映画のパンフレット

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2011年6月27日 (月)

ノルウェイの森

この映画の原作を読んだのは、1990年頃だから、もう20年以上も前になります。
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ある人から勧められて読んだのですが、主人公のワタナベに感情移入出来なかったこともあって、読後感はよくありませんでした。
でも周辺の人物は、彼らの背景が丁寧に書かれていましたので、結構楽しめました。
とりわけ、小林緑やレイコさんは、とても魅力的でしたし、永沢さんや突撃隊はユニークな人物だなと思っていました。

【解 説】Nnm_ma1_large_2

1987年に刊行された村上春樹の同名ベストセラー小説を「アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン」のトラン・アン・ユン監督が映画化。

自殺した親友の恋人と、大学の同窓生との間で揺れ動く青年の姿を描く。

出演は「誰かが私にキスをした」の松山ケンイチ、「ナイト・トーキョー・デイ」の菊地凛子、「おにいちゃんのハナビ」の高良健吾、「君へのメロディー」の霧島れいかなど。

【あらすじ】

008 高校時代に親友・キズキ(高良健吾)を自殺で喪ったワタナベ(松山ケンイチ)は、誰も知っている人間がいないところで新しい生活を始めるために東京の大学に行く。
そこでワタナベは読み漁っていた本の余白と同じような空っぽな日々を送るが、ある日偶然直子(菊地凛子)と再会する。直子はキズキの恋人だった。
キズキはワタナベにとって唯一の友だったので、高校時代にはワタナベと直子も一緒によく遊んでいた。

それからワタナベと直子はお互いに大切なものを喪った者同士付き合いを深めていき、ワタナベは透き通った目を持つ直子に魅かれていく。

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そして、直子の二十歳の誕生日に二人は夜を共にする。
ところが、ワタナベの想いが深まれば深まるほど直子の方の喪失感はより深く大きなものになっていき、直子は結局京都の療養所に入院することになる。

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そんな折にワタナベは大学で、春を迎えて世界に飛び出したばかりの小動物のように瑞々しい女の子・緑(水原希子)と出会う。
直子と会いたくても会えないワタナベは、直子とは対照的な緑と会うようになっていき、あるとき緑の自宅での食事に招かれて唇を重ねる。それはやさしく穏やかで、何処へいくあてもない口づけだった。

その後、直子から手紙が届き、ワタナベは直子に会いに行けることになる。そこで、ワタナベは直子の部屋の同居人・レイコ(霧島れいか)のギターによるビートルズの「ノルウェイの森」を聴くことになる。それは、直子が大好きな曲だった。

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「この曲を聴くと深い森の中で迷っているような気分になるの。 どうしてだかわからないけど。一人ぼっちで、寒くて、暗くて、誰も助けに来てくれなくて…。 でも、本当に一番好きな曲なのよ。」
「ノルウェイの森」を聴くといつも泣いてしまう直子は、「ワタナベがいれば大丈夫」と言っていたのだが…。

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【感 想】

小説に、ほぼ忠実に作られています。
豊かな自然に囲まれた中で、ワタナベと直子の二人の時間がゆっくり流れていき、とても素敵でした。映像の良さが十分楽しめる映画でした。
この映画は、映画館で観ると、もっと良かったのかも知れません。
やはり映画は映画館に行かないとダメですね。

でも、話がワタナベと直子のことが中心になってしまい、きれいな風景もゆったりと撮られているので、周辺の登場人物はちょっといい加減な描き方になっています。
小説では、素敵な感じの女性だと思って居た小林緑は、もひとつイヤな女だし、突撃隊は、何が何だかわからないし、矢沢さんは自己中の男だし、ハツミさんは影が薄いし、レイコさんに至っては、ヘンなおばさんです。

Nnm_ma6_large 小林緑がワタナベに惹かれていく要因として、ワタナベが、彼女の父の看病を献身的にする場面が小説にはあるのですが、そこが全くなかったので、わかりにくくなっています。
映画は、三人の高校時代の頃から始まり、ワタナベの視点以外のシーンもあったので、小説のように回想では無いのかと思っていました。ところが、ハツミさんのその後の事が、ワタナベの声のナレーションで入っていたので、この映画も回想だとわかりましたが、ちょっと変な感じでした。

それでも、周辺の人たちの背景を省略し、ワタナベと直子に焦点が当たっているため、ワタナベの気持ちが揺れ動いているのがよくわかりました。そういう意味では、小説を読んでいない人には、面白い映画だったのでは無いでしょうか?

松山ケンイチの演技は、イマイチしっくり来ませんでした。菊地凛子の高校生時代は、ちょっと無理がありましたが、良い感じです。また、小林緑役の水原希子は、原作のイメージとは違っていましたが、ちょっと小悪魔的なところもあり、良かったです。

【キャスト 】
ワタナベ - 松山ケンイチNnm_ma2_large 
直子 - 菊地凛子
小林緑 - 水原希子
キズキ - 高良健吾
永沢さん - 玉山鉄二
レイコさん - 霧島れいか
突撃隊 - 柄本時生
ハツミ さん- 初音映莉子
大学教授 - 糸井重里
レコード店店長 - 細野晴臣
阿美寮門番 - 高橋幸宏

【スタッフ 】
原作 - 村上春樹『ノルウェイの森』(講談社刊)
監督・脚本 - トラン・アン・ユン

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コメント

私も20年前の原作は読んだのですが、あまり良い印象ではなかったこと

だけを覚えています。

その時買った本を友人に貸して、いまだに戻ってこないことがショックです。~爆

この映画については、よく出来ていると思います。

細かいところまで原作を覚えてないのですが、このはたち前後の若い人

達の愛に対する感情とセックスに対する感情が曖昧模糊として入り交じっ

ている状態は良く描けていると思います。それで自分自身を傷つけていくところがよく描けてます。

我々の年代の人たちが若かったころの話です。今の若い人たちは、こういう感覚はあるのでしょうか?

松山ケンイチの透明感がいいですね~

もう一度、原作を読み直して見たいと思います!m(_ _)m

これは、良い映画に仕上がっていると思います。
二人に焦点を当て、わかり安くなっています。
外国人監督にしたのが良かったのかも知れません。
私は原作で、小林緑はちょっと気になっていたんですが、映画ではちょっとわがままな変な女になっています。
彼女のエピソードが無いのは残念でしたが、映画にしたら他の登場人物のエピソードを削ってしまい、すっきりしたのでは無いでしょうか?

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