

鹿児島弁と津軽弁がミックスされた不思議な口調のヒロイン、春子を演じるのは、2011年・第7回「東宝シンデレラ」審査員特別賞受賞の上白石萌音が、オーディションを経て春子役に抜てきされた。

【あらすじ】

京都。歴史の古い小さな花街・下八軒は、舞妓がたった一人しかいないという大きな悩みを抱えていた。

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ある節分の夜、八軒小路のお茶屋・万寿楽(ばんすらく)に一人の少女・西郷春子(上白石萌音)がやってくる。

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春子は、女将の小島千春(富司純子)にどうしても舞妓になりたいと懇願するが、どこの馬の骨ともわからない少女を老舗のお茶屋が引き取るはずもない。

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しかし、そこに居合わせた言語学者の“センセ”こと京野法嗣(長谷川博己)は、鹿児島弁と津軽弁がミックスされた春子に興味を持ち、老舗呉服屋の社長・北野織吉(岸部一徳)に「春子を一人前の舞妓にしたら自分に褒美をくれ」とけしかける。

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晴れて万寿楽の仕込み(見習い)になった春子だが、厳しい花街のしきたり、唄や舞踊の稽古、そして何より慣れない言葉遣いに戸惑い、何もかもがうまくいかない。

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芸妓の豆春(渡辺えり)や里春(草刈民代)、舞妓の百春(田畑智子)たちが心配する中、センセの弟子の大学院生・西野秋平(濱田岳)から「君には舞妓は似合わない」と言われ、ついに春子は声が出なくなってしまう・・・・・・。

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【感 想】

映画館で観たかったのですが、DVDになってしまいました。
作中には、「京ことば」だけじゃなく、津軽弁や鹿児島弁が出てくるので、日本語字幕を出して観ていました。そういう意味では、DVDでよかったです。
これからDVDで観られる方がおられたら、日本語字幕を出してみられることをおすすめします。

話は、津軽弁と鹿児島弁が混ざった言葉を話す少女に、「京ことば」を話せるように指導し、踊りや三味線・長唄を覚えさせて一人前の舞妓にするという筋書きです。

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タイトルは、オードリー・ヘップバーン主演のミュージカル映画「マイ・フェア・レディ」をもじっているのですが、その内容にもそんなところが見え隠れしています。
映画「マイ・フェア・レディ」でオードリー・ヘプバーン扮するイライザが練習する「スペインの雨は主に広野に降る(The rain in Spain stays mainly in the plain)」というところが、「京都の雨はたいがい盆地に降る」となっているのには、思わず笑ってしまいました。

しかも、「マイ・フェア・レディ」では発音の練習用として、母音の微妙な発音の練習のための文なのに、この映画では、単に地名を京都にしただけで、少しも「京ことば」の練習になっていないですね。
「京ことば」の練習場所でもある、大学の研究室の中に、らせん階段があるのも何かおかしいです。ヒギンズ教授の家のようです。

また、エンディングシーンでは富司純子さんが、ヘプバーンを思わせるような洋装のドレスで登場しますが、スリムなスタイルもそっくりな感じで、ふとヘップバーンの老年の姿に見えてくるので驚きましたし、シルクハットをかぶった横の二人・長谷川博己さんと岸部一徳さんは、ヒギンズ教授とピカリング大佐さながらですね(笑)

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でも、楽しい映画でした。
冒頭のシーンでは、草刈民代さん扮する芸妓・里春が、啖呵を切って片肌を脱ぐと、そこには緋牡丹の入れ墨が・・・。それにかぶせて、富司純子(当時は藤純子)さんの主演映画「緋牡丹博徒」の主題歌のイントロが流れてくるというお座敷芸です。
当時、藤純子さんのファンだった私としては、思わず引きつけられてしまいました。

また、「舞妓必須三単語」というのも面白いですね。
「おおきに」「すんまへん」「おたのもうします」だと言うことですが、「おおきに」一つ取ってみても、大阪弁や京都弁とも少し違う「京ことば」の「おおきに」です。
この「舞妓必須三単語」が、映画の中で上手く使われていて、話を盛り上げています。

ミュージカル映画の難しいところは、ストーリーの中に歌や踊りが突然入ってくるので、どうしても違和感を感じてしまいがちになりますが、この映画では、日本舞踊のところで踊りになってきたりと、スムーズに行くように上手く組み合わせているようです。
お茶屋遊びには、唄と踊りはつきものですが、それを上手く、唄から歌にかえ、踊りからダンスにしてしまうとは・・・。
中でも、お酒を酌み交わしながら、座卓を指でコツコツとたたくことで音楽にしているところは、ちょっと気に入りました。

和の踊りや音楽から、ジャズやポップスになって行くところも楽しくかったですし、イントネーションの勉強の時に、本を朗読するシーンから歌に入っていくところは、なかなか良い感じです。
不安そうな顔で朗読に入る春子。その音声で、パソコンのディスプレイに描かれるなめらかな曲線。それを眺めるセンセの顔。
「おぶ」「ぼん」「はよ」「といなぁ」「かんにんえ」「こない」「そない」「あない」「どない」と、「京ことば」はなかなか手強いですが、二人の掛け合いは楽しそうです。
それまで不安そうだった春子の顔が、少しずつにこやかになり、そして、堂々と歌い出します・・・。
このシーンは、もっと長くても良いですね。一番好きなシーンです。

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京都のお茶屋さんの事は、知らないことが多かったのですが、その内輪の話も垣間見えて、変に納得しながら観ていました。
それにしても、今でもお座敷で「しゃちほこ」なんかやっているんですね(笑)
でも、春子が小春となって舞妓姿になるところで、日本髪を結ってもらうシーンでは、音楽が消え、カメラをアップにしてゆっくりと回し、髪結いの過程をじっくり見せてくれますが、思わず見入ってしまいました。

話の落ちについては、よくあるパターンなので、どうって事は無いのですが、それでも少しホロッとしてしまいました。変にベタベタしないで、さらりと流しているところが良いですね。
もちろん、どんな落ちなのかということは省略です。

そして・・・、
エンディングは、圧巻でした。観ていても楽しかったです。
こういうのを観ていると、映画館で観られなかったことが残念でなりません。
観終わったあとでも、♪まいこはレディ・・・♪このフレーズが、いつまでも耳に残ってきます。

曲の途中から、舞妓姿の小春が、突然弾けたようにダンスっぽく踊るところも驚かされました。
舞妓姿で、それは無いでしょう・・・と思う方もおられるかとは思いますが、でも、小春が「ほんまの舞妓になった」事で、「センセがごきぶりはんやのうなった」喜びが、彼女の全身から感じられ、ラストの一言につながっていきます。
「舞妓は舞妓」じゃなく、「レディ」だったんですね(笑)

最後に、春子を演じた上白石萌音さんのことも少し。
津軽弁と鹿児島弁のバイリンガルの少女が、「京ことば」になっていく過程の中で、「京ことば」とは微妙に違う、変な発音がたくさんあったので大変だったとは思いますが、それを見事に演じていたのは感心しましたし、歌も踊りも可愛さだけじゃ無く、上手かったと思います。また、最後には、完璧な「京ことば」を使っていたのには驚きです。
彼女を取り巻く俳優さんたちは、押しも押されぬ名優揃いですが、その中でも彼女はきらりと光っていました。

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【キャスト】

西郷春子(さいごう はるこ) - 上白石萌音:仕込み(見習い)
小島千春(こじま ちはる) - 富司純子:女将
(舞妓時代:大原櫻子)
百春(ももはる) - 田畑智子:舞妓
里春(さとはる) - 草刈民代:芸妓
豆春(まめはる) - 渡辺えり:芸妓
青木富夫 - 竹中直人:男衆(おとこし)
京野法嗣(きょうの のりつぐ) - 長谷川博己:言語学者
北野織吉 - 岸部一徳:老舗呉服屋社長
高井良雄 - 髙嶋政宏:大手芸能事務所社長
市川勘八郎 - 小日向文世:歌舞伎役者、里春の恋人
西野秋平 - 濱田岳:京野の弟子、大学院生
原田千代美 - 中村久美:踊りの師匠
鶴一(つるいち) - 岩本多代:下八軒の芸妓
西郷田助 - 高橋長英:春子の祖父
西郷梅 - 草村礼子:春子の祖母
赤木裕一郎 - 妻夫木聡:映画スター
福名(ふくな) - 松井珠理奈:アルバイト舞妓
福葉(ふくは) - 武藤十夢:アルバイト舞妓
三味線の師匠 - 徳井優
長唄の師匠 - 田口浩正
鳴物の師匠 - 彦摩呂
馴染の客 - 津川雅彦

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【スタッフ】

監督・脚本:周防正行
製作:石原隆、市川南、桝井省志
音楽:周防義和、種ともこ
主題歌:小春(上白石萌音)
  「舞妓はレディ」(ポニーキャニオン)

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2015年3月 2日 (月)

little forest(リトル・フォレスト)冬/春

【解 説】

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都会で生活することに挫折して故郷の山村に戻ってきたヒロインが、四季折々の恵みをもたらす一方、厳しさも見せる大自然の中で自給自足の生活を送りながら、再生していく姿を描く。

収穫した旬の食材を使って作る、素朴な料理の数々も見どころ。

岩手県奥州市などで約1年にわたる撮影を敢行。
東北のうつろいゆく四季を映し出した4部作の完結編。

『重力ピエロ』などの森淳一監督が、五十嵐大介の同名コミックを、『アナザー Another』『桐島、部活やめるってよ』などの橋本愛主演で実写映画化したヒューマンドラマ。

【あらすじ】

“小森”は東北のとある村の中の小さな集落。
いち子(橋本愛)は、一度街に出て男の人と暮らしてみたものの、自分の居所を見つけられずに、1人でここに戻ってきた。

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“言葉はあてにならないけど、わたしの体が感じたことなら信じられる”と、何事も自分でやってみないと気が済まない性格のいち子は、稲を育て、畑仕事をし、周りの野山で採った季節の食材を料理して食事を取る毎日を過ごしている

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そんな静かなある日、彼女の元に1通の手紙が届く。それは、5年前の雪の日に突然失踪した母・福子(桐島かれん)からだった。

甘酒とカボチャを使って作った3色ケーキ、子供の頃から大好きな出来立てアツアツの納豆もち、ふきのとうでつくるばっけ味噌・・・・・・

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母のレシピを料理しながら思う。“私は母さんにとって本当に家族だったろうか・・・・・・。”
今までの自分、そしてこれからの自分を思い、心が揺れ始める。

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親友キッコ(松岡茉優)との小さな口げんかでは、
“私は、ちゃんと向き合えなくて、それで小森に帰ってきたんだな・・・・・・”と落ち込む。

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さらに、小森のこれからを真剣に考えるユウ太(三浦貴大)からは、
“いち子ちゃんは1人で一生懸命やっててすごいなと思うけど、本当は逃げてるんじゃないの”と指摘され、言葉を返せない。

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長かった冬も終わりに近づき、雪解けが進んできた。

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少しづつ畑の準備を進めてきたものの、いち子は春一番で植えるジャガイモを、今年は植えるかどうか迷っていた。

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来年の冬、ここにはいないかもしれないから・・・。
自分の本当の居場所を探すいち子が、春の訪れと共に出した答えとは・・・・・・。

【感 想】

「リトルフォレスト夏/秋」編を、たまたま観る機会があり、何のドラマもない、夏から秋へと季節が変わっていくだけの映画なのに、なぜか引きつけられてしまいました。

「冬/春」編が2月14日より公開と知ったのは、またまた観ていたテレビ番組に、橋本愛と松岡茉優が出演していて、最後にチラッと番宣をしたのを聞いたからでした。
ほとんど宣伝もされていないし、上映される映画館も、大阪市内で2館と少なく、上映時間は9時の回と3時の回の2回だけ・・・。でも、観に行きました。

母の手紙が届いたところで、夏/秋編が終了したので、そこからさらなる発展があるのかと思いきや、何にも無いまま、いち子の葛藤と日々の生活が続いていきます。
綺麗な田舎の風景と、ちょっと素朴な料理が出てくるだけの映画ですが、退屈しないで最後まで楽しめました。

素朴な料理の美味しそうな湯気と、あたたかな火の向こうで語られる言葉が、じんわりと心に響いてきます。
殺伐とした都会での日常では気付かなかったり、知らないふりをして通過しそうな事柄に気がつき、ちょこっと考えさせられもしました。

ただ、ラストが・・・。
映像は素敵でしたが、ラストのストーリーに私はずっこけてしまいました。まとめるだけのつまらないストーリーなんて要らない・・・です。

【キャスト】

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いち子 - 橋本愛
ユウ太 - 三浦貴大
キッコ - 松岡茉優
シゲユキ - 温水洋一
福子 - 桐島かれん
ウィリアム - イアン・ムーア(冬編のみ)
キッコの祖父 - 岩手太郎(春編のみ)
キッコの祖母 - 北上奈緒
近所の主婦1 - 佐藤さち子
近所の主婦2 - 千葉登喜代
郵便屋 - 小島康志(冬編のみ)
いち子(小学生) - 篠川桃音
キッコ(小学生) - 照井麻友(冬編のみ)
スーパーのアルバイト男性 - 栗原吾郎(冬編のみ)
アルバイトA - 坂場元(冬編のみ)
アルバイトB - 渡辺佑太朗(冬編のみ)

【スタッフ】

監督・脚本 - 森淳一
原作 - 五十嵐大介
音楽 - 宮内優里
フードディレクション - eatrip 野村友里、山本有紀子
主題歌 - FLOWER FLOWER「夏」「秋」「冬」「春」(gr8!records)

※ 「little forest(リトル・フォレスト)夏/秋」はこちらをクリックして下さい。

=3月3日追加=

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また、ブログランキングでも一位になりました。

UPした次の日に、記事とブログのランキングで、どちらも一位になるとは驚きです。

2015年2月10日 (火)

little forest(リトル・フォレスト)夏/秋

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【解 説】

「魔女」などの五十嵐大介の人気コミックを基にした作品。

都会暮らしになじめず故郷の山村に帰ってきたヒロイン・いち子(橋本愛)が、自給自足の生活をしながら生きる力を取り戻す人間ドラマ。

自然に寄り添った生活の中で、自分の生き方に思考を巡らす主人公を、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」などの橋本愛が好演し、『重力ピエロ』などの森淳一が監督を務める。

東北の四季の移ろいに合わせ、夏編・秋編と冬編・春編の2部に分けて公開。

【あらすじ】

都会に出たものの馴染めないでいたいち子(橋本愛)は、故郷である東北地方の小さな集落・小森に戻ってくる。

013
山に囲まれた小森の周辺にはスーパーやコンビニはないため、畑で農作物を作ったり、野山で季節のものを採ってきたりして、自給自足に近い生活をしなければならない。

018
山の恵みを使って、夏にはグミジャムや岩魚の塩焼き、秋はくるみごはんや栗の渋皮煮などを作るいち子。

017
もちろん自然には厳しさもある。

014
季節の移ろいを感じ、ふと立ち止まって自分自身と向き合いながら、いち子はおいしいものを食べて次の一歩を踏み出す勇気を得ていく。

012 【感 想】

都会からUターンして、田舎で自給自足の生活を送る女性の四季を描いた映画で、今回は、その夏編と秋編です。
夏編が終われば、エンドクレジットが入り、続いて秋編のオープニング始まると言った形式です。
農作業して、収穫をし、それを料理して食べる・・・と言った、ありきたりの日常が、延々と描かれているだけの話しですが、なぜか見入ってしまいます。
016また、季節ごとの食べ物(グミの実のジャム、イワナの塩焼きに南蛮漬け、トマトのパスタ、甘酒、くるみご飯、干し芋、栗の渋皮煮等々)の作り方などが出てくるので、それを見ているだけでも楽しいです。

その過程で、いち子の思いが語られ、時々、回想シーンも入ってきます。母と娘の会話も、何かユニークで笑ってしまいます。

なお、今回見たのは、夏/秋編ですが、まもなく(2月14日より)、冬と春の生活の様子を描いた「リトル フォレスト 冬/春」も公開されます。

【キャスト】

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いち子 - 橋本愛
ユウ太 - 三浦貴大
キッコ - 松岡茉優
シゲユキ - 温水洋一
福子 - 桐島かれん
キッコの祖父 - 岩手太郎(秋編のみ)
キッコの祖母 - 北上奈緒(秋編のみ)
近所の主婦1 - 佐藤さち子
近所の主婦2 - 千葉登喜代
郵便屋 - 小島康志(秋編のみ)
いち子(小学生) - 篠川桃音
キッコ(小学生) - 照井麻友(秋編のみ)
いち子の元カレ - 南中将志(夏編のみ)
おじいさん - 山形吉信(夏編のみ)

【スタッフ】 
                                     
監督・脚本 - 森淳一
原作 - 五十嵐大介
音楽 - 宮内優里

※ 「little forest(リトル・フォレスト)冬/春」はこちらをクリックして下さい。

2014年12月31日 (水)

2014年を振り返って・・・(映画・テレビドラマの部)

2014年も、今日一日を残すのみとなりました。毎年思う事ですが、一年が矢のように過ぎ去っていきますね。

さて、恒例の「ベストテン」(映画・テレビドラマの部)です。
でも、ベストテンと言いながら今年度も、年間のベストテンを選べるほど観ていないので、各部門賞のみです。

選出は、2013年12月から2014年11月末までに公開された映画・ドラマで、12月1日に作成しました。なお、下線があるのは私のBlog記事にリンクしています。感想等が書いてありますので、一読してみてください。

02

【作品賞】

 該当作品無し 

候補は、「円卓」「幻肢」「アナと雪の女王」でしたが、イマイチ決め手が無く、今年度も「該当作品無し」です。
来年は選出できるように、たくさん映画を観たいと思います。

Poster2

【主演男優賞】

 佐々木蔵之介(超高速!参勤交代)  

この映画は試写会で観ました。
そのとき、主演の佐々木蔵之介さんと監督さんが、舞台あいさつに来られていました。さわやかな感じの俳優さんでした。
あいさつの後、写真も撮らせて戴きました。

002

【主演女優賞】

 芦田愛菜(円卓 こっこ、ひと夏のイマジン) 

さすがに上手いですね。末恐ろしくなる女優さんです。
舞台が大阪なので、大阪弁が飛び交っています。大阪以外では受けないような内容だと思いましたが、その通りでした。 

009

【助演男優賞】

 濱田岳(偉大なる、しゅららぼん) 

映画「鴨川ホルモー」で初めて見ましたが、 その頃からちょっと気になる俳優さんでした。
NHKの大河ドラマ・「軍師官兵衛」にも準主役級の役どころで出演していましたが、それも併せて・・・と言うところです。

101

【助演女優賞】

 谷村美月(幻肢)  

この映画は、単館系ロードショーでしたが、チョットした佳作だと思います。
谷村美月さんは、それほど美人じゃ無いです(失礼しました)が、映画を観ていると、いつの間にか美人に見えてくると言う不思議な女優さんです。  

【新人賞】

 伊藤秀優(円卓 こっこ、ひと夏のイマジン)

主演の芦田愛菜に負けずに頑張っていました。上手いです。

001

【特別賞】

 小栗旬(ルパン三世) 

実写版の「ルパン三世」ですが、それなりに様になっていました。
でも、話し方が、アニメの吹き替えをしていた山田康雄さんに似ているところはいただけません。小栗旬のルパンを作って欲しいものです。
また、月9ドラマ・「信長協奏曲」(フジテレビ)も良かったです。
毎週見ていて、原作のマンガも読みました。

【総 括】

映画館に足を運ぶことが少なくなり、DVD鑑賞が多くなってしまいました。
新作映画が、半年後にはDVD化されて販売されていると言うこともあって、つい映画館に行くのがおろそかになってしまいます。ちなみに、ここに紹介した映画では、「幻肢」と「ルパン三世」以外はすべてDVDで発売されて居るので、映画館に行かなくっても観ることが出来ます。
でも、60歳も過ぎ、1100円で映画も観られるようになったので、来年こそは、映画館でたくさん映画を観たいと思って居ます。

「2013年度 映画の部のベストテン」はこちらからどうぞ。

2014年11月17日 (月)

幻肢(げんし)

101

【解 説】

日本を代表するミステリー作家の一人である島田荘司の作品を初映画化。

医大生の純愛を機軸に、最新の精神医学と幽霊譚を巧みにミックスさせたストーリーは、島田荘司ならではのトリッキーな展開。

恋人とドライブ中に事故を起こし重傷を負い、記憶を失った青年を主人公に、忘れてしまった“恋の想い出”を特殊な治療法でよみがえらせようとする物語をサスペンスたっぷりに描く。
主演は、舞台を中心に活動する新人の吉木遼。恋人の遥を、実力派女優・谷村美月が演じる。
監督は『オー!ファーザー』でメジャーデビューした新鋭・藤井道人。

【あらすじ】

都内の医大に通う神原雅人(吉木遼)は、突然、病院のベッドで目覚める。

112

見舞いに来た友人の亀井健(遠藤雄弥)は「おまえは車ごと崖から落ちた」と告げるが、当日の記憶が雅人にはなかった。
外傷はなかったが、記憶障害と診断され入院生活を続ける。

111

そんな時、亀井から同級生の恋人・糸永遥(谷村美月)と車でデートにでかけて事故にあったと言われる。

105

写真を見ても恋人がいたことすら思い出せない彼は徐々に精神状態が不安定に。

精神障害になり無為な日々を過ごしていたある日、亀井が雅人にTMS治療を受けないか持ちかける。

107

それはうつ病の治療にも用いられている“経頭蓋磁気刺激法”と呼ばれる治療で、雅人が大学の研究課題として選んでいた精神科の先進医療だった。

TMSにより脳に刺激を与えることで精神治療にも効果があるはずという仮説を、雅人は授業で発表していた。

115

自分を実験台にしてTMS治療を受けることにした雅人。

108

ほどなくして彼のまわりに異変が起こる。写真で見た遥が目の前に立っているのだ。 
彼女は最初、言葉を発しない。

104

雅人はTMS治療を続けていくうちに遥の記憶を取り戻していく。そして、幻肢として存在する遥と会話をかわし、デートで行った思い出の場所を2人でめぐっていく。

103

実際にはいない遥と一緒に過ごす時間が多くなってきた雅人は、やがて事故の日の記憶を全て思いだす。

109

あの日、自分が何をしたのかわかった雅人はくやみきれない後悔にさいなまれる。だが、現実は彼が想像していた世界とは大きく違っていた――。

【感 想】

113

9月初旬に島田荘司の原作・「幻肢」を読み、ぜひ映画も観よう・・・と、映画の上映日が来るのを待っていました。
映画「幻肢」公式サイトを見ると、大阪では11月15日より、十三(じゅうそう)の「第七藝術劇場」でのみ上映だとのことです。しかも、上映開始時間は、朝10時から一日一回だけの上映です。
学生の頃は、大阪府内だけでなく、京都や神戸の名画館へも行きましたが、十三の映画館は初めてです。

ということで、16日の日曜日に、地図を片手に行ってきました。
子どもの頃に近所にあった、三本立て名画館の雰囲気を持った映画館でした。もちろん、座席は自由席です。
お客さんは20人ほどでしたが、おそらく原作者である島田荘司さんのファンの方なんでしょうね。わざわざ十三まで観に来られている方ばかりなので、映画が終わって、エンドロールが流れても、館内が明るくなるまで誰も席を立たない、そんな観客の方ばかりでした。

102

さて、映画です。
原作とは、男女が入れ替わっているという設定で、TMS治療を受けるのが男性・神原雅人で、幻肢として現れるのが女性・糸永遥ということになって居ます。
原作はしっかり読んでいましたが、男女の入れ替えの設定には、違和感なく入り込めました。というより、映画の設定の方が受け入れやすい展開でした。
しかも、ややこしい話が上手く整理されていて、脳科学の事やTMS治療についても、すんなり入ってきました。

話は、サスペンス風に進んでいきますが、チョット素敵なラブストーリーです。しかも、テンポ良く話が進んでいくので、中だるみをすることも無く、最後まで退屈しないで見ることが出来ました。シナリオが良く出来ているのだと思います。
また、新人の吉木遼が思いのほか好演していますし、谷村美月が健気な女子大生を上手く演じているのが良いです。
谷村美月って、ちょっと個性的な顔立ちで、私から見るとそれほど美人とは思えませんが、彼女が演じる、幻肢として登場する遥が、凄く魅力的なカワイイ女の子に見えて来るから不思議です。

結末部分で、少しミステリとしての要素が出てきますが、最後までさわやかなラブストーリーとして上手くまとめられています。見終わったあとの気分も悪くありません。原作を、読んでいるいないにかかわらず、十分楽しめる映画です。
この映画が、単館系ロードショーで終わってしまうのはとても残念ですが、それなりに見どころもあり、チョットした佳作だと思います。

106【キャスト】

吉木遼・・・神原雅人
谷村美月・・・糸永遥
遠藤雄弥・・・亀井健
紗都希
宮川一朗太・・・川端教授
佐野史郎・・・宮沢教授

110

【スタッフ】

監督・・・藤井道人
原作・・・島田荘司
脚本・・・藤井道人
主題歌・・・さめざめ

=11月18日追加=

eoblog 「みんなのブログ 映画」で・・・(Part16)

090ブログランキングで、「映画の部」の一位になりました。

たくさんの方にお越しいただき、感謝です。

2014年10月26日 (日)

30万アクセスを越えました・・・

  ★★☆☆ 30万アクセス達成です ★★☆☆
           ~\(^-^)/バンザーイ./( )\モヒトツ\(^o^)/バンザーイ

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2014年10月25日の午後3時30分頃に、30万アクセスを越えました。
2011年6月1日に、このブログを始めてから 3年4ヶ月目です。

【経 過】

HP「雨降りだからミステリでも読もう・・・」の一部として、読んだ本の感想を書いたBlog「気まぐれ日記」を、2010年の6月1日から始めました。
2010年6月1日から2011年5月31日までの一年間のHPへの訪問者は、5000カウントを少し越えた数でした。

2011年の6月1日に、Blog「気まぐれ日記」の部分をこのeo-blogに移行しました。
当初は、HP「雨降りだからミステリでも読もう・・・」とBlog「気まぐれ日記」の2本立てでしたが、始めてから5ヶ月ほどで、Blogの方が10000カウントを越えたと言うこともあって、12月よりHPの方を閉鎖し、eo-blogに一本化して、Blogのタイトルを「雨降りだからミステリでも読もう・・・」としました。

移行後、    
   10000カウント・・・2011年6月1日~10月31日(152日)    
   20000カウント・・・          ~2012年1月4日(152日+65日=217日)    
   30000カウント・・・          ~2012年2月20日(217日+47日=264日)    
   40000カウント・・・          ~2012年4月4日(264日+44日=308日)    
   50000カウント・・・          ~2012年5月31日(308日+57日=365日) 
  100000カウント・・・           ~2013年1月19日(365日+233日=598日) 
  200000カウント・・・          ~2013年12月20日(598日+335日=933日)
  300000カウント・・・          ~2014年10月25日(933日+309日=1242日)

=これまでに書いたBlog記事とコメントの数=

★ Blog記事の数・・・629本 この記事が、630本目です。
★ コメントの数・・・・1602件

1602件のコメントの数のうち、半分は私が書いた返信ですから、いただいたコメントは801件になります。

でも、このカウントが多いのか少ないのかは別にして、この3年4ヶ月で、たくさんの方にお越しいただいたなぁ・・・と驚いています。

このBlogをブックマークしていただいているのは、私を知っているほんの数人だけでしょうし、おそらく、95%以上の方が、通りすがりの方だと思います。

本当にたくさんの方にお越し頂き、あらためて感謝です。 自分の感想と照らし合わせるなり、購入の参考にしていただけると有り難いです。
今後とも、ヨロシク
お願いしますm(_ _)m

=10月30日追加=

eoblog 「みんなのブログ 本」で・・・(Part62)

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Blog記事ランキングで、「30万アクセスを越えました・・・」が、「本の部」の一位になりました。

たくさんの方に見ていただき、うれしく思っています。

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