映画のパンフレット

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2016年9月

2016年9月28日 (水)

「黒面の狐」三津田信三

【内 容】

0925

あの真っ暗闇の奥から、
何かが私を凝っと覗いている。
戦後まもない北九州の炭鉱で起きた、不可解な連続怪死事件。

主人公の物理波矢多(もとろい・はやた)は満洲の建国大学から日本に帰国し、足の向くままに北九州の炭鉱で炭坑夫となって働き始める。
そこで、同室の合里光範(あいざと・みのる)が落盤事故で坑道に取り残されたのを皮切りに、炭坑夫が次々と自室で注連縄で首を括るという、不気味な連続怪死事件に遭遇する。
その現場からはいつも、黒い狐の面をかぶった人影が立ち去るのが目撃され・・・。

現場に現れた黒面の狐は、人なのか、人にあらざるものなのか?炭鉱で働く屈強な男たちの心を、次第に疑いと恐怖が蝕んでいく。
真相を知るのはただ、ヤマの神と、黒面の狐のみ…?

細密な炭坑の描写の中から、じわじわと迫ってくる恐怖と連続する密室殺人の謎。
本格ミステリとホラーの魅力を併せ持った重厚な力作書下ろし長篇。

【感 想】

刀城言耶シリーズのような、ホラーとミステリの融合なのかと思いながら読んでいきましたが、本格ミステリでした。
主人公の物理波矢多(もとろい・はやた)が、探偵とワトソン役(物語の語り部)の両方を演じているので、推理の筋道がわかりやすく、一緒に謎解きを楽しめました。

戦後すぐの炭鉱を舞台にした話なのですが、戦中・戦後における、日本と朝鮮との関わりが、作者の視点で書かれおり、その点でも興味を持って読みました。
読まれる人によっては、作者の視点に異を唱える人も居るのではないかとは思いますが、私はほぼその通りだと思いながら読みました。

戦争中に、朝鮮人が日本の炭鉱という閉鎖的な場所で、どういう扱いをされていたのか、そしてそのことが、この本の舞台である炭鉱で起きた連続殺人に、どう繋がって行くのか・・・。
最後には、ちょっと驚きの結末が待って居て、息もつかせないまま読了しました。

最終章で、物理波矢多が犯人を指摘するところは、推理が二転三転するという、刀城言耶を主人公とするシリーズでよく見られるパターンと同じでしたので、それなりに楽しめました。
連続殺人が起こり、密室が登場し、もう一つ、良くミステリで登場するトリックが使われ、最後にはどんでん返しが・・・となれば、面白く無いはずがありません。

おそらく、私が毎年作っているベストテンの、今年度のベストスリーに入るだろうと思われる作品でした。

☆☆☆☆★(50点満点で、☆…10点 ★…2点です)

ところで・・・、
刀城言耶シリーズが、2012年の「幽女の如き怨むもの」を最後に、4年も書かれていません。
刀城言耶も待ち遠しい所ですが、本書に登場する物理波矢多が、奇っ怪な事件(木霊殺人事件)に巻き込まれていたということが書かれていましたので、彼を主人公にした新しいシリーズが出来るのかも知れないですね。

2016年9月24日 (土)

「二歩前を歩く」石持浅海

【内 容】

0920

不可解な謎と論理のアクロバット。 石持ミステリーの真骨頂!!

スリッパが勝手に歩く? 留守の間に風呂場の照明が点く?
現代科学では説明のつかない不思議な出来事。
幽霊のしわざか、はたまた超常現象か?

そこに隠れた法則を見つけ出したとき、意外な真相が浮かび上がる!
チャレンジ精神溢れる、六編のミステリー短編集。

【目 次】

「一歩ずつ進む」
「二歩前を歩く」
「四方八方」
「五カ月前から」
「ナナカマド」
「九尾の狐」

【感 想】

ある企業の研究者「小泉」が、同僚たちから相談を持ちかけられ、不可思議な出来事の謎に挑むという話です。

結局の所、すべての出来事が超常現象だと言う結論になるのですが、その結論に至るまでに、いろいろな調査や推理をしていく過程が、なかなかユニークです。
しかも、話が相談者の視点(一人称)で書かれているというのも、面白い所です。
「小泉」と相談しながら、一つずつ事件の可能性を狭めていき、その出来事が、犯人の居ない不思議な現象だと結論づけて行きます。

最後になって、その超常現象がなぜ起きるのかという話になり、あまり気持ちの良くない結論に繋がって行くので、イマイチ乗り切れないまま読みすすめましたが、最後の「九尾の狐」では、気持ちよくラストを迎えられ、ちょっとホッとした気分で読み終えました。

それにしても、実は超常現象で、今の科学では解明出来ないという話を、ミステリに仕上げていくという作者の手腕には驚きますね。
読みながら、超常現象なら何でもありだ・・・と思いながらも、妙に納得してしまうのは、さすがに上手いです。

☆☆☆★★★(50点満点で、☆…10点 ★…2点です)

2016年9月21日 (水)

「静かな炎天」若竹七海

【内 容】

0910

有能だが不運すぎる女探偵・葉村晶シリーズ第4弾。

苦境にあっても決してへこたれず、ユーモアを忘れない、史上最もタフな探偵の最新作。
〈甘いミステリ・フェア〉〈サマーホリデー・ミステリ・フェア〉〈風邪ミステリ・フェア〉〈学者ミステリ・フェア〉〈クリスマス・ミッドナイトパーティー〉など、各回を彩るユニークなミステリの薀蓄も楽しめます
好評の「富山店長のミステリ紹介ふたたび」も収録。

【目 次】

「青い影 七月」
バスとダンプカーの衝突事故を目撃した晶は、事故で死んだ女性の母から娘のバッグがなくなっているという相談を受ける。晶は現場から立ち去った女の存在を思い出す

「静かな炎天 八月」
かつて息子をひき逃げで重傷を負わせた男の素行調査。疎遠になっている従妹の消息。晶に持ち込まれる依頼が順調に解決する真夏の日。晶はある疑問を抱く

「熱海ブライトン・ロック 九月」
35年前、熱海で行方不明になった作家・設楽創。その失踪の謎を特集したいという編集者から依頼を受けた晶は失踪直前の日記に頻繁に登場する5人の名前を渡される

「副島さんは言っている 十月」
元同僚の村木から突然電話がかかってきた。星野という女性について調べろという。星野は殺されており、容疑者と目される男が村木の入院する病院にたてこもっていた

「血の凶作 十一月」
ハードボイルド作家・角田港大の戸籍抄本を使っていた男がアパートの火事で死んだ。いったいこの男は何者なのか?

「聖夜プラス1 十二月」
クリスマスイブのオークション・イベントの目玉になる『深夜プラス1』初版サイン本を入手するため、翻弄される晶の過酷な一日を描く

【感 想】

今や40代になった探偵・葉村晶のシリーズです。文春文庫では、第4弾と言う事ですが、「プレゼント」が中央公論社(1996年)から出版されて居るのを加えると、本書が第5弾になります。

前作・「さよならの手口」のような長編もいいですが、やはり短編が良いですね。
テンポが良く、話がドンドン進んでいき、最後に待って居るどんでん返し・・・。しかも、前半部分に登場する小さな謎が、最後にはキチンと解決されているところは、さすがに上手いです。

ほんの小さなきっかけから、大きな事件に巻き込まれていくと言う流れは、違和感が無く良く出来ていると思います。
特に、表題作の「静かな炎天」は、不自然で些細な出来事の積み重ねが、ある事件に繋がって行くというところは絶品でした。
毎回、何かの不運に見舞われてしまう葉村晶ですが、今回は、それ程大きな事故や怪我にも合わずに済みましたが、加齢による衰えは何とも仕方が無いですね。

☆☆☆★★★(50点満点で、☆…10点 ★…2点です)

2016年9月18日 (日)

「土漠(どばく)の花」月村了衛

【内 容】

0916

ソマリアの国境付近で、墜落ヘリの捜索救助にあたっていた陸上自衛隊第一空挺団の精鋭たち。
その野営地に、氏族間抗争で命を狙われている女性が駆け込んだとき、自衛官達の命を賭けた壮絶な撤退戦の幕があがった。。

圧倒的な数的不利。武器も、土地鑑もない。通信手段も皆無。自然の猛威も牙を剥く。
最悪の状況のなか、仲間内での疑心暗鬼まで湧き起こる。
なぜここまで激しく攻撃されるのか?なぜ救援が来ないのか?自衛官は人を殺せるのか?
最注目の作家が、日本の眼前に迫りくる危機を活写しつつ謳いあげる壮大な人間讃歌。

男たちの絆と献身を描く超弩級エンターテインメント!
 第68回日本推理作家協会賞受賞作!

【感 想】

ほぼ一気読みでした。退屈すること無く、読み終えました。
でも、こういった内容の本は、ちょっと苦手です。読み終えて、ドッと疲れが出ました。
想像したとおりにエンドを迎えますが、気持ちの良い読後感はありません。

SFやホラーのように、あり得ない話をホントらしく書くのは面白いし、入り込んでしまうと、その世界に没頭してしまいます。
また、ドキュメントの場合なら、実際に起こった事件の中から、その中の人たちが、どのように考えてどのような行動を取ったのかと言うところを掘り下げて書かれていると、興味深い(私の好きな)話になりそうです。

本書の場合は、「ソマリア」と言う現存する場所で、「自衛隊」という、実際に存在する機関に属する人物たちが繰り広げる話のはずなのに、作り話の感が否めません。
それならば、A国に配属されたB国の軍隊の話として進めていく方が、面白いような気がしますし、読み手の勝手なイメージで、「ソマリア」と「自衛隊」として読み進める方が、読み手としては話のイメージが膨らみます。

最初から、ご都合主義的な話が並んでいるので、読みながら、ハラハラドキドキはするのですが、どうせこの中の何人か(おそらく主人公とあと数人)は生き残るのだろう・・・と、思いながら読み進めている私が居ます。
物語には熱中しますが、どこかで覚めた目でストーリーを追ってしまっています。
少し前に読んだ、「神子上典膳」には、大きなどんでん返しが待っていた事を考えると、予想通りになってしまった結果に、少々ですが、不満が残りました。

☆☆☆★★(50点満点で、☆…10点 ★…2点です)

2016年9月17日 (土)

「問題物件」大倉崇裕

【内 容】

0915

大島不動産販売に入社した若宮恵美子は、前社長の遺児で難病に苦しむ大島雅弘の世話係となるも、突然異動を命じられる。
そこは現社長の高丸が、雅弘を追い落とそうと画策して新設した、クレーム対応専門部署だった。

途方に暮れる恵美子の前に、「探偵」を名乗る奇妙な男が現れて・・・。
前代未聞の名探偵・犬頭光太郎登場!!
居座り、自殺、ゴミ屋敷、ポルターガイストに失踪まで。
お部屋に関する問題を、人間離れした能力で華麗に無理矢理解決!破天荒極まりないミステリー!

【目 次】

「居座られた部屋」
「借りると必ず死ぬ部屋」
「ゴミだらけの部屋」
「騒がしい部屋」
「誰もいない部屋」

【感 想】

なんともハチャメチャな、連作短編集です。

「俺は犬だ!」と、声高に主張してしまっている探偵役は、亡き会社社長の御曹司・大島雅弘が大事にしている犬のぬいぐるみ「犬太」の化身らしいのですが、名探偵クラスの推理力を持つうえ、大勢のヤクザを一瞬で叩きのめす腕力だけでなく、超能力に近いパワーまで駆使するという、不思議な人(犬)です。

さらに、ワトソン役であるはずの主人公の女性・若宮恵美子は、後ろでオロオロしているだけなのに、不思議に話が進んでいきます。

トリックなどには、少々強引な感じは否めませんが、序盤の伏線はなかなか面白いし、その上、予想を覆すような真相が用意されており、ミステリとしても良く出来ていると思います。
また、短編の最後には、次の事件のあらましを紹介するなど、興味をそそるような構成になって居るのも良いですね。

ただ、パターンが決まってしまっているので、一気読みしているとちょっと中だるみがして来るのではと思いますが、私はちょっと気に入って居ます。
舞台を米国に移す予定の、第二弾に期待したいです。

☆☆☆★★(50点満点で、☆…10点 ★…2点です)

2016年9月15日 (木)

「あきない世傳金と銀(源流篇)」高田郁

0908

【内 容】

物がさっぱり売れない享保期に、摂津の津門村に学者の子として生を受けた幸。
父から「商は詐なり」と教えられて育ったはずが、享保の大飢饉や家族との別離を経て、齢九つで大坂天満にある呉服商「五鈴屋」に奉公へ出されることになる。

慣れない商家で「一生、鍋の底を磨いて過ごす」女衆でありながら、番頭・治兵衛に才を認められ、徐々に商いに心を惹かれていく。
果たして、商いは詐なのか。あるいは、ひとが生涯を賭けて歩むべき道かー
大ベストセラー「みをつくし料理帖」の著者が贈る、商道を見据える新シリーズ、ついに開幕!

【感 想】

女性が学問を学ぶ機会が無かった時代に、学者を父に持ち、子どもの頃から学問に慣れ親しんできた「幸」ですが、9歳の頃に父と兄を相次いで失い、大坂の呉服商に奉公に出され、そこでの話しとなるのでしょうが、本書・第1話では、幸の奉公へ出されるまでの生い立ちから奉公に出されたいきさつや、奉公先でのちょっとした出来事で終わっています。

相変わらず丁寧な描写で、話のテンポも良いです。
読みながら、当時の様子が手に取るようにわかり、いつの間にか話しに引きこまれてしまいますし、幸の考え方の基本となる部分もよくわかります。

父の教えと、奉公先で出会った人々とのギャップに接して、そこから幸の物の見方や考えが変化する様子を、興味深く読みました。

今回の話しも、やはり「みをつくし料理帖」と同じように、健気に生きる少女が主人公として描かれています。
この先、幸が奉公先で、どのように成長していくのか、次作が楽しみになる第一作でした。

☆☆☆★★★(50点満点で、☆…10点 ★…2点です)

2016年9月14日 (水)

「ごはんぐるり」西加奈子

【内 容】

0913

カイロの卵かけごはんの記憶、「アメちゃん選び?」は大阪の遺伝子、ひとり寿司に挑戦、夢は男子校寮母・・・。
美味しオカしい食エッセイ。
直木賞作家・西加奈子はこんなものを食べてきた!

アルバイト先で初めてつくったまかない料理の肉じゃが、子どもの頃カイロで食べた卵かけごはんの特別さ、朝起きて最初にする珈琲儀式、大声で大好きって言えなくてごめん!たこ焼きーカイロ&大阪育ちの幸せな食オンチが「ごはん」にまつわる「キラキラ」を綴ったエッセイ。

短編「奴」と、敬愛する料理人・竹花いち子氏との対談を特別収録。

【目 次】

肉じゃがバター/カイロの卵かけごはん/アメちゃんのDNA/珈琲儀式/活字のごはん/舐める春/旅の悪食/日常の悪食/甘い恋/脱ビール、でもビール・・・など

【感 想】

料理や食事についてのエッセイ集です。本書が食に付いての初エッセイ集だと言うことです。
初エッセイとは、とても思えない出来で、作者ならではの目の付け所がユニークで、話の切り口が面白いです。
また、彼女のこだわりがよくわかり、一つ一つ納得させられてしまいます。
海外での生活が長い彼女ならではの見方から、日本の食事を再発見させてくれます。

特に興味深かったのは、「初デートの正解」から始まる、「何々の正解」のいくつかです。初デートで行く店は、どんな店が良いのか・・・と、相手のことを思いながら、あれこれ考えを巡らし、お店を決めるという話しなんですが、何が正解なのか・・・難しいですね。
初デートの時だけじゃ無く、私も日夜、「正解すぎる店」を探していると言う事もあって、特に興味を持って読んでしまいました(笑)

また、いろんな場面を想定して、ここでは何が正解なのかと、私も読みながらいろいろ思いを巡らし、ニヤニヤしながら読みました。

美食についてのウンチクも、気取った話しもありませんが、大阪人の視点が所々に垣間見られ、ちょっと親しみを感じるエッセイでした。

☆☆☆★★★(50点満点で、☆…10点 ★…2点です)

2016年9月13日 (火)

「崇徳院を追いかけて」鯨統一郎

【内 容】

0911

星城大学の研究者早乙女静香は、バー“スリーバレー”でライターの宮田六郎と知り合った。
歴史談義で角突き合わせるだけの関係だったが、どうしたわけか共に京都を旅する成り行きに・・・。

かねて興味を抱いていた崇徳院について調べようとするその矢先、宮田の知人である京都在住のジャーナリストが失踪。
さらに、静香を敵視していた歴史学者が遺体となって崇徳院ゆかりの白峯神宮で見つかるなど、二人と接点を持つ人物が奇禍に遭う。
そして知り合ったばかりの社長令嬢も・・・・・・。

被害者との接点に注目した警察は二人を追及しはじめる。
事件を解明すべく奔走する宮田と静香。歴史上の謎に通じるその真相とは?

【感 想】

「邪馬台国はどこですか?(1998年5月 創元推理文庫)」と、その続編となる「新・世界の七不思議(2005年2月 創元推理文庫)」では、顔を合わせる度に敵対していた二人が、「新・日本の七不思議(2011年4月 創元推理文庫)」では、いつの間にか、「静香」「ロック」と呼び合う仲に・・・。急に良い雰囲気になって居るのはどうしてなんだ・・・と思いながら読んでいました。

バー・「スリーバレー」で、歴史談義をする形で、歴史の謎を解明していくこれまでの連作短編とは違い、今回は長編だし、実際に現地で歴史調査をします。
その途中で、殺人事件に出くわし、その謎も同時に解決するという、どこかで読んだようなストーリー展開です。

本書は、時系列で言うと、「新・世界の七不思議」と「新・日本の七不思議」の間に位置する話になっています。なので、どういったいきさつで、宮田六郎と早乙女静香が近づいたのかと言うことがわかります。そういう意味では興味深い話でした。

さて、崇徳院の謎を追って、六郎と静香が京都向かう・・・と言う話なのですが、三大怨霊の一人と言われている崇徳院の謎の真相は、それなりでした。
その後、西行を崇める怪しい新興宗教教団の企みが、崇徳院と絡んでくるという流れになります。
題材としては面白かったですが、歴史の謎と現実の殺人事件の関係や、登場人物の出会いや関わりなどがやや強引にも感じました。
また、芝居じみた会話がたくさん出てくるので、笑ってしまう所も多かったです。
それなりには楽しく読めましたが、「邪馬台国はどこですか?」を読んだときのような、強烈は驚きはありませんでした。
タイトルが面白そうだからって、内容まで面白いとは限りませんね。

☆☆★★(50点満点で、☆…10点 ★…2点です)

2016年9月12日 (月)

「神子上典膳」月村了衛

0501

【内 容】

戦国末期下野国、謀反により命を狙われた領主の娘・澪姫と幼き小姓を守るため、一人の男が一国を相手に血刀を振るう。
男の名は神子上典膳(みこがみ・てんぜん)。
伊東一刀斎より印可を受け、後に小野忠明と改名、柳生新陰流と並び徳川将軍家剣術指南役となったその人である。

山中の逃避行、多勢による包囲網、他国の裏切り、刑場での罠・・・・・・。
切れ目なく訪れる絶体絶命の危機に、一刀流奥義“無想剣”がうなりをあげる。
文庫化に際して、『一刀流無想剣 斬』を改題。

【感 想】

作者・月村了衛は、『機龍警察 自爆条項』で第33回日本SF大賞受賞し、 『土漠の花』で第68回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)受賞されていますが、本屋さんへ行ったときに、文庫新刊の平台に重ねて積んであったのを見て、時代小説も書くのか・・・と、思わず手に取ってしまいました。

剣豪・伊東一刀斎の立ち会いの下、「一刀流」秘伝の継承をかけて、一刀斎の二人の弟子・小野善鬼と神子上典膳が決闘をしたと言う話しは、私でも知っている有名な逸話ですが、詳しく伝わっていないためか、いろんな人が想像力を膨らませ、小説に仕上げています。(例えば、高井忍「柳生十兵衛秘剣考 水月之抄」

典善は後に、小野忠明と改名し、徳川将軍家剣術指南役となった人なのですが、本書では、どうも私のイメージとは違う、泥臭い人間に描かれています。
何故、たまたま出会っただけの領主の娘・澪姫と幼き小姓を守ろうとするのか、傷を負っても、休む間もなく旅立とうとするのか・・・、神子上典膳の意味不明の行動が続き、ハラハラドキドキの連続で、読みやすくテンポも良いので、ページが進んでいきます。

そして・・・、最後にはやはり、大きなどんでん返しが待って居ました。剣豪を扱ったミステリだったと、最後にわかりました(笑)
ちょうど一年ほど前に、高井忍の短編「一刀流“夢想剣”」で、剣豪・伊東一刀斎にまつわる話を読んでいるだけに、少し驚かされてしまいました。

☆☆☆★★(50点満点で、☆…10点 ★…2点です)

2016年9月11日 (日)

「コンビニ人間 」村田沙耶香

【内 容】

0821

第155回芥川賞受賞作!

36歳未婚女性、古倉恵子。大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。これまで彼氏なし。

オープン当初からスマイルマート日色駅前店で働き続け、変わりゆくメンバーを見送りながら、店長は8人目だ。
日々食べるのはコンビニ食、夢の中でもコンビニのレジを打ち、清潔なコンビニの風景と「いらっしゃいませ!」の掛け声が、毎日の安らかな眠りをもたらしてくれる。

仕事も家庭もある同窓生たちからどんなに不思議がられても、完璧なマニュアルの存在するコンビニこそが、私を世界の正常な「部品」にしてくれるーー。

ある日、婚活目的の新入り男性、白羽がやってきて、そんなコンビニ的生き方は「恥ずかしくないのか」とつきつけられるが・・・。

現代の実存を問い、正常と異常の境目がゆらぐ衝撃のリアリズム小説。

【感 想】

雑誌、文藝春秋を買って読みました。短い話と言うこともあって、ほぼ一気読みです。

高度成長時代にはたくさん居た「会社人間」が、「コンビニ」という企業に特化しただけの話かと思いましたが、実際にコンビニに働いている作者ならでの目の付け所がたくさん述べられていて、興味深く読みました。
コンビニの店員さんが、目と耳を駆使して周囲の状況をキャッチする所には感心させられましたし、その働く様子に、何か共感のようなものを感じながら読みました。

まず、主人公・古倉恵子の子どもの頃は、周囲の子どもとはちょっと替わった性格だったと言う事を紹介するようなエピソードが登場します。
でも、彼女の言動や行動は、常識にとらわれない合理的な考え方に基づく行動なのかも知れないのですが、なかなか普通の社会には受け入れられないと言う事が、徐々に本人にもわかってきます。
そこで出会ったのが、マニュアル通りに行動すれば普通の人間と認められる、コンビニでの仕事だったというわけです。

一人で働いて、生活をして、それなりに社会に役立っているハズなのに、人と関わりと持ってしまうと、自分の人生に口出しをされてしまうという煩わしさが、良く伝わって来ます。
それを解消するために、コンビニで働くことも出来ない、社会不適合者である男性・白羽と関わってしまうことで、ついには白羽を同居させてしまい、コンビニとは縁を切ってしまうと言う流れは、とても面白く読みました。

久々に、とても読みやすく、少しニヤニヤしながら読んだ、芥川賞受賞作でした。

☆☆☆★★★(50点満点で、☆…10点 ★…2点です)

2016年9月10日 (土)

「怪談のテープ起こし」三津田信三

【内 容】

0823

恐怖は全て、日常にひそむ。

「自殺する間際に、家族や友人や世間に向けて、カセットテープにメッセージを吹き込む人が、たまにいる。それを集めて原稿に起こせればと、俺は考えている」。

作家になる前の編集者時代、三津田信三は、ライターの吉柳から面白い企画を提案された。
ところが突然、吉柳は失踪し、三津田のもとに三人分のテープ起こし原稿が届く。

死ぬ間際の人間の声が聞こえるーー<死人のテープ起こし>。
自殺する者は何を語るのか。
老人の、夢とも現実ともつかぬ不気味な昔話の真相は。
怪女「黄雨女」とは一体・・・・・・。

怪談六篇と、ある編集者の顛末。
戦慄のテープ起こしがいま、始まる。

【目 次】

=序 章=
「死人のテープ起こし」
「留守番の夜」
=幕 間(一)=
「集まった四人」
「屍(しかばね)と寝るな」
=幕 間(二)=
「黄雨女(きうめ)」
「すれちがうもの」
=終 章=

【感 想】

短編の間に、「序章」「幕間(一)」「幕間(二)」「終章」と入って居ます。
ここでは、作者・三津田信三と、『怪談のテープ起こし』の連載を担当した女性編集者・時任美南海が登場します。

「自殺する間際に、家族や友人や世間に向けて、カセットテープにメッセージを吹き込む人が、たまにいる。それを集めて原稿に起こせればと・・・」と言う事で、三津田信三の手に渡った取材テープ。
その怪談話を収録した取材テープを三津田信三から借りた編集者の時任は、作者・三津田信三の執筆のヒントになるからとテープ起こしを始めます。
しかし、その彼女に、次第に異変が・・・。
この幕間(まくあい)がなかなかユニークで、良く出来ています。

一つ一つの短編も、それなりに面白いですが、作者と編集者との絡みを、短編の間に挟むことで、一つの長編を読んでいるような気分になりました。
また、この本に収められた6つの短編は、どれも作家・三津田信三が取材したり、自分で体験したりした話をもとに執筆されている(と言う事になっている)ので、この編集者との会話の部分は、ひょっとすると実話なのでは・・・といった感じを読者に与えるという効果もあります。

三津田信三のホラーの中には、それなりにミステリーとしても読み解ける話が多いのですが、今回は、全くオチのない話しになって居ます。(と言う事で、各短編の感想は、省略させて戴きます)
良く出来た話なので、興味深く読み進めることは出来ますが、読み終えた後は、なぜか背筋が寒くなってくる・・・、そんな話が詰まった短編集です。
オススメします。

☆☆☆★★★(50点満点で、☆…10点 ★…2点です)

2016年9月 9日 (金)

「貴船茶屋」の川床

8月30日に、京都・貴船へ川床料理を戴きに行ってきました。
家から貴船までは、第二京阪高速道路を使うと、約一時間で到着です。

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今回予約をしたのは、「貴船茶屋」さんです。
この店に決めたのは、「当日でもキャンセルが出来る」ということが一番の理由です。

せっかく貴船まで行ったのに、雨天のため旅館の部屋で食べるのは、ちょっと残念です。川床に上がれないと言うことが前もってわかればキャンセルをして、街中で食事をする方が良いですね。

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その上、団体客を取らないので、川床が小さく、どの席からでも、川に手や足が届きます。

少し早く着いたので、上から川床を撮らせていただきました。未だ提灯に明かりが灯っていません。
これまでは、京都市内のホテルの「宿泊パック」で、夕食に訪れたり、数人でお邪魔したので、比較的大きな川床があるお店でしたが、大きな川床で、真ん中の席では、情緒も何もありません。

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10時半の開店を待って、お店に入りましたが、私たちが最初のお客でした。
目の前に小さな岩が有り、滝のように流れてくる川の水を眺められる、素敵な席に案内されました。

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未だ誰も居ないので、席の周囲の写真を撮らせていただきました。私の席から見た、周囲の風景です

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手を伸ばすと、川に手や足が届きます。
見ただけでも涼しげな感じですが、実際に、川床に降りてくると、上着を羽織らないと寒いぐらいでした。

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熱いお茶とお手ふきを持ってこられ、メニューの相談です。
コース料理ですが、「当日決めていただいても良いですよ」と言う事でしたので、内容の説明を聞いてから決めるつもりでした。
他の店では、お昼も夜も同じ値段設定で、一万円からだとか、一万五千円からと言う店が多いのですが、この店は6500円(平日のみ)からです。

「先付・お刺身・炊き合わせ・鮎の塩焼き・天ぷら盛り合わせ・素麺・ご飯と赤だし・水菓子」の懐石料理のコースで6500円です。

これまでの経験から、5000円は川床の席料だと思って居るので、6500円だと、料理の内容は1500円程の料理でしょうね。
でも、初めての店なので、まずは一番安いコースをお願いしました。
今回は、この店の川床の様子がわかれば良いので、「料理が少なければ、街中で食べれば良いか・・・」というノリです。

この基本コースに、八寸(季節の前菜)・お吸い物(鱧)・酢の物などが加わると、9000円、10000円、12000円、150000円と上がっていくそうですが、もちろん、サービス料は付きません。

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まずは、「先付」と「お刺身」です。
ビールを一本頼みましたが、1000円でした。もちろん、私は運転がありますので、熱いお茶で十分です。

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続いて、「炊き合わせ」と「鮎の塩焼き」です。
蛸は柔らかく、美味しかったですし、鮎は、頭から丸かぶりしました。

一つずつ、旅館から道路を渡り、階段を降りて、川床まで運んでこられます。

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「天ぷら盛り合わせ」と「素麺」です。
私たちの食べるのが、あまりにも早いので、同時に運ばれてきました(笑)
アマゴは初めてですが、アマゴの天麩羅が思いのほか美味しく、川魚特有の臭みが一切ありません。
素麺は、極細なのにコシがあり、量も見た目よりたっぷりありました。

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最後に、ご飯と水菓子(水ようかんとグレープフルーツ)です。
全体に、少し少ないように感じますが、お昼だし、結構お腹は満たされました。

周りのお客さんとは、明らかに出されるスピードが違いましたが、おそらく、食べっぷりを見て、急いでいただいたのでしょうね。

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会計の時に、ふと川床の方の通りを見たら、こんな感じで女将さんが、食事の様子を見ながら合図されていました。

【貴船茶屋】

[住所] 京都市左京区鞍馬貴船町69
    (貴船神社上流 200m)

[TEL・予約] 075-741-2148

[営業時間]
10:30~20:30 (最終入店 18:00まで)

※ 川床は禁煙です。
※ カードは使えません、現金のみです。
※ 貴船口からの送迎は、二名からOKです。

2016年9月 8日 (木)

馬主席から観戦~京都競馬場~

4月の話で恐縮です。
初めて、京都競馬場に行ってきました。

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しかも、馬主席です。
馬主受付へ行くために、「シンザンゲート」より入場しました。

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入場門をくぐって、馬主受付へ向かいます。

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友人のご主人が馬主と言うことで、
「ぜひ一度連れていってください」とお願いしていた所、実現しました。

重賞レースなどがある日は、私のような競馬初心者が行くと足手まといになるだろうと、何も無いレースの日にお願いしました。

馬主受付で、馬主席章をいただき、ハンドスタンプを押して貰いました。
エレベーターで6階へ案内されます。

今日は馬主席と言う事なので、スーツにネクタイと言う出で立ちです。
少し暑いですが、6階へ行くと良く冷房が効いて、快適でした。

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6階の馬主席ゾーンからの眺めです。パドックが見えています。早い時間なので、人もまばらですね。

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馬主席に入ります。私たちは、H-85とH-86です。

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指定席に座ると、ゴールと大スクリーンがちょうど目の前に見えます。

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下に降りて、パドックを見学です。パドックにも、馬主ゾーンがありました。

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馬主ゾーンにだけ、屋根があって、日陰が出来ています。スーツにネクタイの私にはうれしい配慮です(笑)

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この騎手は、武幸四郎さん。
武豊さんの弟で、先日亡くなられた武邦彦さんのご子息です。
それにしても、目の前で見る馬は、綺麗です。

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お昼前になったので、馬主ゾーンの食堂で昼食。松花堂弁当1600円です

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昼食後の第4レースの決勝です。一団となってゴールになだれ込む馬って迫力ありますね。

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せっかく来たのだからと、第6レースの馬券を購入することにしました。
3連複の「軸1頭流し」です。
馬番で、2番、4番、6番、10番、11番の内、3頭が一位~三位に入れば良いという馬券です。
6通りの組み合わせを、200円ずつ買ったので、軍資金は1200円でした。

出走の瞬間は、大画面で観戦です。

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第6レースは、5馬身差で10番が勝ちました。

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ご覧のように、見事に、3連複2-4-10を的中させました。
200円馬券だったので、7570円×2=15140円の払い戻しでした。

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と言う事で、レースも終了し、各馬引き上げてきました。
この1レースのみ馬券を買いましたが、ビギナーズラックでしょうね。馬券購入は、これで終わりにしました。

もちろん、払戻金は、帰りの食事代の一部になりました。

2016年9月 7日 (水)

「QJKJQ 」佐藤究

【内 容】

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市野亜李亜(いちのありあ)は十七歳の女子高生。
猟奇殺人鬼の一家で育ち、彼女自身もスタッグナイフで人を刺し殺す。

猟奇殺人の秘密を共有しながら、一家はひっそりと暮らしていたが、ある日、亜李亜は部屋で惨殺された兄を発見する。
その直後に母も姿を消し、亜李亜は父と取り残される。

何が起こったのか探るうちに、亜李亜は自身の周りに違和感を覚え始めー。
亜李亜は残った父に疑いの目を向けるが、一家には更なる秘密があった。

「平成のドグラ・マグラ」「ものすごい衝撃を受けた」
選考委員たちにそう言わしめた、第62回江戸川乱歩賞受賞作。

【感 想】

2016年度・第62回の江戸川乱歩賞受賞作です。
内容を読むと、父、母、兄が猟奇殺人鬼という家庭で育った高校生の話と言うことで、買うのをしばらく躊躇して居ました。
あまり気分の良い内容じゃなさそうだし、現実と虚構が交錯すると言う、私の苦手な展開の話だからです。

冒頭から繰り広げられる残虐な殺し方の描写に、ちょっと吐き気を感じながらも、読み進める事が出来ました。と言うのも、何より、文章が上手いです。
十七歳の女子高生・市野亜李亜(いちのありあ)の視点で書かれているのですが、全く違和感が無く、話しに引きつけられていきます。

読みながら、疑問に思うところは多々ありましたが、最後にそれらがすべて納得できるような形で話が繋がって行き、新人とは思えない力量に、感心しながら読んでいきました。

ただ、読みながら感じていたのは、どこまでが現実で、どこからが虚構なのかがよくわからない事です。でも、読み終えた時には、ひょっとしたら、すべてが虚構だったのではないのかと言う気がしましたが、はたして・・・。

本書をミステリという枠に当てはめるのは、少々疑問な所もありますが、こういうミステリも有りなんでしょうね。
感想を書くにも、どこまで書くとネタバレになるのかわからないまま書き進めていきましたが、衝撃を受けた作品であるというのは間違いがありません。
あまりオススメは出来ませんが、私は途中で辞められず、時間を取って一気に読んでしまいました。

☆☆☆☆(50点満点で、☆…10点 ★…2点です)

2016年9月 6日 (火)

「水族館の殺人」青崎有吾

【内 容】

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夏休み最中の8月4日、向坂香織たち風ヶ丘高校新聞部の面々は、取材で市内の穴場スポットである、丸美水族館に繰り出した。
館内を館長の案内で取材していると、B棟の巨大水槽の前で驚愕のシーンを目撃。
なんと、サメが飼育員と思われる男性に喰いついている! 

駆けつけた警察が関係者に事情聴取していくと、容疑者は11人にもおよぶことに。
しかもそれぞれに強固なアリバイが・・・。

袴田刑事は、仕方なく妹の柚乃へと連絡を取った。
あのアニメオタクの駄目人間・裏染天馬を呼び出してもらうために。

“若き平成のエラリー・クイーン”が、今度はアリバイ崩しに挑戦。

【感 想】

体育館の殺人」で、第22回鮎川哲也賞受賞した作者・青崎有吾の受賞第一作です。
受賞作が、私にとってはイマイチだったため、本書は「文庫本待ち」にして居ましたが、やっと文庫版が出版されましたので、早速購入しました。
裏染天馬が探偵役として登場し、高校一年生の卓球部員・袴田柚乃(はかまだゆの)がワトソン役として登場していることから、受賞作のシリーズ第二弾と言うところでしょう。

出版による内容解説には、「今度はアリバイ崩しに挑戦」とありますが、容疑者11人のアリバイは、殺人トリックを解明する事で、簡単に崩れてしまい、11人全員にアリバイが無いと言う状況で話が進んでいきます。

結局、探偵役である裏染天馬が、事件解決に乗り出し、事件発生当時の状況を細かく調べて、一人の犯人を絞り出していくと言う事になりますが、その部分だけ抜け出せば、それなりに興味深く読めました。

ただ、高校生が警察に協力して事件に関わっていくことの不自然さというものが、常につきまとってくるために、話に乗れない所もあります。

また本書は、本筋とは関係の無い人物やエピソードが出てきて、少し戸惑いました。
おそらく、今後もシリーズ化したいがために、新しい人物を本書で登場させ、次作へと話を広げようとして居るのだと思いますが、取って付けたような話なので、(それなりに面白くは読みましたが)読後に違和感が残りました。

事件発生から、アリバイトリックの解明の部分は、あまりにもあっけなかったのですが、犯人を特定してく所は読み応えがありましたし、その犯人の動機とされるもの(あくまでも探偵・裏染天馬の想像)は、とてもユニークで、それなりに納得させられてしまいました。

でも、次作も、文庫待ちにしたいと思います。

☆☆☆★★(50点満点で、☆…10点 ★…2点です)

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